トヨタ自動車。長年「世界のTOYOTA」として日本経済を牽引し、2019年の売上高は30兆円を超えました。現在の社長は豊田章男(とよだ あきお)氏であり、代々トヨタは豊田一族によって経営がされてきました……ん?なぜ「トヨダ」ではなく「トヨタ」なんだ?トヨタグループの創始者・豊田佐吉もトヨタ自動車の創業者・豊田喜一郎も「トヨダ」だぞ?
トヨダではなくトヨタであるのには意外な理由がありました。そしてこの消えた濁点「゛」はどこに行ってしまったのでしょうか?
トヨタがトヨダではない理由
トヨタがトヨダではない理由を探るべく、まずはどのタイミングで現在の「トヨタ自動車」ができたのかを簡単に見てみましょう。
トヨタグループの本家はトヨタ自動車、ではなく豊田自動織機(創業時の読み方は「とよだ-」)です。元々トヨタ自動車は豊田自動織機の自動車部門を分社化したものだったんです。1935年に豊田自動織機は「トヨダ・G1型トラック」を発表。このときはまだ「トヨダ」ですね。
1936年7月、念願の乗用車の完成を機に、新しいトヨダマークの公募を行います。全国から集まった27,000点の応募作品から選ばれたのは「トヨダ」ではなく「トヨタ」を円で囲んだマークでした。「トヨタ(TOYOTA)」を採用したのは以下の理由からです。
- 商業美術的に見て、濁点を付けないほうが、さわやかであり、言葉の調子(音の響き)も良い
- 画数が8で縁起が良い
- トヨダ(豊田)という人名から離れることにより、個人的企業から社会的存在への発展の意味を含める
そして1937年、自動車部門を分社化し、「トヨタ自動車工業」を設立します。その後1982年に現在の「トヨタ自動車」という名称に変わり、おなじみのトヨタマーク(Tマーク)は1989年に設定されます。
ちなみに本家・豊田自動織機の読み方が現在の「とよた-」になるのは2001年。豊田市(とよた-)ができるのが1959年のことですので、それを考えてもかなり最近のことなんですね。
トヨタには濁点のつく車が多い⁈
トヨダからトヨタになった理由が「末広がりの八」だとは驚きでした。ここには自社のみでなく日本経済の成長への願いも込められているそうです。社会的存在への発展という点では、トヨタは生産や労働の仕組みをつくってきた存在でもあるのでまさに実現していると言えますね。
ところでトヨタの車って男っぽい、力強い車が多いと思うんです。最近のミニバンの「オラオラ顔」のブームはアルファードやヴェルファイアに始まり、他社では日産・セレナにまで波及しました。セレナ「SERENA」ってスペイン語で「穏やか」って意味なんですが…。
そしてトヨタの車、特にそうした力強い車の名前には濁点「゛」がつくことが多いようにも感じます。トヨダからトヨタに変わることで無くなった濁点が時を超えて今度は復活、なんていう風に結びつけてしまいました。それはさておき、濁点のついた車が多いのは何か理由があるのではないでしょうか?
少年マンガのタイトルには濁点をつける
「男向けのマンガのタイトルには濁点をつける」という編集者に関する通説があるそうです。『ドラゴンボール』『ジョジョの奇妙な冒険』『ろくでなしBLUES』……皆さんの好きな少年マンガにも濁点がついているんじゃないでしょうか?マンガ以外にもゴジラ、ガメラ、キングギドラ、バルタン星人などの怪獣やガンダム、エヴァンゲリオンといったロボットでも濁点の音の響きが印象に残ります。
濁点には力強さ、重厚感を増す効果があり男性に好まれるのだそうです。たしかに「とろとろ」と「どろどろ」ではどろどろの方が重たい感じがします。車においても濁点によって力強さや重厚感が強調されているというのはありえそうです。
ちなみに、拗音(小さい「ャ」など)にもパワフルさを与える効果があるといいます。オラオラ顔の代表格エスクァイアには濁点はありませんが「ァ」という拗音があります。「ESQUIRE」は英語で「○○様」という意味ですが、もしかするとこの音の響きがエスクァイアの高級感、重厚感を後押ししているのかもしれませんね。
トヨタはかつて「C」で始まる車が多かった
濁点について見てきましたが、かつてトヨタで多かったのは「C」から始まる車。C音は日本語ではカ行やサ行になりますが、これらはクールで爽やかな印象を与える音だそう。ですが、C音から始まる車が多かったのは「クラウン(CROWN)やコロナ(CORONA)が売れたことによるゲン担ぎ」が有力な理由だといいます。ともあれ、やはり車名と音の響きには関係性がありそうです。
濁点がつく男らしいトヨタ車 4選
最後に、トヨタの国内向け現行車種の中から濁点が名前につく車をご紹介します。
ヴェルファイア
まずは唯一無二のフロントマスクを持つヴェルファイア。アルファードの兄弟車でありそのデザインのテーマは「大胆不敵」。まさに男の一台です。トヨタ最上級ミニバンとして高い実用性と高級感を両立、好調な売れ行きが続いています。インテリアもグレードにより設定ができ、乗車人数や荷物に応じてフレキシブルに対応できます。
ヴォクシー
見た目は男らしく、そして乗りやすいのがヴォクシーの魅力。5ナンバーサイズを基本に開発しており、走行性能を高めたGRスポーツなど幅広いラインアップがされています。2Lガソリン車と1.8Lハイブリッドを設定しており、それぞれ経済性に優れています。余談ですが筆者の中でヴォクシーといえば反町。CMではパパとして男らしい姿を見せていたのが印象的でした。一家の大黒柱が乗るヴォクシー、カッコいいのでおすすめです。
ヴィッツ
初代が生まれてから20年親しまれてきたヴィッツだが次期モデルからは日本でも「ヤリス」として販売される。現行の3代目ではハイブリッドを設定、ガソリンエンジンを含めて幅広いラインアップがあり、ボディカラーも豊富でしたがまもなく販売終了となります。ヴィッツにこだわる方、ぜひネッツ店にお急ぎください。
ライズ
最後に紹介するのが東京モーターショーにて発表されたばかりのコンパクトSUV・ライズ。ダイハツ・ロッキーの兄弟車で、日本の細く狭い道にも最適なサイズ感となっています。エンジンは1L直列3気筒ターボでそこにスプリットギヤ付きD-CVTが組み合わさることで高い動力性能と軽やかな加速を生み出します。
〈トヨタマーク引用元〉https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/data/automotive_business/products_technology/vehicle_lineage_chart/trademarks_and_emblems/index.html