みなさんは「ヒュンダイ(現代)自動車」という韓国の自動車メーカーをご存じですか?多くの方がヒュンダイについて、韓国の大企業というイメージを持っていると思います。実際、ヒュンダイは韓国のみならず、世界中で知られた大きな企業です。ヒュンダイのシェアは世界5位だといわれています。しかし、日本でヒュンダイの車を見る機会はほとんどありませんよね。
そこで今回は、ヒュンダイが世界でどのくらい人気なのか、ヒュンダイの自動車を日本ではあまり見かけない理由についてお伝えしていきます。
現代自動車(ヒュンダイ・モーター)とは?
ヒュンダイ自動車について
まずはヒュンダイについて簡単に紹介していきます。ヒュンダイ自動車は1967年に鄭周永(チョン・ジュヨン)によって創立されました。50年以上の歴史を持つ言わずと知れた韓国の最大手自動車メーカーです。ヒュンダイ自動車グループの傘下には、キア(起亜)自動車という韓国2位といわれている自動車メーカーもあります。
ヒュンダイのロゴの由来
「Hyundai」の頭文字である「H」を地球をイメージした楕円で囲うようなデザインになっています。また、その「H」は「人と人が握手している姿」を表しています。「企業と顧客の間で良い関係性を築く」という思いが込められているエンブレムであるといえます。

ヒュンダイは世界中で人気
ヒュンダイのシェアはなんと世界5位!人気の理由とは?
ヒュンダイの2017年の年間世界販売台数は450万台程度で、ホンダと並ぶ売り上げだといわれています。また、グループでの売り上げは817万台程度で、世界5位のシェアを誇っています。「ヒュンダイ・コナ」などの電気自動車の売り上げが好調であり、拡大傾向にあるEV市場でも、ヒュンダイがさらなるシェアを上げていくかもしれません。また、IIHS(米国道路安全保険協会)は「ジェネシス」を2018年モデルの最も安全の乗用車のうちの1つとしました。日本でのイメージはあまり良くないかもしれませんが、世界では安全で信頼性のあるメーカーであるというイメージを作り出しているといえます。
世界でのイメージと日本でのイメージは異なる?
日本では韓国車(ヒュンダイ含む)について以下のようなネガティブなイメージを持っている人も少なくないようです。
- 「安っぽい」
- 「安全性が低い」
- 「ダサい」
しかし、アメリカなどの他の国々では、韓国車のイメージが大きく異なるようです。「日本車の方が良い」、「壊れた」など、韓国車にとってはネガティブな意見も見受けられましたが、インターネット上では以下のようなポジティブな声が多かったです。
- 「乗り心地が良い」
- 「信頼できる」
- 「壊れにくい」
「壊れにくい」、「壊れやすい」など乗る人によってさまざまな意見がありますが、ポジティブな意見の方がはるかに多かったです。日本車と比較した意見を書いていた人もいましたが、世界ではヒュンダイを日本のメーカーだと思っている人も少なくないようです。世界5位のシェアを誇っていることを考慮しても、日本でのイメージとは異なり、ヒュンダイ自動車は世界で愛されているメーカーだといえます。
日本メーカーより壊れにくい?
「J.D.パワー(アメリカの市場調査会社)」の2018年のデータによると、ヒュンダイ(現代)とキア(起亜)の自動車は品質が高く、信頼性があることが明らかになりました。
J.D.パワーは、2018年の車100台あたりの不具合件数を集計することによって、初期品質調査(IQS)と耐久品質調査(VDS)の結果を出しました。
※品質が高ければ高いほど、数値が低くなります。
初期品質調査(IQS)では、業界平均が93だったのに対して、上位3つのブランドは以下のような結果になりました。
- 1位:68 ジェネシス(ヒュンダイの高級ブランド)
- 2位:72 キア
- 3位:74 ヒュンダイ
ヒュンダイグループが上位3つを独占しました。ここまでの品質だと予想していた人は少ないと思いますし、多くの人にとって衝撃的な結果といえるのではないでしょうか。
耐久品質調査(VDS)では、業界平均が142だったのに対して、上位3つのブランドは以下のような結果になりました。
- 1位:99 レクサス(トヨタの高級ブランド)
- 2位:100 ポルシェ
- 3位:116 ビュイック(ゼネラルモーターズのブランド)
ちなみに、ヒュンダイが7位の124、キアが5位の122で、業界平均を大きく上回りました。また、1位はレクサスでしたが、ヒュンダイとキアはトヨタ、ホンダ、日産などよりも品質が高いとされました。
調査の仕方によって結果が変わる部分もあると思いますが、ヒュンダイグループの品質は高く信頼性があるという声を助長する結果となりました。
ヒュンダイは日本で成功できるか?
ヒュンダイの車を日本で見かけない理由
2001年、韓国の大手自動車メーカーであるヒュンダイ(現代)は日本市場に進出しました。「冬のソナタ」に出演をしていたぺヨンジュンさんをCMに起用するなどして、2004年の2,524台の販売を記録しました。しかし、それをピークに売り上げは減少していきました。結果として、2009年には日本の乗用車市場を撤退することになってしまいました。
ヒュンダイが日本で売れなかった要因はたくさん考えられますが、中でも「価格」と「信頼性」による影響が大きかったといえます。ヒュンダイの車は、値段が日本車より高かったり、同じくらいでした。そのため、わざわざ韓国車を選ぶ人が少なかったです。日本での韓国車のイメージもあまり良くなかったため、日本車より価格を安く設定する必要があったでしょう。また、日本にはアフターサービスの良い自動車メーカーが多く、韓国メーカーが入る隙がありませんでした。そんな中で、日本の自動車メーカーのような信頼性や他の武器がなかったことも原因だといえます。
ヒュンダイが日本市場に再進出?
そんな日本市場ではうまく売り上げを伸ばせなかったヒュンダイは、「東京モーターショー2019」に参加予定だったため、一部ではその東京モーターショーで日本市場へ再進出を発表するのではないかという声も上がっていました。しかし、結果としてヒュンダイは不参加となりました。
今後の先行きは不透明ですが、ヒュンダイが日本市場で成功するためには以下のような多くの点を考慮する必要があると考えられます。
- 価格競争(ヒュンダイの車の品質は高いようですが、日本でのイメージはそれほど良くありません。日本車との価格競争について考慮が必要だといえます)
- ・武器(信頼性のある日本メーカーに負けない武器が必要でしょう。革新的な技術の車やデザインなどにより、日本メーカーとは異なる地位を築いていけるかが課題かもしれません)
- 日韓の経済状況(日韓問題は売り上げに大きな影響を与えると考えられます)
日本の輸入車のシェアは10%以下です。そのため、日本市場は日本国外のメーカーにとっては最も難しい市場だといわれています。そんな中で、韓国が世界に誇る自動車メーカーがどのような決断をしていくか注目です。