最高のトヨタ2000GTレプリカ?ロッキーオートが作り上げたR3000GTとは?
トヨタ2000GTのレプリカを作らせたら、もはや右に出る者はいないと言える、愛知県岡崎市の旧車専門ショップ「ロッキーオート」。
そのロッキーオートが作り上げたR3000GTは、まさに執念の一作と言えるかもしれません。
これまでもマツダ ロードスターなどをベースにトヨタ2000GTレプリカを製作するショップはありましたが、それらはあくまで「似たような車に、似たようなボディ処理を行ってデザインを似せた車」。
ところがロッキーオートは、外装部品を実車から型取りして複製し、事実上オリジナルと同じボディを部品レベルから新造するという手法で最高のレプリカを作り上げたのです。
かつて2000GTの開発に関わったドライバーを監修に迎えるほどの徹底ぶりで、「似た車」では無く、ズバリそのものを作り上げました。
しかも中身はスープラ用の2JZ-GEを搭載して足回りなども90年代以降のもので、当然エアコンなども完備しておりAT車ですので、快適性などは現在でも通用します。
この「オリジナルと現代の車の良いとこ取り」は、2000GTだけでなくケンメリスカイラインGT-Rのレプリカ製作でも同じ手法が使われ、「再生産されたボディパーツと現代のメカニズムの融合」は、ロッキーオートの得意技です。
何とFFのハイブリッド仕様もあり
ロッキーオートの凄みは、執念ともいえるボディパーツ製作とは裏腹に、中身については現代の技術との融合を全く恐れないところでしょう。
何しろ、3000GTでは「直列6気筒エンジンを搭載したFRグランツーリスモ」という2000GTのキャラクターを踏襲しつつ、それと全く相反するモデルも作れるのです。
それが何とトヨタ アクアのパワーユニットを搭載したFFハイブリッド仕様「RHV」で、直列4気筒エンジン横置き+ハイブリッドユニットをフロントに収め、前輪を駆動するのですから、外見は2000GTでも中身は全くの別物です。
ある意味スープラのパワーユニットを流用するより新しいのですから信頼性は高く、そのボディによる雰囲気以外は現代技術に委ねたいと考えるドライバーにも、しっかりアピールしています。
ただ「古い車をそのまま再現したわけではない」自由度の高さ、発想の柔軟性には驚くしかありません。
最新型はなんとボンドカー!
そして、オリジナルを忠実に再現したボディにも、まだまだ続きがあることを今回のオートサロンで見せつけられました。
トヨタ2000GTといえば、前期・後期で細部が若干異なるクローズドボディがもっともポピュラー、というより本来はそれ以外に存在しないはずなのですが、それ以外にも「オリジナル」は存在します。
それが映画「007は二度死ぬ」でボンドカーとして使われるため、撮影用とその予備のたった2台だけ作られた、オープンカー仕様のボンドカーです。
オリジナルのクーペボディをベースにオープンカーに改造したレプリカはありますが、ボンドカーに使われたのは2000GT試作車を改造した、まごうことなき「トヨタ純正」です。
その2台のうち、撮影に使われた方はトヨタ博物館(愛知県)に走行可能な状態で収蔵されており(常設展示はされていない)、もう1台もレストアされて国内に現存するようです。
その純正オープンカーをレプリカで再現したのが「R3000GTボンドカー」で、オートサロンで実物を見た時には、まだこの手があったか!と驚きました。
オリジナルのトヨタ2000GTに比べれば安い!?
クーペボディのR3000GTでも1,980万円と結構なプライスがついていましたが、ヘタするとオークションでは1億円以上で入札されるオリジナルのトヨタ2000GTに比べれば、信頼性は抜群で普通に乗れて、それでいてボディパーツはエンブレム以外同じです。 それを考えれば「格安」と言えるでしょう。
ましてやボンドカーなど市販されていないのですから、受注生産で2,380万円ですと言われても、お金を出して買えるだけでスゴイ!となります。
実際、受注生産でかなりバックオーダーを抱えているようで、ロッキーオートのHPではトップページで積極的な宣伝すらしていません。
あるいは既に2000GTを持っているオーナーが、普段乗り用に買うケースもあるでしょう。
R3000GTの存在で、トヨタ2000GTはその価値を薄めるどころか、より輝く機会を得たと言えるでしょう。