最近のミニバンを見て思うこと。それは「なんか顔ゴツすぎない?」ということです。
好きか嫌いかは置いておいて、「ゴツイ、イカツイ、威圧的」というのは誰もが感じるのではないでしょうか。
メーカー側もそれを狙ってデザインしているはず。
しかし、スマートなデザインが好きな人達からは「ミニバンはかっこ悪い」と言われてしまいます。
「ミニバン かっこ悪い」と、検索したら関連ワードに「ダサい、気持ち悪い、下品、彼氏に乗ってほしくない」というワードが出てきました。
ミニバンに乗っている方には大変申し訳ないですが、このような現状があるようです。
ミニバンに轢かれた過去でもあるんですかね。
ただ、そんなミニバンも日本では軽自動車に次いで超絶的な人気を誇っています。
なぜ、ゴツゴツした顔のミニバンが売れるのでしょうか?
ミニバンはなぜかっこ悪いと言われてしまうのか
そもそも、なぜミニバンはかっこ悪いと言われてしまうのでしょうか。
先ほど、顔がイカツイと挙げましたが、純正カスタムの中にはグリルが光るものもあるようです。
確かにこれは好き嫌いが分かれそうなデザインですね。
ですが、顔だけではなく他にも要因があるようです。
ゴツゴツしたでっかいグリル
車の顔を決めるグリル。
そのグリルがでかすぎて威圧感を生んでしまっています。
巷では「ドヤ顔」と呼ばれていますね。
実はこの「ドヤ顔」は海外の高級車にも似ている部分があります。
例えばこのロールスロイス、ザ・高級車としてのイメージが強いですが、グリルが大きく威圧感があります。
これはクラシックカー時代の名残で、伝統のある由緒正しい顔なのです。
BMWのキドニーグリルも大きなラジエターに大きなグリルが必要な1900年代初期から続くフロントマスクです。
日本のミニバンはこれを真似して無理やり高級感を出そうとしたわけですね。
歴史は全然ありませんが、その威圧感が人気を呼んで想像以上に売れてしまったのです。
一度成功したらなかなかやめられませんよね。
国産ミニバンのグリル隠したら全部同じ車にしか見えなくてクソワロ pic.twitter.com/92KwfzFonT
— いけち@??航空博物館ガイド本?委託中 (@aoa30) 2014年11月2日
ミニバンは元々商業用のバンをミニ(小さく)にしたもの。
箱型でデザインよりも実用性が重視される車です。
従って、ミニバンで個性を出そうとすると顔しかありません。
顔は逆に面積が有り余っているので、グリルは自由に配置できます。
最近はフロントライトが小型化できるようになったので、グリルに使う面積も増えています。
運転の楽しさが味わえない
ミニバンは車格が大きく、長くて重い。
重いので加速に期待はできませんし、ブレーキも効きにくいです。
大きいのでコーナリング性能はもはや言うまでもありません。
交差点で曲がりきれなかったり、駐車場で何回も切り返しているのを見ると「かっこ悪いな」と思ってしまいますよね。
やはり、ミニバンは運転を楽しむ車ではありません。
移動と荷物の運搬が目的ですから、スポーツ性は皆無です。
運転を楽しみたい人から見ると、「かっこ悪い」と感じるのかもしれません。
商用車のイメージが強い
元々は商用車のバンを家庭用のサイズにしたものです。
その歴史を知っている人は「なぜ商用車に乗るのか」と思うわけです。
当時からミニバンは実用性が最重要で、デザイン性はほとんど考えられていない種類の車でした。
もはや「かっこいい、かっこ悪い」という次元ではないです。
バスやトラック、配達用のバンを見て「かっこいい」と思う人は少ないですからね。
ただ、8人乗れることや荷物が多く載ることがメリットなのに、一人で乗っている人をよく目にします。
「なぜミニバンを買ったのか、無駄じゃん」と言われても仕方ありません。
それでも日本で売れる理由とは
それでもミニバンは超絶人気車種です。
街でミニバンを見ない日はありませんね。駐車場にも1台は絶対に停まっています。
なぜこれほどまでミニバンが売れるのでしょうか。
そこには日本特有の市場環境が影響しています。
どうやら欧米ではミニバンは全く見向きもされておらず、日本国内だけに向けて開発しているのが現状のようです。
ガラパゴス化する独特な日本の車市場
「ガラパゴス化」
つまり、孤立した島のような市場になるということ。
そこで独自に進化し、他では通用しない生き物(製品)が生息する島になってしまうことです。
代表的なのがガラパゴス携帯ですね。
現在の日本自動車市場もガラパゴス化していると言われています。
軽自動車やミニバンが大きくシェアを占めている市場というのはかなり奇妙なのです。
自動車市場はその国の文化によって結構差がありますが(国土の広いアメリカの車が大きいように)、ここまで特殊な市場は他にはないでしょう。
アメリカではミニバンは「サッカーお母さんが練習や試合に駆り出す車」というイメージがあります。
特にアメリカは国土も道路も広いので、ミニバンではなくバンの方が人気があります。
ヨーロッパでは「商用車」というイメージがさらに強く、運転が楽しめないことからも敬遠されています。
日本では趣向性の時代が終わり、実用性が重視されるようになったのではないでしょうか。
また、家族の空間をそのまま車に持ち込めるような広さが日本の家族には合っているのかもしれません。
車内を第二の居住空間と考えるのは日本だけのようですね。
大きさで自己顕示欲を満たす?
普段から6〜8人で移動するようなファミリーには向いている3列シートですが、独身男性や4人家族でも乗っていたりします。
それは何故なのか。
ミニバンに乗っている人の中には「大きい=かっこいい」という考えがあるそうです。
大きければ大きいほどかっこいいので、セダンよりも、コンパクトミニバンよりもフルサイズミニバンがかっこよく見えるということです。
大きい腕時計の方が存在感があってかっこいいように、大きい車の方が周りにアピールできるというわけですね。
動くシートとスライドドアが子育てに向いている
ミニバンは車格が大きいので、空間や構造にあまり制限がなく、装備を充実させることができます。
特にスライドドアと自在に動かせるシートは子育てにぴったりで、子供の乗り降りや買い物など主婦の日常をサポートしてくれるのです。
他にも、後部座席にモニターが付いていたり、シートが広くて居心地がよかったりなど、居住性としては満点です。
移動する家が欲しいのであればミニバンは最高ですね。
これからのミニバンは
タイやインドネシアで大人気
発展途上国ではステータスや趣向性よりも実用性の高い車に人気が集まります。
その中でも経済成長を遂げているタイやインドネシアでは高級車への関心も高まっており、日本の高級ミニバンが徐々に売れ始めています。
これらの国に合わせたオプションやモデルを出せば市場シェアを勝ち取ることができるでしょう。
さらに経済成長が進むと欧州車などにも手が出るようになるので競争が激化するとは思います。
スポーツ性能や運転のしやすさが重要に
日本のミニバン人気は少しづつスポーツ性能重視に変わってきています。大排気量のミニバンやトヨタのG’sモデルなど。ファミリー向けですが、運転の楽しさも味わいたいお父さんがスポーティなミニバンを選ぶそうです。また、女性からもスポーティな見た目が意外とウケているというのも流行りだした要因でしょう。また、「ミニバンは大きくて運転が怖い」という課題を解決するパークアシストや車線はみ出し警告などのサポート性能にも人気が集まるでしょう。
これからはSUVの時代
では、ミニバンブームの次は何が来るか。ズバリ、それはSUVです。マツダのCX-5を筆頭に、最近は街でもよく目にするようになりましたね。SUVは本来オフロードを走行するように車高が高くなっている車でゴツゴツした印象ですが、クロスオーバーSUVとしてセダンやクーペのように綺麗なフォルムになってから日本でも爆発的に人気が出ました。道を選ばす、パワーがあってスポーツ性能も高い。荷物がたくさん詰めて居住性も高いのでミニバン人気を徐々に奪っている存在でもあります。最近は3列シートのSUV マツダのCX-8が日本で発売されたこともあり、ミニバンユーザーはSUVに流れていくと予想できます。