日本製造のスポーツカーがまた生産終了の発表をしました。それはホンダの「NSX」です。
1989年のバブル経済の中で製造して、1990年から販売し、今に至るまで愛されてきました。
公道でのワインディング走行や、サーキットでのスポーツ走行を演出してくれたNSX。
今回は、ひとつの時代を作り続けてきた、ホンダNSXの発売から現在に至るまでをお伝えします。
ホンダNSXの歴史
NSXの名前は「New Sports Car X」の頭文字から付けられました。
1989年から2005年まで、フルモデルチェンジもなく販売し続け、1989年の6月には日本でのNSXの発表を皮切りにアメリカ・ヨーロッパ各国で試乗会をしていきます。
そして、NSXは先端技術を卓越した安全性と、高度な走行を各諸国に見せつけたような印象を与えたのです。
各国のジャーナリストたちからは「これからのスーパーカーに対する見方さえ変えなければいけない」との声がありました。
なぜここまで評価が高かったのか。
1990年5月に、オールアルミボディ専用の工場(栃木工場)を作り、NSXを製造したいと思う技術者を集めてチームを結成します。
そこではアルミという溶接加工が難しい材料を、ホンダの技術力で対応できる機械を開発することから始まったのです。
1990年8月、栃木工場のオープンハウス式典が行われ、社長の川本信彦は、
「NS-Xは独自の技術を盛り込んだ新世代の商品であり、Hondaの夢の一つです。そして、栃木工場はその夢を育む場所でもあります」とあいさつを述べた。
そしてホンダはNSXをどのような車に仕上げたのかお伝えします。
初代NSXは1990年から2005年製造
1990年から2005年までに販売したのは、NA-1型3.0L V6 DOHCエンジンとNA-2型3.2L V6 DOHC エンジン搭載の2種類です。
コンセプトは「人間中心のスーパースポーツ」。
この頃のスポーツカーは安全性や快適性よりも、いかに高速度で走行できるかが重要視されていた時代でした。
しかしNSXは、快適性を追求するためにパワーウィンドウシステム・全自動エアコン・トラクションコントロールシステム・アンチロックブレーキを装備するために車体を軽減することを目指していました。
そしてもう一点考えていたのは、世界初のオールアルミのモノコックボデーでレースに参戦すること。
さらにもう一つ理由があります。
それは、アルミ合金は資源が豊富で公害の少ないということです。
そのような環境に優しい材料を求めていたのです。アルミは溶接加工の難しい材料のため研究を重ねていました。
この時代の最高なテクノロジーの集合とも言えます。
そしてNSXは、ミッドシップエンジンを採用したスポーツカーとして君臨します。
※ミッドシップとは車体中心近くにエンジンを配置すること。
タイプR
タイプRは1992年に発売します。
エンジンは標準装備と同じですが、「車体をどこまで軽くできるか」にこだわり、低重心で低燃費。これはサーキット走行を意識したことによるものです。
そして開発を続けて次のモデルとなったのは、NSX-Rです。
NSX-R
2001年東京モーターショーで公開した「NSX-Rコンセプト」を基にNSX-Rとして追加発売しました。
車体の軽量と爽快な走行に務めました。
NSX-Rを製造している期間には、NSX-R GTも製造しました。
NSX-R GT
2005年2月に1ヵ月間で5台のみの限定販売をした車両。
価格もその当時で約5,000万円でした。何台販売できたのかは定かではありません。
NSX-R GT はSUPER GTに参加した際の仕様車、ホモロゲーション取得車です。
※ホモロゲーションとは、レーシングカーのデザインでそのまま公道を走行できる承認車です。
NSXはレースに参戦
発売当初はレースに参戦することは考えていなかったため、エンジンばかり開発していました。
1992年にNSX-Rが登場してからは、国内レースに参加しながらもさらにエンジンを改良していきます。
1994年から3年間はル・マン24時間耐久レースも参戦しています。レースに参戦するごとにランクアップしていくようでした。
ついに1996年にはGT1、GT2に参加しGT2ではクラス3位を獲得しました。
2代目NSXは2016年から製造
2016年初代のコンセプトを継承しつつ、より高い走行と快適なモデルを進めてきたのが2台目NSXです。
6年間という販売期間ではありますが、ホンダが開発するテクノロジーで3モーター・ハイブリッドシステムを採用して高い走行を実現するスーパースポーツカーのハイブリッド車です。
そして、最終モデルとして登場するのは、NSX Type Sです。
NSXの最終モデル「Type S」
2022年に販売される「NSX Type S」は世界で350台の限定販売で、日本では、そのうちの30台を販売します。既に30台はオーダー受付が終了しています。
新車価格は税込2,794万円。
2台目NSXの最高モデル3.5L V型6気筒ツインターボエンジンです。
前輪の左右を独立したモーターで起動することや、減速した時のギアシフトダウンなど、今まで実現していなかったことにチャレンジしています。
まとめ
NSX初代は、16年の間大きなデザイン変更をせず販売し続けてきました。
スピードにこだわりエンジン開発を進め、車体の重さを軽減するためにオールアルミボディ専用の工場まで作る勢いです。
NSXはレースに参戦して結果をつくり、そのコンセプトを引き継いだのは2代目。
6年間と短い間ですが、ホンダが独自の3モーター・ハイブリッドシステムを搭載したモデルです。
そして、NSXの最終モデル「Type S」は2代目を継承しつつ最先端テクノロジーを集結しています。