【チェーン装着義務化!?】スタッドレスユーザー困惑…事故を懸念する声も

先日、12月14日に国土交通省の省令が施行されました。「チェーンの装着義務化」みなさんはご存知でしたか?これから、全国的に雪が降る季節になり、路面の状態も心配になってきますね。タイヤ用チェーンを持っているあなたも、持っていないあなたも、関係のない話ではないでしょう。ですが、この「チェーンの装着義務化」という言葉が少し一人歩きしているような気もします。チェーンをつけずに対象区画を走行すると、懲役や罰金の可能性もあります。本格的に雪が降る前に、ぜひこの省令について詳しく知っておきましょう。

「降雪時チェーン装着義務化」は誤解

「雪が降ったらチェーンを付けなければ行けなくなった」というのは誤解です。正しくは、大雪の場合のみです。その大雪というのも滅多になく、気象庁の「大雪特別警報」、国土交通省の「大雪に関する緊急発表」が発令された場合で、かなり異例の大雪が降る時です。「雪が降ったら」と言っても雪なんて急に降るものですし、流石にそんな省令はありえません。異例の大雪の場合は事前に発表がされるはずですので、ニュースなどでよくチェックしておくといいでしょう。

大雪時はチェーン装着義務化へ、なぜ?

http://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html#Q1

では、国土交通省はなぜこのような省令を施行したのでしょうか。それは、大雪時の大規模な立往生を防ぐためです。少々わかりづらいですが、上の図が国土交通省から発表されたものになります。この冬から、異例の大雪の場合は立往生を防止するために通行止めにする予定ですが、対象の13区画においては物流や経済活動をストップさせないためにチェーンを装着した車両のみ通行できるようになるということです。それでも、降雪のピーク時には通行止めになるため、あくまでも通行止めの時間を短くするというのが目的です。また、その区画の手前には新しく新設される「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の規制標識が置かれます。

http://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html#Q1

手前と言っても、具体的にどのあたりに設置されるのかはわかりませんが、この標識を目にする前にチェーン確認が原因の渋滞にハマるかもしれませんね。おそらく、この標識とは別に「この先チェーン規制」のような看板が立つことになるのではないでしょうか。

対象区画が国道と高速道路の13区画

対象の区画は以下のようになります。

国土交通省

http://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html#Q1

過去に通行止めや立往生が発生した区画のうち、チェーンの着脱などを行えるようなある程度のスペースが確保できる区画が選ばれています。対象区画を眺めると、かなりの降雪地帯も対象となっているようです。このようなところを大雪の時に走行する猛者がいるのかと思いますが、運送会社などのトラックは通行止めにされるより助かるでしょう。しかし、運送会社は運転のプロですから、このような降雪地帯では後輪2軸駆動で高性能なスタッドレスを履いています。その上からチェーンをつけろと言われたら不満の一つも言いたくなります。

スタッドレスタイヤでもチェーン装着義務化に

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今回の省令では、どのような車両であってもチェーンの装着が義務付けられます。夏用のタイヤでも冬用のタイヤでも、2輪駆動でも4輪駆動でも。近年では、スタッドレスタイヤもかなり高性能になり、雪国の地元民からは4輪駆動でスタッドレスタイヤなら十分だという意見もあります。

4輪にスタッドレスの方がノーマルタイヤにチェーンつけるより安全なのに…

やはり、雪国の人たちからは疑問の声が上がっているようです。「冬になれば冬用タイヤに履き替えるのが当たり前」、昔から雪国ではそうして冬を超えてきたわけですから、いきなり「チェーンをつけろ」と言われても何もわかってないと反発されてしまうのでしょう。「チェーンを義務化するよりもスタッドレスを義務化してほしい」という声もありました。チェーンは横滑りしやすく、スリップ事故の原因になるのではという意見もあります。今回は、あくまでも対象区画の通行止め時間を短くするのが目的ですから、全国的な安全対策とは少し趣旨が違います。ただ、「チェーン義務化」と言葉だけ聞くと「なんで?」と思ってしまいますよね。

凍結した坂道や新雪をかき分けるにはチェーンが有効か

チェーンは少しナンセンス?と思ってしまいますが、チェーンにも向いている環境というのがあります。特に、凍結した勾配のある坂道ではスタッドレスでも流石に滑ってしまいます。チェーンのようにガリガリと食い込みながら進めるチェーンに軍牌が上がります。また、高く積もってしまった深雪をかき分けて進むような場合はチェーンの方が有効です。もっとも、そのような状態では通行止めになるのが今回の省令なので、あまり意味はないでしょうか。

むしろ事故や渋滞が増えるのでは…?

安全対策というよりも、「立往生はさせたくない」→「でも通行止めにしたら物流が止まってしまう」→「仕方ないからチェーンを装着した場合のみ走行可としよう」というのが今回の省令です。少し強引な流れなので、チェーン装着して走行するデメリットの部分があまりカバーされていないように思います。特に、渋滞は覚悟する必要があるのではないでしょうか。チェーンの着脱をするスペースは確保されるとはいえ、高速道路ではSA・PAが混雑しますし、チェーンの確認にもかなりの列ができるでしょう。一般道でも脱着場に入れず、路肩での危険な作業を余儀なくされる可能性もあります。そもそも、大雪でどこもかしこも雪が積もっている状態でチェーン脱着の作業スペースを確保できるのでしょうか。

チェーン切れによる事故、落下の危険性

対象区画が含まれる北陸自動車道などは特にトンネルの多い道です。トンネルには雪が積もらないので、チェーンが傷みやすく、切れやすくなります。路上にチェーンが落下してしまうと大きな事故にも繋がります。対象区画にトンネルがなくても、その前後でチェーンを装着して走行する人も増えるでしょう。高速道路の落下物ほど怖いものはありません。

スタッドレスタイヤ購入者が減る?チェーンで妥協する人が増えるかも

チェーンはスタッドレスよりも安価で手に入ります。対象区画では、大雪になってしまえばスタッドレスを履いていてもチェーンをつけなくてはいけません。そうなってしまったら、「最初からチェーンだけ買えばいいや」という人が増えてしまうのではないでしょうか。この省令が発表されてから、チェーンの売り上げは40%ほど増えている店もあるようです。チェーンが売れるようになるのは当然ですが、安全のためにはスタッドレスも売れるようになって欲しいですね。