自動車メーカーがサッカーに広げるお金の手。車メーカーがスポンサー契約する理由

数ある業界の中でも特に多くのお金を動かしている自動車業界。自動車メーカーも他業界のメーカーに比べ多くの財力があります。当然、大きな財力のある企業は様々なところに広告・出資を行います。そのお金の手は今世界で一番人気なスポーツ、サッカーにまで多大な影響を及ぼしています。ここ数年のサッカー業界はサッカー選手の価値がうなぎ昇りになり、大きなインフレを起こしている状態です。サッカーもサッカーで多大なお金が必要な上にサッカー選手の価値はうなぎ昇りになっているので、当然大きなお金が必要となります。そこで、大きな財力を持っている自動車メーカーとサッカーが繋がるのです。今回はそんな自動車メーカーとサッカーのつながりについてお話していきたいと思います。

自動車メーカーにおけるスポンサーであることの必要性

まず、スポンサーというものについて説明し、自動車メーカーにとってサッカーチームのスポンサーであることに、どんな理由があるのかお話していきたいと思います。なぜ自動車メーカーはサッカーにお金をかけるのでしょう?

そもそもスポンサーとは?

スポンサーとは一般の意味ではラジオやテレビでの広告主のことを指します。広告を載せてもらう代わりに番組の制作費などを出しているところですね。サッカーのようなスポーツビジネスの世界でも主な意味は変わりません。簡単にいうと資金面での支援者です。

自動車メーカーにとってスポンサーであることのメリット

自動車メーカーがサッカーチームのスポンサーになることによって得られるメリットは大きく二つあります。

知名度が上がる

まずなんといってもこれです。スポンサーになることでユニフォームにロゴを入れたりして知名度をあげることができます。メーカーにとって自分の会社の知名度をあげるというのは自分の会社の商品を売るための手段の中でも最良の手段です。どんな形でも会社の名前を覚えてもらうことにより消費者が商品を買う際の選択肢に入ることができます。そのための広告を世界一人気のスポーツ、サッカーで行うメリットは計り知れません。

企業に良いイメージを持たれやすい

スポンサーとなってるチームのサポーターからは、自分たちの応援しているチームを一緒に応援してくれている企業として見られるため、自然と企業のイメージは上がるでしょう。また、それだけではなくそのチームのサポーター以外の人々にも広告を出すには大きなお金がいるので、安定した経営ができているという良いアピールにもなります。

切っても切り離せない自動車メーカーとサッカーチームの関係

自動車メーカーとサッカーチームは広告以外のところでも密接に関わりあっています。ここでは実際にどのような関わりがあるのかについてお話したいと思います。

選手の乗る車を提供

スポンサー契約をする時にそのサッカーチームの選手や監督に新車がプレゼントされることは多いです。またプレゼントでなくとも1年間の無料レンタルという形で提供されることも。選手によってはその車で練習の行き帰りをする人もいます。しかし、有名なサッカーチームになればなるほど、提供はされますが個人で所有している車に乗るケースがほとんどでしょう。

選手獲得の資金提供

昨今のサッカー業界の中で最もお金のかかる分野となっているのが選手の移籍にかかるお金です。参考程度に今現在の移籍金のランキングを見てみますと、一位がネイマールの271億円、二位がフィリペコウチーニョの177億円、三位がキリアンムバッペの165億円とどれも想像のできないほどの大金です。それら大金の資金提供を行っているのがスポンサーである自動車メーカーなのです。つまりサッカーチームはチームを強くするために当然強い選手やしっかりとしたサッカー哲学を持っている監督が必要で、そのお金はスポンサーに依存しており自動車メーカーはその資金力を武器に巨大な広告を必要としているので、このサッカーと自動車メーカーの関係は切っても切れないものとなっています。

大手自動車メーカーの投資先クラブ

それでは、実際に大手自動車メーカーがどのクラブ投資しているのかについて見ていきたいと思います。自動車メーカーがスポンサーについていると資金力には余裕があるので必然的にサッカーチームも強豪になっていきます。また、自動車メーカーは地元愛を強調するため地元のクラブのスポンサーとなることが多いようです。

FIAT→ユベントス

https://www.juventus.com/en/news/galleries/2019/gallery-triestina-juventus.php

イタリア国内のリーグを8連覇中とイタリア国内では圧倒的な強さを誇るユベントスですがそのユベントスのスポンサーとなっているのが、同じくイタリアの自動車メーカーでイタリア国内で圧倒的な販売数を誇るFIATです。その始まりの歴史は古く、まだ発足して間もなかったユベントスを地元の自動車メーカーFIATのオーナー一族であるアニエッリ一族によって1923年に買い取られました。それ以降現在に至るまでおよそ96年間両者の関係は続いています。そしてユニフォームの胸にはFIATの子会社であるJEEPのロゴが記載されています。

Audi→FCバイエルン

https://audimediacenter-a.akamaihd.net/system/production/media/72892/images/cd3fc1f0bcee32ff6f7637444421fe77cd3b0b05/A190834_full.jpg?1548345521

こちらも同じ国内同士、そして同じバイエルン州同士での契約を結んでいます。FCバイエルンは国内リーグを28回優勝している言わずと知れた強豪サッカーチーム。そしてAudiもドイツ国内のみならず日本国内でも多くの人気を博している、言わずと知れた大手自動車メーカーです。この2社は2025年までの契約を結んでいますが、バイエルン州には同じく大手自動車メーカーのBMWもあるためAudiはFCバイエルンを独占というわけにはいかず2025年からはBMWとおよそ1,030億円という巨大なスポンサー契約が結ばれるといった話も出ています。

自動車メーカーが肩入れしすぎると危険

自動車メーカーとサッカーチームの関係は本来対等であるべきです。しかしながら現実は自動車メーカーがお金を出す側であるため主導権は自動車メーカーの方に偏ってしまいます。それが行き過ぎて自動車メーカーがサッカーチームを強くしようとするあまり自分の会社の社員を疎かにしてしまうケースも少なくありません。そのようなことが起こってしまった一例としてFIATのストライキ騒動について紹介したいと思います。

FIAT労働者によるストライキ騒動

この騒動が起こったのは2018年の7月。FIATはユベントスのスポンサーであるという話を先ほどしましたが、そのユベントスはこの時期に世界でもトップクラスの選手であり、皆さんもご存知の方も多いであろうクリスティアーノ ロナウド選手をレアル・マドリードから獲得しました。その移籍金は約137億円。もちろんその移籍金の大半を出しているのはスポンサーであるFIATです。するとFIATの労働組合は「我々はなんども労働者の処遇改善を申し立てているがそれには応じないのに選手の一人には何億ものお金を投じるのはおかしい。労働者の犠牲を強いるのは容認できない」とFIATの工場でストライキを起こすという騒動になりました。

まとめ

このように、自動車メーカーとサッカーチームの関わりは一見ないように見えますが実は密接なつながりを持っています。しかし、両者にとってメリットのある関係のはずがFIATのストライキ騒動のようにその裏で不利益を被るような人が出てきてしまってはその関係が汚れたものとなってしまいます。それが自社の社員であるならなおさらです。従って、これから先の自動車メーカーとサッカーの関係は本当の意味で両者にメリットのある関係に変化していくことが必要でしょう。また、個人的にもそうであって欲しいと願っています。

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