【何かわかりますか?】SB、スーパー、ワンダー、グランド(今さら聞けない車の愛称略語)

クルマオタクの略語知識、車名愛称編。今回は2年後の日本市場復活がほぼ確定しているホンダ シビックの過去の愛称を振り返ります。


歴代シビックの中でも個性のあるモデルには愛称がある

ホンダ シビックは昨年デビューした新型が好調で、現在米国やタイで販売されているのと同じモデルが2年後を目処に日本での復活が本格的に検討されているようです。

2年後の2018年と言えば、ホンダの世界戦略車シティ(日本で販売されていた初代・2代目とは別なクルマ)をベースにした小型セダン、グレイスがデビューした2014年から4年目。

グレイスのモデルチェンジを機会に、知名度もありタクシーとしてもハイブリッド版が結構使われているので、グレイスから新型シビックにバトンタッチしようという目論見があるのかもしれません。

一般向けFF小型セダン自体が日本では市場規模が小さく、昔ながらの保守層のためにトヨタがプレミオやアリオンを販売している他はホンダ グレイスくらいだったので、新型シビックが日本に導入されても主な需要はタクシーで、日本での最終型(8代目)シビックハイブリッドの代替となるのでしょう。

今ではそんな「普通のクルマ」となってしまったシビックですが、かつては活発な走りをする2BOXカー(初代の途中からはハッチバック)あるいは3BOXタイプのコンパクトスポーツセダンとして人気が高く、その時代のシビックを中心に愛称で呼ばれています。

厳しい排ガス規制をクリアし、走りにもファンが多かった初代「SB」と地味な2代目「スーパー」

1972年にデビューした初代シビックは途中で副燃焼室を使った排ガス対策装置「CVCC」を搭載した、世界初の排ガス対策車として話題になりましたが、それだけではなく走りの方も評価されたモデルでした。

四隅に置かれたタイヤでの安定した走りと、軽量ゆえのシャープなコーナリングで、パワフルさを求められないダウンヒル(下り坂中心のワインディング走行)では一目置かれる存在であり、レースでも活躍しています。

しかも、排ガス規制のため数ヶ月しか生産できない事を知りつつあえてスポーツモデル「1200RS」を追加するなどホンダもスポーツイメージに熱心だったため走り系での愛好家も多く、現在でもその型式(2BOXの2ドアセダンはSB1)から「SB(エスビー)」の愛称で呼ばれています。

一方、1979年デビューの2代目には「スーパーシビック」という相性こそあったものの、初代からのキープコンセプトなデザインのままサイズアップしたスタイルが野暮ったく、サイズアップした割に室内空間がそれほど広くならなかった事などから、販売不振とまではいかないまでもあまり記憶に残らないモデルでした。

面目を一新して走りのシビックを決定づけた3代目「ワンダー」と、初のVTEC搭載4代目「グランド」

1983年にデビューした3代目、通称「ワンダーシビック」はスタイルがそれまでと打って変わって角形の近代的な姿になり、途中で追加されたホンダS800以来久々のDOHCエンジン、「ZC」で「ホンダ・ツインカムサウンド」が復活した事や、ツーリングカーレースでも多用されたので大人気となりました。

走り屋の間でも「ワンダー」の愛称で大人気となり、レーサーレプリカ仕様が走り回っていたのは漫画「ナニワトモアレ」などで有名な通りです。

1987年にモデルチェンジした4代目「グランドシビック」も同様に「グランド」の愛称で引き続き走り屋やモータースポーツ系のドライバーに人気となり、未だに現役で走る個体もあるほどですが、シビックとしては初めて(ホンダで初の搭載車はインテグラ)VTECエンジン「B16A」を搭載した事から、「VTEC(ブイテック)」の相性もあります。

テンロク最強となり長く活躍する5代目「EG」と6代目「EK」

既に「グランド」に搭載されたB16A型DOHC VTECエンジンでしたが、160馬力を発揮した初期から、170馬力にパワーアップしたB16Aを搭載した5代目「スポーツシビック」からは、初代のように型式(B16Aを搭載したホットハッチはEG6)から「EG(イージー)」と呼ばれます。

3代目4代目がメーカーがCMなどで使った通称にならった愛称だったのに対し、ここから型式に回帰するわけです。

モータースポーツでも走り屋の愛機としても活躍した「EG」はテンロク最強の座を争っていたトヨタ カローラレビンやスプリンタートレノ、三菱ミラージュに対してこの代で決定的な差をつけてテンロクスポーツ最強の名を不動のものとし、1991年デビューから25年と四半世紀がたっても未だに現役の個体が多く、非常に人気の高いモデルです。

1995年デビューの6代目「ミラクルシビック」も引き続き最強のテンロクスポーツとして君臨し「EK(イーケー)」の愛称で呼ばれますが、この代で初設定されたシビックタイプRはその型式から「EK9(イーケーナイン)」と別に呼ばれます。

現行モデルでは300馬力オーバーのi-VTECターボを搭載してすっかりFF世界最強マシンのような扱いで、限定販売により500万オーバーのプレミア価格がつく事も珍しくないシビックタイプRですが、この頃は200万円以下で最高の走りが手に入るという、今から考えるとものすごくいい時代でした。

ミニバン的な5ドアハッチバックと4ドアセダンのみとなってからは愛称なし

しかしシビックが人気車種だったのは「EK」の時代までで、7代目「スマートシビック」で3ドアハッチバックが廃止されて5ドアハッチバックもインパネシフトとウォークスルーも可能なフラットフロアなどショートミニバン的になってしまい、4ドアモデルからもスポーツグレードが廃止されるなど「走りのシビック」から「普通のクルマ」になると、もう誰も愛称では呼ぶほど愛されるクルマではなくなり、販売台数も急降下しました。

イギリスから逆輸入された3ドアハッチバックのタイプRだけは型式(EP3)から「EP(イーピー)」の愛称がありますが、人気が振るわず印象が薄いモデルです。

8代目になると4ドアセダンのみとなってメーカーさえも通称をつけなくなり、それでも復活したタイプRはそこそこ人気が出て型式(FD2)から「FD(エフディー)」と呼ばれますが、販売台数のほとんどがこのタイプRとハイブリッド版だけになり、限定販売されるタイプRを除けばこの代をもって日本市場からはシビックが消滅してしまったのでした。


ホンダ シビックを見ていると、愛称がある時は大人気、人気が落ちると愛されなくなって愛称もつかなくなるという、典型的なクルマ栄枯盛衰の象徴的モデルだと言えます。

2018年に日本市場に帰ってくるシビックも、愛称で呼ばれるようになるかどうかで、人気車としてそこから続くモデルとなるか、不人気で再び撤退するかが決まるような気がします。

今回は軽自動車の予定がシビックの話題にしてしまいましたが、次回こそは軽自動車の個性的な相性をご紹介します。

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