マツダの新技術!Gベクタリングコントロールは初心者やペーパードライバーほど効く?

SKYACTIVE技術で素晴らしいエンジンを開発し、毎回すごい技術を出してくるマツダですが、今回のGベクタリングコントロールもそのひとつで、熟練ドライバーなら誰でもやっているあの技術を自動的にやってしまうとか?

「事実上」シャシー性能を底上げしてしまう新技術「Gベクタリングコントロール」とは?

通常、クルマのハンドリングを向上させるためには、まず剛性が高いシャシー、ボディ、そして最後にタイヤやサスペンションを詰めていく事になります。

小改良やマイナーチェンジのたびに地道に手を入れ、ユーザーの目が届かない部分でも手を抜かないからこそ、名車は名車として賞賛されたり、あるいは初期型の不評を改良を重ねて賞賛に変えていくわけですが、そのために日の当たらない努力を続けないといけない開発陣は結構大変です。

何しろシャシーがどうした、サスペンションジオメトリをどうしたとやっているより、ユーザーとしてはビルシュタインのダンパーが入ったり、派手なリアスポイラーでもついた方が喜ぶものですから。

しかし、そこで開発陣の苦労を解放する…とまではいかないまでも、ハードウェアではなくソフトウェア的なアプローチからシャシー性能を「事実上底上げしてしまう」というすごい技術がマツダから誕生しました。

それが「Gベクタリングコントロール」です。

名前だけ聞くと、四輪のトルクを制御していかなる路面でも安定したコーナリングを…というイメージが湧いてくる人もいるでしょうし、実際にそうした制御を採用しているメーカーは珍しくありません。

しかし、そのような四輪独立電子制御を行えるハードは高価で高級車以外にはなかなか採用できず、大衆車ではせいぜいABSの応用で四輪独立ブレーキ制御をやって、滑り止め防止に使うくらいです。

ましてや、それでシャシー制御を高めるなどとは全く別次元の話になります。

しかし、マツダの場合は全く方向性が異なり、エンジンそのもののオンオフだけで不安定になりがちなクルマの安定性を制御し、シャシー性能を底上げした事で得られるのと同様の効果が期待できるというものです。

具体的には真っ直ぐ進む時には「より真っ直ぐ走りやすく」、曲がっている時には「より安定して曲げやすく」、修正舵をステアリングで頻繁に行う必要が無いというものです。

それは、どんな仕組みなのでしょうか?

聞けば何の事は無い、人によっては「いつもやっている技術」だが

その具体的な仕組みですが、実に単純です。

必要なデータは「ステアリングの切れ角」と「車速」のみ。

今どきはスマートフォンどころかスマートウォッチにもついているようなGセンサーすら必要としません。

この2つのデータからクルマがどういう運動をしているかを把握して、そのために必要な操舵輪(つまりフロントタイヤ)に必要な荷重と、それに追従する後輪の荷重を瞬時に計算、それを実現するためにスロットルのON/OFFを微妙に、緻密に行うだけなのです。

これだけ聞くと熟練ドライバーは「あれ?そんな事いつもやっているよ?」と思うかもしれません。

クルマというのは曲げるためにステアリングを切りますが、駆動方式にもよるものの基本的にはアクセルペダルを少しだけ緩めれば、その分だけ加速Gが減ったり減速Gがかかったりしてフロントタイヤに荷重がかかってタイヤのグリップ力が上がって曲がるようになり、またその逆をしてフロントタイヤからほんの少し荷重を抜くような作業は、日常的、かつほぼ無意識にやっているものなのです。

そのため、「Gベクタリングコントロール」の理屈は熟練ドライバーほどわかりやすいかもしれません。
ただし、そうした熟練ドライバーでも全員がやっているわけではない動作が「予測」で、Gベクタリングコントロールの場合、何かが起きてからセンサーで検知して作動するのでは無く、得られた情報から何かが起きる事を「予測」して、いわば先取りで動作します。

そのためには「予測」ができるだけではなくエンジンのレスポンスも重要なので、SKYACTIVE技術で作られたエンジンが、緻密な制御が可能である事が大前提として実現できた技術でも言えます。

その「予測」が無ければどんなクルマでも後付けでECUをアップデートしたりサブコンからの制御でGベクタリングコントロールと同じ動きを実現できそうですが、実際にはそう簡単にはいかないようです。

ペーパードライバーや初心者ほど効果を発揮する

先にも書いたように、熟練ドライバーであればある程度はやっている技術ですが、そうでないドライバーにとってはアクセルでの細かい制御など思いもよらず、頻繁にステアリングでの修正を行ってはクルマをユラユラさせて、同乗者にクルマ酔いや不安感など不快な思いをさせているドライバーも多いと思います。

そうしたドライバーにとってはまさに福音のような技術で、極端な話Gベクタリングコントロールを使ったクルマを運転するだけで、熟練ドライバー並の安心感を同乗者に与える事ができるだけでなく、自分も運転がすごく楽に感じるはずです。

また、熟練ドライバーにとっても荒れた砂利道や凍結路など経験不足で「予測」のしずらい路面ではその恩恵を受けて、ずいぶん楽に走れる事かと思います。

現段階ではまだ技術発表段階で採用車種などは決まっていませんが、今後販売される車種だけでなく、仕組みとしてはSKYACTIVE技術で作られたクルマの中でもコンピュータのアップデートだけでGベクタリング化が可能なものもあるのかもしれません。

そう考えると、SKYACTIVEというのは単にいいエンジンなど優れたハードウェアを作るだけでなく、さまざまな恩恵、応用効果をもたらす最高の基礎技術なのだな、と感心しますね。