ブレーキが利かなくなれば、止まれずに大事故につながる恐れもあって危険ですよね。今回は、ブレーキが利かなくなるフェード現象・べーパーロック現象を紹介していきます。フェード現象・べーパーロック現象が起きる原因・対策・前兆を理解することで、ブレーキの故障やそれによる事故を未然に防げるかもしれません。また、対処法を知っておくことで、もしもの時のために対策ができます。
ブレーキが利かなくなるフェード現象とべーパーロック現象について
フェード現象とは?
ご存知の方も多いと思いますが、長い下り坂でブレーキをかけ続けると、ブレーキが利かなくなる恐れがあります。摩擦ブレーキを使うと、ブレーキの摩擦材が加熱されます。フットブレーキ多用することにより、ゴムや樹脂などのブレーキに使用される素材の耐熱温度を超え、分解・ガス化します。これがブレーキローターの間に入り込み、ガス膜が潤滑油のように働き、摩擦係数が低下します。そして、ブレーキの利きが悪くなります。これを「フェード現象」といいます。
べーパーロック現象とは?
最も一般的に採用されている油圧式ブレーキでは、ブレーキペダルを踏んだ時に、ブレーキ装置に伝達するためにブレーキフルード(ブレーキオイル)という液体が用いられています。しかし、フットブレーキを過度に利用すると、液体が加熱されて沸騰して気泡が発生します。これにより、ブレーキを踏んでも気泡が潰れるだけになって、ブレーキが利かなくなります。これをべーパーロック現象といいます。
フェード・べーパーロック現象の対策
エンジンブレーキの利用
長い下り坂では必ずエンジンブレーキを使い、ブレーキの使い過ぎによる過度な加熱が起こらないようにする必要があります。そのため、ギアを徐々に下げて低速ギアに入れてアクセルを戻すことによって、エンジンブレーキをかけます。これにより、ブレーキを過度に使用することを防げるはずです。エンジンブレーキについての記事を詳しく見たい方はこちらをどうぞ。
ブレーキフルードの交換
また、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の劣化はべーパーロック現象を起こりやすくします。そのため、定期的なブレーキフルードの交換は欠かせません。ブレーキフルードは、空気中の水分を吸収することにより劣化します。これは、水分を含むことにより沸点が下がってしまうためです。車の利用状況や使用しているフルード次第ではより頻繁な交換が必要ですが、基本的にブレーキフルードの交換は2~4年に1度が良いと言われています。車検(2年)ごとに交換するのが良いでしょう。
ただし、ブレーキの利きが悪いと感じたときはすぐに点検し、必要に応じてブレーキフルードの交換を行う必要があります。また、ブレーキフルードは澄んだ黄色ですが、劣化が進むと茶褐色のような濁った色になります。ブレーキフルードが茶褐色の際には、交換する必要がある時期だと判断して良いです。
ブレーキパッドの点検・交換
ブレーキパッドの残量が少ない状況では、フェード・ペーパーロック現象が起こりやすくなります。ブレーキパッドは消耗品です。走行距離3万~5万キロ目安で交換した方が良いといわれています。また、「キーキー」という異音が発生した際には、ブレーキパッドについている金属製の部分とディスクローターが接触している可能性があります。すぐに点検や交換をした方が良いといえるでしょう。
ブレーキパッドは消耗品ですが、使い方によって寿命は変わってきます。例えば、ブレーキの使用回数が多くなればなるほど、ブレーキパッドの減りは早まるでしょう。他の車や信号など周りの状況を把握し、むやみにスピードを出すことを控えることにより、ブレーキの使用頻度を減らすことが出来るかもしれません。また、必要に応じてエンジンブレーキを使用することでもブレーキパッドの減りを少なくなります。
フェード・べーパーロック現象の前兆
フェード・べーパーロック現象の前兆
・異音や異臭
異音や異臭を感じた場合には、すぐに安全な場所に車を停車させるようにしましょう。焦げのような臭いは、ブレーキ装置の素材が焦げている可能性があります。
・ブレーキの利きが悪くなる
ブレーキの利きが悪く感じたり、ブレーキが利き始めるのがブレーキペダルの奥になっていると感じた場合は注意が必要です。
これらのような異変を感じた際はエンジンを切り、ブレーキが冷却されるまで最低でも30分は安全な場所に停車する必要があります。煙が出ていることもあるかもしれませんが、水をかけて冷やすのは控えなければいけません。その後、運転してみても改善されそうになければ、すぐにロードサービスを呼ぶようにしましょう。また、異変により少しでも危険を感じた場合も、運転をやめて速やかにロードサービスを呼ぶと良いと思います。
もしもブレーキが利かなくなってしまったときの対処法
徐々に減速をして車を止める
もしもブレーキが利かなくなってしまった場合、少しでも安全に車を止めることを心がける必要があります。ギアを徐々に下げてスピードを落とします。そして、ハンドブレーキを使用して徐々にスピードを落とします。ハンドブレーキを一気にかけると、スリップが起きて危険が伴う可能性があるため注意するようにしましょう。それでも危険を回避できないような状況であれば、道端のガードレールなどに車をすらせながら止めるという手段をとることができます。