【日本で売れない三菱】三菱自動車はなぜこうなったのか

三菱と言えば、元々大きな財閥で巨大な組織力と財力のある三菱グループを思い出しますね。三菱重工や三菱地所、三菱UFJ銀行など。ローソンも三菱グループなんですよ。その中でも、比較的印象の強い「三菱自動車」ですが、最近あまり街で見なくなりましたよね?あの元財閥の赤いロゴ「スリーダイヤ」が全然街に走っていないなんて。昔はランエボの呼び名で親しまれた「ランサーエボリューション」がラリーを中心に車好きを沸かせていました。ホンダと張り合っていた時代もあります。そんな三菱自動車が、なぜ日本で売れない企業になってしまったのか。ここまで落ちてしまった原因はなんなのか。歴史を振り返りながら、今の三菱自動車の現状をお伝えしていきましょう。

三菱自動車のこれまで

三菱自動車は1970年に三菱重工から独立。三菱重工時代も含めれば、自動車を戦前から製造していることになり、日本最古の自動車メーカーと言うことができます。そんな老舗自動車メーカーですが、不祥事が原因で日産に34%の株を売って筆頭株主の座を渡しました。そんなこともあり、現在はルノー・日産・三菱アライアンスの一員となっています。

かつての栄光、ホンダと戦っていた時代

かつての三菱はWRC(世界ラリー選手権)に参戦し、チャンピオンに輝くなど、当時のラリーシーンを席巻していました。その高い技術力と、当時のRVブーム(ステーションワゴン、ミニバン、オフロードなどの車ブーム)でパジェロが人気になったことで、1994年にホンダからシェア率3位を勝ち取りました。パジェロと言えば、テレビ番組「フレンドパーク」の景品としてのイメージが強いですね。フレンドパークでパジェロが景品になったのも丁度1993年からのことです。その頃は憧れの車として景品になるほど人気があったのですね。

モータースポーツと高い技術力

先ほどの通り、三菱は4年連続でドライバーズタイトルを勝ち取り、当時はラリーレースの中心にいました。ラリーで勝つために4WDをアウディに負けじと開発していました。このラリーという存在が三菱自動車を4WDターボの第一人者とする要因だったのです。V6 2.0Lエンジンを搭載したFTOはカーオブザイヤーに輝き、ギャランは量産車世界初の直噴GDIエンジンを載せていました。また、1996年で既にセンサーで自動的にブレーキをかけるような現代のクルーズコントロールに当たる安全機能を開発するなど、高い技術力と信頼を持っていました。

度重なる不祥事と企業体質

さて、ここからが本題です。なぜ三菱自動車がかつての輝きを失い、落ちぶれてしまったのか。日本で売れなくなってしまったのか。それは、三菱自動車の度重なる不祥事が原因となります。命を預ける車ですから、その車を製造する自動車メーカーは信頼力が販売力に直結してきます。信頼できない自動車メーカーは車を売れないのです。三菱自動車の不祥事があまりにも多すぎるため、まずは一覧にして紹介します。

  • 1996年 米国三菱自動車製造でセクハラ。民事訴訟に発展した。
  • 1997年 総会屋(株主総会で権利を行使し、不当に企業から金品を受け取る組織)への利益供与事件が摘発。
  • 2000年 – 道路運送車両法違反(リコール隠し)が発覚、河添社長が辞任。
  • 2004年 またしてもリコール隠し。
  • 2004年 2002年の、ふそうトラックタイヤ脱落事故捜査により、3度目のリコール隠しと「ヤミ改修」(リコールを隠しながら不具合を改善すること)が発覚。多くの経営幹部や開発部門関係者が逮捕されて経営的に破綻しかける。
  • 2016年 燃費試験の不正問題が日産に指摘され発覚。
  • 2016年 燃費試験の不正発覚後も不正な方法で試験を行なっていた。
  • 2017年 日産と共に景品表示法の優良誤認違反で消費者庁に措置命令を下される。
  • 2018年 技能実習生のフィリピン人に不当な業務をさせる。
  • 2018年 代表取締役カルロス・ゴーンが金融商品取引法違反容疑で逮捕

こんなお騒がせ自動車メーカーは他にあるでしょうか。こんな短時間に3回もリコール隠しをするメーカーで車を買いたいと思いますか?リコールに関しては精密機器を製造する上である程度は仕方のないことであると思います。人の作るものですから、多少の問題は出てきてしまいます。しかし、それを隠すというのは不誠実極まりないことです。三菱が落ちぶれたのは自業自得なんです。悪いイメージが定着してしまって回復しないのではありません。三菱自動車は現在に到るまで不祥事を起こし続けているのですから。これは企業体質と言っていいでしょう。歴史のある大企業というのは独自の体質を持ってしまい、「おかしい」ことも「おかしい」と言えない社風になってしまうのです。

この不祥事により、三菱は世間からの信頼を失うだけでなく、経営的にも大打撃を受けました。持っている株を売りまくって資本提携を失い、バス事業は独立させざるを得ない状況に。ハローキティを宣伝に起用し、日本ハムファイターズのスポンサーになってなんとか黒字転換するものの、セダン市場から撤退し、上場も廃止になりました。最終的には日産に泣きついて株を渡し、再建を頼みました。しかし、現在はカルロス・ゴーンが逮捕されてしまったので、これからもどうなることやらですね。

三菱自動車の悲しい現状

三菱の過去の栄光、それからの地獄のような道のりを紹介しましたが、現在はどのようになっているのでしょうか。現在もあまり街で見かけませんよね。同じようにリコール隠しや汚職、補助金不正やデータの書き換えなど多くの不祥事を起こしたスバルは少しずつイメージを回復させてきたように思います。小さい自動車メーカーなりに車好きをターゲットにした心温まるCMを流していますね。スバルは昔からコアなファンではあるものの、ニッチな層から人気を誇っているように思います。しかし、三菱自動車はそのような企業努力をしているのでしょうか。

落ちた名門ブランド三菱

三菱自動車のイメージは最悪と言っても過言ではないかもしれません。三菱自動車のCEO(最高経営責任者)益子修は自動車運転免許を持っていないと言われています。本人の免許証を確認したわけではないので本当かはわかりませんが、ファンの間ではかなり前から言われていることです。噂ではありますが、自動車メーカーの社長が自動車運転免許を持っていないなんて、普通そんなこと言われませんよね。

さらに、2018年に映画化された小説「空飛ぶタイヤ」は三菱自動車がモデルになってます。タイヤの脱落事故とリコール隠しを題材にした作品で、三菱自動車がモデルであるのは一目瞭然ですね。ネタにされてしまうまでイメージが悪いんです。ネット上でも「地に落ちている」「燃えるゴミ」「すぐ壊れる」と散々に言われてしまっています。

売れる車が作れなくなった

もう三菱自動車は売れる車を作れなくなったと言われています。三菱自動車のカーラインアップを見たら「こんなに少ないの!?」と驚いていしまうかと思います。しかも、そのほとんどが日産などから提供されている車で、1990年代を一世風靡していたランサーエボリューションの姿はありません。ファンからは「三菱はランエボを捨てた。ファンを捨てた。」と言われています。かつてはあれほど力を入れていたラリーの中心、三菱の魂であるランサーエボリューションを生産終了させた三菱はファンを失望させました。もう乗用車のラインアップにはSUV、ミニバン、コンパクトカー、軽自動車しかありません。はっきり言ってしまうと、三菱自動車はつまらない自動車メーカーになってしまいました。

日本で売れない自動車メーカー

三菱自動車は2016年の燃費試験不正問題から新型車を発売していませんでした。そして、2018年に4年ぶりとなる新型車を発表したのです。しかし、その車をどこかで見ましたか?その名は「エクリプス クロス」です。そんなのCMでも見たことありません。しかも、三菱のエクリプスと言えばスポーティーなクーペで、トヨタのスープラなどと肩を並べていた車です。このエクリプス クロスは完全にクロスオーバーSUVですね。やはり、SUVは世界でも売れるのでしょう。日本で新型を出さなかった4年間も海外で販売を続けていましたし、もう日本で戦う気はないのかもしれません。

なぜ日本で売れない三菱が生き残れるのか

三菱自動車の2018年度総生産台数は498,626台ですが、そのうちの325,012台が海外への輸出で、国内販売は30,212台です。国内販売は海外のおよそ10分の1。確かに、海外の方が市場が大きいので輸出の方が大きくなるのはトヨタなども同じですが、流石に10分の1というのは極端過ぎます。日本の企業にして、日本で売れない企業。そんな三菱が国内市場で生き残り、潰れないのは何故なのでしょう。

日産、スズキからOEM

現在、三菱のカーラインアップは全部で21台ですが、そのほとんどが日産やスズキからのOEM供給車です。SUVこそ三菱自社の車となっていますが、ミニバンやコンパクトカーはOEM供給に頼っている部分が大きいと言えます。デリカD:3は日産NVバネットワゴンがベースとなっていますし、デリカD:2はスズキのソリオがベースです。他にも、ekスペース、ekスペース カスタム、ekワゴンは日産との共同開発、タウンボックスもスズキからのOEM供給車です。さらに、商用車は全てがOEM供給車です。逆に、日産へはデイズを提供しており、日産の強い販売力で利益を支えているようです。三菱はもうSUVしか作れないのでしょうか。

アジア諸国、ロシアでの人気

三菱が新型車を発表しなかった4年間。その間に海外での販売を強めていました。海外ではリコール隠しなどの不祥事が日本ほど広まっていませんし、悪いイメージもあまり定着していませんからね。海外ではピックアップトラックなども販売しており、アジア諸国での需要にマッチした車種が人気になっています。パジェロスポーツはロシアで販売され、その広大な国土に合う頑丈なSUVがウケています。このように、日本での信頼を失ってしまった三菱は海外で売ることに注力していました。

中国へエンジン輸出

近年では中国の自動車ブランドも力を伸ばしており、少しずつ中国車が受け入れられるようになりました。その中国車のほとんどに三菱のエンジンが載っているというのです。名前はあまり知られていませんが、中国のBYD、奇瑞汽車、長城汽車、華晨汽車という自動車メーカーの車には三菱のエンジンが多く起用されています。ベンツなどのメーカーはなかなか中国へエンジンを提供しないため、三菱にエンジンが多く導入されているそう。現在は、中国でのエンジン生産拠点を増やしていて、中国企業へのエンジン販売が三菱自動車の経営を支えているというのはあながち間違っていないでしょう。

バックには巨大な三菱グループが

三菱自動車はその社名のごとく元巨大財閥、三菱グループの企業です。と言っても、三菱グループの会社と連結しているわけではありませんし、資本関係もさほど大きくはありません。しかし、それでもバックには三菱グループが存在していると考えられますし、簡単に潰れたりはしないだろうと多くの人が思っています。実際のところ、筆頭株主は日産であり、これからの業績はルノー・日産・三菱アライアンスが鍵になるであろうと言われていました。しかし、カルロス・ゴーンが逮捕された今、アライアンスは継続しているものの、このまま3社共倒れになる可能性もありますね。