ガラパゴス携帯の時代が終わりスマートフォンが普及してから長い年月が経ちました。全く使えないと言われていたその性能は年々向上し、スマートフォンに搭載されているCPU(人間で言う頭脳を司るパーツ)が高性能で省電力なため、PCに搭載されたりもしました。しかし、成長してきたのはスマートフォンだけではありません。スマートフォンで利用できるアプリケーションも、アップデートを繰り返しとても便利で使いやすいものに進化しました。中でも地図アプリケーションはスマートフォンの登場から今まで長い間、標準で搭載されていました。
しかし実際、スマートフォンに標準搭載されている地図アプリやGoogleマップに関する噂はあまり良くないものも聞きますよね。今回は、『Googleマップ』に絞って、実際にどのくらい進化し、どのような機能が使えるのか、最新技術を解説していきます。
Googleマップは歴史を繰り返す
AppleからGoogle撤退
Appleが発売しているiPhoneのiOS6まではYoutubeや地図アプリでGoogleのサービスが多く採用されていました。しかしGoogleとのライセンス契約の終了に伴いiPhoneのシステム標準アプリからYoutubeやGoogleマップといったGoogleのサービス運営するアプリが削除されました。のちに別アプリとしてGoogleのサービスはリリースされましたが当時は衝撃的なニュースでした。
そして今、このような流れが再びGoogleマップにも訪れています。
iPhone標準搭載のマップがポンコツに
2012年9月にappleは自社製のマップサービスを開始しました。iOS6まで使われていたGoogleマップは廃止され、iOSの標準マップはApple純正のものに置き換えられました。初期段階の地図アプリでは、利用者の位置情報やその方向がうまく表示されなかったり、その他様々なバグやエラーが発生しユーザーやその他メディアから大量の批判が殺到しました。
さらに、地図のデータも不具合が生じ、実在しない地名や駅が表示されることもあり話題になりました。例えば、実在しない駅名としてパチンコガンダム駅やスターバックス駅、マクドナルド駅などがあり不確実な情報で人々の混乱を招きました。3Dマップもポリゴンの歪みが多く、ブルックリン橋などの象徴的な建物が潰れて表示されていました。2019年秋に配信されるiOS13ではApple純正の地図アプリが大幅に改善されるみたいなので期待しています(日本対応は定かではないですが)。
しかし、Googleマップの話に戻ると、2019年3月に株式会社ゼンリンとの契約を解除したことにより、かつてAppleからGoogleが撤退して地図が劣化した時と同じ現象が起きています。今回のとても影響は大きく、日本国内のマップ内からバス停が根こそぎ消えたり、山影が湖になっていたりと大幅に情報の精度が低下しました。
Googleマップの強みはAIのディープラーニング
ユーザーの行動履歴から強化されるマップ
Googleの強みはAIによるディープラーニングです。Youtubeでは再生されやすいサムネイルをAIで自動生成するために視覚的解説技術を利用しています。主に多くのユーザーがアップロードした膨大な量のカスタムサムネイルから再生数の多いものを選びクオリティの低いものと高いものを選別し学習、分析させています。おかげで人の手を加えずに高クオリティのサムネイルが量産できる時代となりました。
そこで、GoogleマップではAIのディープラーニングを活かして地図の情報量を増やしています。ディープラーニングを活用して8000億件以上のストリートビュー画像を自動で解析し、将来的にGoogleマップを自動で更新していくという目標を立てています。数多くいるユーザーの行動履歴や情報提供によって地図が更新され、より情報量の多い地図アプリへと進化していきます。最近ではGoogleマップ上にオービスの位置がユーザーによる情報提供により表示されるようになりました。AIも重要な役割を担っていますがユーザーからの情報提供が重要な場合もあるのです。
認知されていない便利な機能
タイムラインを活用してGPSロガーの代わりに
GoogleマップにはGPSロガーとしての機能もあります。GPSロガーとは、過去に自分が歩んできた道を記録してくれる機能で、Googleマップ上ではタイムラインとして表示されています。この機能は旅先で歩いた道を記録して楽しんだり、自転車で走った道や距離を共有するために使われたりしています。旅先でこの機能を使い、もう1つの思い出を共有する方法として活躍すること間違いなしです。しかし、このタイムライン機能はGPSロガーの簡易的な機能であり、正確に動作しない場合や標高などは測れないのでプロなどが記録用に使うなどの本格的な用途には向いていない可能性があります。
交通状況を確認して混雑を回避する
通勤時や車で移動する際に、交通状況がわかると事前に想定して迂回ルートを設定できるので時間短縮になりますよね。Googleマップでは詳しい交通状況を確認でき、色で交通状況が細かく表示されるのでわかりやすいです。ルート検索以外で道の交通状況を確認できるアプリは珍しいです。メニューにある『通勤』ボタンに自宅と目的地をあらかじめに設定しておくことで、電車の時間を検索する手間を省けて非常に楽です。
インドアマップで買い物を快適に過ごす
Googleマップでは一部建物の屋内マップが用意されており、建物の中で迷った際も確認できます。またワンフロアだけではなく全ての階が対応していて、あらかじめに建物の中を調べておけば当日に迷わず買い物ができます。今後インドアマップ対応のお店が増えることに期待したいです。
駐車場で自分の車を見つけやすく
#Googleマップ で、駐車場の場所や、駐車残り時間を保存できるようになりました✨「駐車場の場所を忘れちゃった?」「何時間前に駐車したか忘れてしまった?」なんて心配もなくなりますよ。車のことはGoogle マップに任せて、仕事や買い物、遊びに集中していただけます? pic.twitter.com/yCFfqGxIk5
— Google Japan (@googlejapan) 2019年7月6日
大きな駐車場のあるショッピングモールやテーマパーク、アウトレットモールなど広い駐車場では車を見失うのは誰もが経験すると思います。特に日本では車の色が白と黒に近い色の車が多く尚更見つけ出しにくいです。駐車場には車の見失い防止のためにアルファベットや数字があちこちにありますが、忘れるときはその文字すら忘れてしまいますよね。
そこで、Googleマップには自分の車を駐車場内のどこに停めたか位置を記録する機能が登場しました。車で移動して駐車すると、『駐車場として設定』と出てくるので『設定』を押すだけで記録してくれます。この機能を活用すれば駐車場で自分の車を見失ったあの焦りから解放されるのです。
現在ではアンドロイド版限定ですが、有料駐車場に停めた際の残り時間をリマインダーに登録できる機能が実装されています。無料の時間が決まっていたり、時間ごとに追加の課金が必要な駐車場で活躍する機能です。また駐車場を登録する際、一緒に写真やメモを残せるので活用すれば見失うことを二重で防げます。移動するごとに古い駐車場は削除され、新しい駐車場がマップに表示されるので、何個も駐車場が登録されてしまい訳が分からなくなるという心配もありません。
Googleマップはゼンリンが抜けてから仕様が大きく変わりました。明らかにゼンリンがいた時代の方が情報も的確で扱いやすかったです。しかし、AIによるディープラーニングのおかげでいつの日かGoogleマップが圧倒的な情報量を活用し人々の生活を支えてくれる時が来ることを楽しみにしています。