国産エンジン史ディーゼルその3・経済性にとどまらない、各社の80~90年代ディーゼル

国産エンジンの歴史をさまざまなジャンルからお伝えしていくシリーズ、ディーゼル編。第3回は「ただ安い軽油で走る、経済性が高いだけだったディーゼル」を乗り越えた、80年代から90年代の各社のディーゼルエンジンを紹介します。


第1次オイルショック以降、ターボ化や電子制御化が進む

1950年代から主にトラック用、そして乗用車用でも「軽油で走れる」という経済性を理由に採用されたディーゼルエンジンですが、1973年の第1次オイルショック以降の省エネ時代に突入すると、ただ走ればいいという時代は終わりを告げます。

乗用車用エンジンとして、ガソリンエンジン並の走行性能を持たせる事を目指して、ガソリンエンジンと同様にさまざまな技術が注ぎ込まれるようになるのです。

ターボ化やインジェクション化、それに電子制御化など、新時代のディーゼルエンジンを各社が投入する事となりました。

小型のN型から大型のL型まで投入していたトヨタだが

現在に至るまで、日本市場ではあまりディーゼルに熱心とは言えないトヨタが、それでもこの時期には小型ディーゼルエンジンを投入していました。

1.5LのN型がそれで、スターレット用のNA版(1N)とターセル/コルサ/カローラII用のターボ版(1N-T)がそれです。

量販車だったこれら4台の中でもディーゼルエンジン搭載車の販売台数はそれほど多くなく、たまにスターレットのディーゼル車を見かけると、小さなボディから豪快なガラガラ音がしていたので、とても目立ったものです。

対してマークIIやクラウン用に搭載されたL型はディーゼルエンジンでありながらトヨタ初のタイミングベルトを採用したSOHCエンジン、EFI(電子制御燃料噴射)を採用したディーゼルターボの投入が積極的に行われました。

ランドクルーザーやハイラックスにも採用された2.2リッター~3リッタークラスのエンジンでしたが、耐久性に難があって比較的早期に後継のKZ系エンジンへのバトンタッチを余儀なくされます。

結局この時代のトヨタ製ディーゼルエンジンとしては2.2リッターの3C型などもありましたが、それほど太くないトルクの割に重さを感じさせるなど、あまり成功したものとはいえない印象です。

その後トヨタはクリーンディーゼル等を投入せず、乗用車用エンジンでガソリン、LPG以外の燃料としては電気や水素に傾いていきます。

小型ディーゼルターボの吹けが良かった日産

ガソリンエンジンでいち早くターボを投入していた日産らしく、4気筒2リッターのLD20Tやその後継のCD20ETの吹き上がりが良く、ブルーバードやアベニールなどで良好なドライバビリティと燃費を両立させていただのが、この時代の日産のディーゼルエンジンです。

トヨタのディーゼルに比べればそれほどガラガラ音が目立つわけでも無く、高速走行でも太い低速トルクからスムーズに速度を載せていくあたりには高級感もあり、ディーゼルに自信を持った日産はその後もX-TRAILでクリーンディーゼルを投入するなど、積極的に継続していきます。

乗用車用インタークーラーターボを積極投入の三菱

三菱はミラージュからギャラン、シャリオ、RVRなどに1.8~2リッタークラスのターボディーゼルを積極的に投入しました。

日産やいすゞ同様にトラックやRV車からのフィードバックが豊富な三菱のディーゼルは乗用車用としても両社と同様に定評があり、中でも2リッターインタークーラーターボの4D68Tはランエボなどの4G63のディーゼル版として、セダンやハッチバック、ミニバンまで広く使われています。

異色のコンパクトディーゼルで個性を出したダイハツ

各社とも乗用車用としては1.8~2.4リッタークラスを主力として、同クラスのガソリンエンジンより一回り大きな排気量のディーゼルエンジンを搭載していたのに対し、「リッターカーにはリッターカーのディーゼルを」とばかりに1リッターディーゼルエンジンを開発、シャレードに搭載してたのが産業用ディーゼルエンジンを作るダイハツディーゼルを系列に持つダイハツです。

同社のCB型ディーゼルエンジンをベースに、排気量はそのままでディーゼル化、あるいはディーゼルターボ化したCD型エンジンを長らく使っており、プリウスの登場まではシャレードディーゼルターボが日本車最高燃費だった時代もあったほどでした。

1990年代後半以降もスーパーチャージャーで強制掃気する高回転型2ストロークディーゼルエンジンなどをシリオン(日本名ストーリア)に搭載してモーターショーに出品するなど存在感を示していましたが、2016年にトヨタの完全子会社化された事でコンパクトカー用ディーゼルエンジンの復活が期待されます。


以上、80年代以降はいすゞに限らず、トラックやバス、産業用のディーゼルエンジンからフィードバックを得られるメーカーが積極的に乗用車用ディーゼルを開発、投入していきますが、90年代以降は「黒煙を出して臭い、ガラガラとうるさい」というイメージから急速に下火になっていきます。

トヨタやダイハツなどはその顕著な例でしたが、2000年以降は新たに環境エンジンとしての活路を見出し、新たなメーカーの参入が見られるようになるのでした。

次回は現代のクリーンディーゼルをご紹介したいと思います。

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