日産の「フィガロ」という車を知っていますか?
「フィガロ」について「名前は聞いたことはあるんだけど・・・」「どんな車?」「あの車かわいい!」など、よく知らないけれど、気になる車として名前が挙がります。
その「フィガロ」が近年中古価格が高騰しています。
その理由も含めて日産「フィガロ」を紹介していきます。
フィガロとは
フィガロ(Figaro)は、1989年の第28回東京モーターショーで日産「マーチ」の「パイクカー」として初登場しました。
1991年2月から限定2万台のみの販売で、日産自動車から販売されました。
希望者も多かったため、抽選というカタチで販売されました。
1992年2月には生産終了し、在庫対応も含めて同年12月で販売終了。
たった1年間しか製造されなかった「フィガロ」とはどんな車なのか?パイクカーとは何なのか?順を追って説明していきます。
パイクカーとは
パイクカーとは、日産自動車が1980年代後半から1990年代にかけて、ベース車とは全く違った個性で販売した車両です。
パイク(Pike)という言葉は「尖ったもの」「槍の先端」などを意味しており、スタイルに重点を置いて、他とは違う尖った部分として「レトロ」な雰囲気を持った車でした。
第1弾として、1987年に1982年に発売した初代マーチ(K10型)をベースに開発された「Be-1」です。
続いて第2弾では、同じくマーチをベースに「パオ」が開発・販売されました。
同年にパルサー(VN10型)のパイクカーとして「エスカルゴ」が開発・販売されます。この「エスカルゴ」は、パイクカーで唯一の商用貨物車でした。
そして、マーチ(K10型)のパイクカー第3弾として「フィガロ」が登場したのです。
フィガロの特徴
フィガロの特徴として、まずはそのルックスです。全体に丸みを帯びたその流線美は、当時・現在も含め他にないスタイルを実現していました。
そのルックスは、1950年代のヨーロッパの車感を漂わせ、クラシックカーと似た何とも言えない「美しさ」があります。
また、ソフトトップのオープンカースタイルで美しさと遊び心も併せ持っていました。
そのこだわりは、インテリアにまで浸透し、ステアリングからメーター、スイッチ類にまでレトロな雰囲気が満載でした。
当然、シートにもこだわりを持ち、標準装備として上質な本革が採用されます。
3速ATでありながらも、ターボチャージャーを装備。「走る」ためとは言い難い車ですが、充分な走りに対応できる装備となっていました。
フィガロのスペック
日産「フィガロ」の主要諸元です。
型式:E-FK10
全長×全幅×全高:3740mm×1630mm×1365mm
車両重量:810kg
排気量:987cc
最高出力:56kw(76ps)/6000rpm
最大トルク:105.9N・m/4400rpm
エンジン型式:MA10ET
種類:直列4気筒OHCターボ
トランスミッション:3AT
駆動:FF
乗車定員:4名
なぜ中古価格が高騰しているのか?
上記で紹介してきました日産「フィガロ」ですが、中古価格がどんどん高騰してきています。
2021年現在の価格は、約100万円から、高いものだと500万円以上の価格となっています。
当然、車体の状態によって価格の上下はあるのですが、当時の新車販売価格が187万円ほどの車が、何故ここまで中古販売価格が上がってしまったのでしょうか?
理由としては、2万台の限定販売で1年間しか製造されなかったこと・そして販売から30年経った現在まで見てきても、他の車にないルックスやスタイルなどの固有性などがあるからだと推測できます。
また、国内だけでは無く、欧米諸国でも人気で、イギリスでのフィガロの人気は高くなっています。
イギリスでは、2009年に「フィガロ」の「オーナーズクラブ」まで発足したり、クラシックカーイベントが開催されたりしています。
オランダ・ベルギー・スコットランドなどではフィガロラリーが開催されたり、近年ではアメリカでもこのルックスから「かわいい」ということで、フィガロ人気が高まっています。
この需要と供給の関係から必然的に価格が高騰してきているのです。
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まとめ
中古価格高騰!日産「フィガロ」ってどんな車?ということで紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
日産のパイクカーとして販売された「フィガロ」は、発売から30年経った現在、世界中のファンから愛されている車となっていたのです。
日産「フィガロ」は、1990年代に日本で発売されながらも、クラシックカーと同じような雰囲気を醸し出す日本の名車のひとつではないでしょうか?
現在いろいろなジャンルで「ネオクラシック」が流行してきていますが、まさしく「フィガロ」は「ネオクラシック」だったのでしょう。
近代の車の開発は、燃費性能・空気抵抗・自動運転・電気自動車化と、どんどん進化していきますが、この「フィガロ」のように、単純に「かわいい」「かっこいい」をコンセプトにした、遊び心のある車があっても良いのではないかと感じます。
この記事を読んで「フィガロ」に少しでも興味を持っていただけたのであれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ライター:Ancar編集部 呉東和虎