現状、2つのFシリーズと7つのF SPORTあり
トヨタの高級車ブランド、レクサスにはそのブランドにふさわしい高級・高性能バージョンとして「F」をその高性能のトップに据えています。 それだけ聞くと、メルセデス・ベンツにおける「AMG」やBMWにおける「M」と同種の存在に思えますが、そのどちらとも真の高性能版と、そのイメージのみ再現した通常モデルの1パッケージが存在することを知る人も多いでしょう。 レクサスでもそれは同様で、高性能版と通常モデルのスポーツ版では大きく内容が異なります。 とはいえ「F」の意味としては同じで、富士山またはトヨタ傘下のサーキットである富士スピードウェイの頭文字としての「F」がその意味するところ。
その中でも、高性能版は車名の後ろに排気量を表す数字やハイブリッドを表す記号などの代わりに「F」とただ一文字がつきます。 通常モデルのスポーツ版の場合、「RC300h」など数字や記号の後に「F SPORT」がつきます。 現在、高性能版は「Fシリーズ」とも呼ばれ、4ドアスポーツセダンの「GS F」と2ドアスポーツクーペの「RC F」の2車種のみ。 「F SPORT」の方は、4ドアセダンのLS / GS / IS、2ドアスポーツのRC、5ドアハッチバックのCT、クロスオーバーSUVのRX / NXと7車種に設定されています。
FとF SPORT、何が違うのか?RCでの比較
それでは両方が設定されている2ドアスポーツクーペ、RCでFとF SPORTの違いを比較してみましょう。 まず違うのはエンジンで、Fはレクサス最強、つまり現在のトヨタ車最強の477馬力を誇る5リッターV8エンジン、2UR-GSEを搭載しています。 対してF SPORTは3.5リッターV6(318馬力)、2.5リッター直4+ハイブリッド(178馬力+モーター出力)、2リッター直4ターボ(245馬力)の3種類で通常グレードと比べて、特に専用チューニングは行われていません。
ブレーキはFが前後ともに専用のチューニングが行われた、パワーに見合う強力なブレーキを採用しているのに対し、F SPORTはフロントのみ強化。 タイヤもFは前後とも通常より太いタイヤを標準装備していますが、F SPORTは通常グレードより太いリアタイヤを標準装備する程度です。 また、LSDもFでは標準装備なのに対し、F SPORTではハイブリッド車以外にメーカーオプションとなるなど、明確に差別化されています。
Fは「本物」の高性能バージョン、F SPORTはあくまで気分
他にも細部はかなり変わっていますが、そもそもエンジンからして全く別物、それに合わせて各部が強化されている「F」と、エンジンは同じなので、その範囲内で最低限の強化を施した「F SPORT」という違いが出てきます。 レクサス車という時点で既にトヨタ車より1クラス上で高性能なのは確かですが、「F」ほどの高性能は不要だけれども、そのスポーティな雰囲気は味わいたい、あるいは時々スポーティな走りもしたいというユーザー向けが「F SPORT」と言えそうです。 ただ、エアロや内装をちょっと豪華にしてお茶を濁した程度の「豪華版」では無いのも確かで、サスペンションやブレーキに必要なチューニングが行われているところからは、F SPORTもまた「F」を冠するに値するモデルだと考えてもいいでしょう。 なお、「F」にはかつてISベースの「IS F」があり、スーパーカーのLFAもまた広義の「F」とレクサスでは捉えているようです。 さらに新型の大型2シータークーペ「LC」にも新型の4リッターV8ターボエンジンを搭載した「LC F」が追加されるという噂もあり、レクサスの「F」は、まだまだ車好きの心を揺さぶる存在でありそうですね。
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