歴史あるメルセデス・ベンツSLのフルモデルチェンジを10年ぶりに行うことが発表されました。
SL初の4輪駆動を搭載し、7代目となるSLは「メルセデスAMG SL」という新しカタチで登場したのです。
メルセデス・ベンツSLの歴史を紐解きながら、SLの魅力を探っていきます。
メルセデス・ベンツSLとは
ドイツの自動車メーカー・ダイムラーが、メルセデス・ベンツブランドで展開するクーペ、カブリオレタイプの高級スポーツカーで、SLは最高峰に位置づけされるクラスなのです。
メルセデス・ベンツSLの歴史
初代SLが誕生したのは1954年、そこから70年近い年月を重ねてきたSLの歴史を振り返り紹介します。
初代SL(W198)(W121)
初代SLは、1952年にル・マン24時間耐久レースを制覇したレース用車両の「300SL(W194)」をベースに開発され、1954年にニューヨークで開催された国際モータースポーツショーで、市販車モデルの「300SLクーペ(W198)」として発表されました。
この「300SLクーペ」は、ガルウイングドアが特徴的でした。また搭載されたエンジンは、レーシングプロトタイプとして開発されたM198エンジンであり215馬力という、当時では驚異的な出力を発揮しています。
1955年には、オープン2シーターとして「190SL(W121)」が高級車である「300SL」よりも手頃な価格で購入できるように発売されます。
1957年、ガルウイングドアから従来のドアに変更された「300SLロードスター」が発売されました。
2代目SL(W113)
1963年、ジュネーブモーターショーで「300SLロードスター(W198)」と「190SL(W121)」の後継モデルとして、「230SL(W113)」が発表されました。
その後1967年に後継モデルとして「250SL」、’68年に「280SL」が登場します。
3代目SL(R107)
1971年にSL初の8気筒エンジンを搭載した後継モデル「SL350(R107)」が登場しました。’73年に同じく8気筒エンジンの「450SL」が登場します。
’74年には世界的なオイルショックの影響に対応するカタチで6気筒エンジンの「280SL」が発売されました。
4代目SL(R129)
1989年、18年ぶりのフルモデルチェンジが行われ「500SL(R129)」が登場します。’92年には、12気筒エンジンを搭載した「600SL」が追加され、’93年には「600SL」をベースとして、AMGによりチューニングがされたエンジンを搭載した「600SL 6.0 AMG」も追加されました。
’94年のマイナーチェンジからは、モデル名の変更が行われました。排気量を表わす数字の後ろに記されていた「SL」の表記が数字の前に付けられるようになり「SL500」「SL600」へと変更されて、新しく「SL320」が追加されました。
’96年には、「SL500」をベースにAMGがチューニングした「SL500 6.0 AMG」が、’98年には「SL500 6.0 AMG」が廃止され、「SL55 AMG」が登場します。
同年に、AMG製の7.3L V12、最高出力525馬力、SL史上最強のエンジン搭載 した「SL73 AMG」が追加されました。
5代目SL(R230)
2001年のフルモデルチェンジで「SL500(R230)」が登場します。’02年に「SL55 AMG」、’03年にV6エンジン搭載の「SL350」とV12エンジン搭載の「SL600」が追加されます。
’04年には「SL500」に7速AT(7G-TRONIC)が搭載され、新しく「SL65 AMG」が追加されました。
’06年のマイナーチェンジで「SL350」「SL550」が登場。
’08年には、「SL55 AMG」が廃止され「SL63 AMG」が追加されました。
6代目SL(R231)
2011年、6代目となるR231がデトロイトモーターショーで発表されました。
’12年、「SL350ブルーエフィシェンシー」「SL550ブルーエフィシェンシー」「SL63AMG」の販売が開始されました。同年、最上級モデルの「SL65 AMG」も発売されます。
’13年に「SL350ブルーエフィシェンシー」「SL550ブルーエフィシェンシー」のグレード名称が「SL350」「SL550」に変更されました。
’16年のマイナーチェンジでは、「SL550」に9速AT「9G-TORONIC」をSLクラスで初搭載します。同時に「SL350」に替わり、エンジン強化と「9G-TORONIC」を搭載をした「SL400」も登場しました。
7代目SL
そして2021年10月28日(現地時間)、 新型「メルセデスAMG SL」が世界初公開されました。
AMG(エーエムジー)とは
上記で度々名前が登場しましたが、AMGは1967年に、レース用自動車エンジンの設計会社として設立されたのが始まりです。
レース用自動車のチューニングカーメーカーとして活躍しますが、アフターマーケットとして主にメルセデス・ベンツの乗用車のチューニングを手掛けるようになります。
1980年代半ばからは、公式にメルセデス・ベンツに部品供給するようになり、’93年にはメルセデス・ベンツとAMGによる初の共同開発車となる「C36」を発売します。
しかし、’99年にはダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)に吸収され、メルセデス・ベンツの1部門となり、2014年からは「メルセデスAMG」というサブブランドとして、ダイムラーのスポーツカーブランドを展開していくことになります。
新型「メルセデスAMG SL」の特徴
この7代目となる新型SLは、「メルセデスAMG GT ロードスター」の代替えとなるカタチでの登場となりました。
今後は「メルセデス・ベンツ」ブランドではなく「メルセデスAMG」ブランドに変更となります。
新型SLの特徴として、ソフトトップを採用し、2+2シートのロードスター構造へと変更になりました。新たに採用されたソフトトップの開閉時間は、約15秒で完全自動で行われます。また、走行中でも時速60Kmまでの速度でなら開閉可能となっています。
車体サイズは、全長×全幅×全高=4705mm×1915mm×1353mmとなり、先代に対して少し大きく設定されています。シャーシは、新しく開発されたアルミニウム製スペースフレームを採用し、軽量な複合アルミニウム構造が採用され、軽量化・剛性ともに強化されています。
また、SLとして初めての4輪駆動システム「AMGパフォーマンス 4MATIC +」 も採用されました。更に「アクティブリアアクスルステアリング」と呼ばれる後輪操舵システムも初めての採用となっています。
※2+2シートの後部座席は身長150cmまでの人が乗れるスペースを確保したと説明されています。
Ancar Channel関連記事
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まとめ
「SL初の4輪駆動 新型「メルセデスAMG SL」登場!SLを徹底分析」ということで、紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
メルセデス・ベンツSLの歴史に触れることで、SLという車のことが少しは解かっていただけたのではないかと思います。
また、メルセデス・ベンツとAMG(エーエムジー)の関係性についても説明してきました。今後のSLは、メルセデスAMGブランドとして、どのような変化をしていくのかも楽しみですね。
この記事を読んだことによって、少しでも「メルセデス・ベンツSL」「メルセデスAMG SL」に興味を持っていただけたのなら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ライター:Ancar編集部 呉東和虎