21世紀、2つの方向性~ホンダK20Aとトヨタ2ZZ-GE

超高回転ハイパワーからの反動で登場した、新エンジン

1990年代、自然吸気エンジンは可変バルブ機構の本格的実用化によって、低回転での実用トルクを確保しつつ、上はどこまでも高回転まで回してリッター100馬力を軽く超えるエンジンまで登場した。 しかし、低回転と高回転でのフィーリングがあまりにも異なる、ある意味「どっかんターボ」に近いような特性はマニアックに過ぎ、スポーツカーの雰囲気は欲しいけど、のめり込み酔いしれるほどではないというユーザーには受け入れられなくなっていきます。 そうした点も踏まえ、90年代型エンジンの頂点とも言えるリッター125馬力のホンダF20Cや日産SR16VE赤ヘッドが登場している裏で、新時代のエンジンも生まれていました。 それがホンダi-VTEC K20Aと、トヨタZZ系エンジンです。

小排気量ハイパワーから、パワーに見合う排気量へ拡大したK20A

2000年に登場したホンダの小型乗用タイプミニバン、ストリームで初搭載されたK20Aは、通常版では平凡な150馬力級エンジンでした。 DC5インテグラタイプに搭載されたK20A R-Specは220馬力級とリッター110馬力と「さすがタイプR」と呼ぶべきスペックです。 しかし、リッター125馬力のS2000用F20Cはおろか、リッター115馬力のEK9シビックR用B16Bよりおとなしかったのもまた事実で、しかもDC5は大型化、大排気量化され、排気量増大による大トルクの恩恵を受けたエンジンでした。 ある意味、後にマツダやアウディなどが提唱する、パワーに見合った排気量でエンジンの効率化を促す「ライトサイジング」に近いことが、この時のホンダには起きていたと言えるでしょう。 いわば、パワーに対してエンジンもボディサイズも、それに見合うよう大きくしていくというスタイルです。

逆に小排気量化、軽量ダウンサイジング化を求めたトヨタZZ系

ホンダの全く逆を行ったのがトヨタです。 ミッドシップスポーツ、MR2(SW20型)に搭載していた2リッターNA / ターボの3S-GE / 3S-GTEは、後継車MR-Sでは1.8リッターの実用エンジン、1ZZ-FEに更新されています。 DOHCとはいえ実用エンジンとしてのツインカムエンジンで、MR2では200~255馬力だったのが、わずか140馬力。 その代わり、ピークパワーが無くとも軽快な走りができるようボディは小型軽量低重心化され、初代AW11型MR2に戻ったかのようなダウンサイジング化が図られたのです。 セリカも同様で、1999年に登場した7代目は3代に渡り設定された4WDターボのGT-FOURを廃し、MR2と同じだったエンジンは、MR-Sほどではないものの、その1ZZ-FEのスポーツDOHC版、1.8リッターで190馬力の2ZZ-GEに更新されました。 MR2もセリカもエンジン、車体ともにダウンサイジング化されたことで、無闇なパワー志向の追求に背を向け、MR-Sに至っては明確に「実用エンジンで成立するスポーツカーの姿」を目指しています。

好対照の両者は、結果的に痛み分け

90年代は同じようにパワー嗜好にあった両者ですが、2000年代に入ってからの手法では好対照でした。 そのどちらが正しかったかといえば、実はどちらも2000年代のスポーツカー不況で販売不振に見舞われ、どちらとも「これが正解」という姿は示せないまま、2006~2007年に相次いで生産終了してしまいます。 DC5インテグラタイプRには、FD2シビックタイプRという後継がいましたが、ボディサイズを拡大した3ナンバーセダンに同じK20Aを搭載し、タイプRを名乗らなければならない時点で、スポーツエンジンとそれを搭載する車が、もう90年代のような姿でいられなかった証拠でしょう。

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