本記事ではHitotsuyama Racing の工場長でありメカニックの笠 裕貴さんにお話を伺いました。
工場長 笠 裕貴さん | Hiroki Kasa (Workshop Manager)
Ancar:まずは、単刀直入にお聞きしたいのですが、なぜHitotsuyama Racingを選ばれたんですか?
笠:最初はノバ・エンジニアリングという別の会社にいたんですが、そこに居た時に、R8のメンテナンスを一ツ山さんからの委託のような形でやっていたんです。二年ぐらいそこでやってから一ツ山さんが自社でメンテをするということになり、僕も一緒にR8にくっついてくる形で来ました。R8の繋がりで今ここにいるという感じですね。
Ancar:なるほど。ということは特別Hitotsuyama Racingに魅力を感じてというわけではなく?
笠:何も知らずにノバ・エンジニアリングにいて、そこでたまたまR8のメンテナンスをやっていたので、それでついてきたという感じです。
Ancar:その時のHitotsuyama Racingの印象とか感じたことは?
笠:新卒で入ってすぐだったので、何も知らずにレース業界に入って。
その時はスーパー耐久とか、Hitotsuyama Racingは色んなレースにも出ていて単純に「すごいな」と思っていました。
レースが好きでこの道に
Ancar:新卒での業界入りとおっしゃっていましたが、整備士の学校を経てすぐにR8を扱うところに入ったのですか?
笠:そうです。
Ancar:ディーラーとかではなく、レースの現場を選んだのは?
笠:レースが好きだったからですね。もともと日本自動車大学校のモータースポーツ科にいたので。レースにはもともと興味もあったというのもあります。
Ancar:その学校からの進路は色々あるのですか?
笠:そうですね。二年で卒業する人間もいますし、僕は三年でモータースポーツ科に行きました。二年で卒業した人間はほぼディーラー関係に。三年のモータースポーツ科まで行った人間は、ディーラーもいますし、レースが好きな人間が多いので、ちょこっとレースやっているところだとか、SUPER GTに出ているチームさんとかに何人か行きました。
レース前も、レース中も車の状態を守る
Ancar:そうなんですね!レース中はピットにも入られるんですか?
笠:はい、入って作業します。レース中のタイヤ交換などもやります。
Ancar:他に具体的にどういった作業を?
笠:問題がなければ特にすることはないんですが、基本的にはアライメントのチェックだったり、掃除したり、各部分のチェックなどしています。
Ancar:レースのために特別準備したりしていることはありますか?例えばトレーニングだとか。
笠:そうですね、自社では作業終了後にタイヤ交換の練習をしています。それをこなしていると身体はできてきますね。
Hitotsuyama Racing の今後の課題
Ancar:では話は変わりますが、メカニックの目線から見た今後や今のチームの課題は何でしょうか?
笠:チームがまだどういう状況になるかわからないので、はっきりとしたことは言えませんが、コミュニケーションの部分とか。
海外のチームともコラボしているので、コミュニケーション能力の問題ですね。
次のシーズンから車が新しくなるので、そこまで問題があるとは思っていないが、メカニックの人間が上手く向こうからノウハウとかを吸収して行くことが大事ですね。
Ancar:世界で活躍しているWRTのメカニックたちとの考え方の違いを具体的に教えて下さい。
笠:国が違うので、向こうは向こうの気候天候があります。ただ今は向こうがこっちに合わせてくれている感じ。車に関しては向こうの方が知識あるのでその点では非常に助かっています。レース自体ではそこまで違いを感じません。みんな「勝ちたい」と思っているのでどうにかトラブルなく1レース終われればいいですね。
Ancar:先ほど、モータースポーツが好きで勉強されて、この世界に来たという話がありましたが、最初からメカニック志望だったのですか?レーサーに憧れたことは?
笠:最初はレースを見て思うところはありました。ただある程度行くと現実を知って。それでも好きでメカニックっていう別の道もあるんじゃないか、ということでこの道を選びました。
Ancar:すごく素人質問で恐縮なんですが、レーシングカーを触れる人間は一般車もいじれるんでしょうか?
笠:いや、そこはやはり少し違いますね。うちのGT3という車はレースで直ぐに交換ができたり、取り外しができるようになっていたりしますが、一般車は色々な部分との兼ね合いで、あるパーツを取り外すために違うパーツを取り外したり、手間がかかる部分があるので、かえって大変だという面もあります。
あなたの夢はなんですか?
Ancar:最後になりますが、このチームとしてでも良いですし、個人としてでも良いんですが「夢」を教えて下さい。
笠:僕が来てSUPER GTで優勝出来ていないので、優勝はしたいです。
表彰台の真ん中に立って、シーズンチャンピオンを取れたら良いなって思います。
Ancar:もっと上のレースにチャレンジはしたいとかはありますか?
笠:どちらかと言うと僕はここが好きで、たしかに海外もすごいけれど、日本も負けてないと思うので、SUPER GTに焦点は合わせたいですね。
Ancar:もし仮にル・マン(24時間レース)でAudiチームのメカニックとして参加しないかと誘われたら?
笠:それは……ちょっと悩みますねー笑 もしかしたら行くかもしれない笑 興味はあります。一度入ってみたいと思いますね。でも長いんでね……タイヤ交換もそんなにやったら腰痛めちゃうし笑
Ancar:映像を見ているとメカニックの方が疲れて寝ているものが流れたりしますよね笑
なるほど、ありがとうございました!次回はもう少しマニアックなお話もさせていただければと思います!引き続き宜しくお願い致します!