「Y世代」と呼ばれる、1975年〜1989年頃に生まれた若年層をターゲットにしていた「サイオン」チャンネル。2003年からの短い歴史に幕を下ろします。
アメリカでも、若者のマイカー購買力が弱まっていると判明
設立から13年を経て、トヨタはサイオンブランドを辞めることを決意しました。新型のトヨタブランド車のターゲットが、サイオンの対象ユーザーと被ってしまう。この事実をトヨタが正式に認め、サイオンの廃止が発表されました。
これまでサイオンとして売られてきた「FR-S」(日本名「86」)、「iM」(日本名「オーリス」)および「iA」(マツダからOEM供給される、「デミオ」のセダン版)の3車種は、トヨタのラインナップに移されます。その一方で、 「tC」 (北米専売のスポーツクーペで、「セリカ」の後継車扱い)はモデル廃止となり、2016年中に惜別のファイナル・エディションが発売されたあと、製造を終えることになります。 今後登場予定のクロスオーバー車「C-HR」もトヨタブランドで売られ、「RAV4」の下に位置づけられるモデルとなります。
これまでに販売されたサイオン車は、今後もトヨタのディーラーで整備などのサービスを受けられます。
たしかに、ここ数年のサイオンの業績は芳しくありませんでした。新型モデルであるiAやiMが登場しても、2015年の販売は5万6,167台に留まっています。若者向けにアピールされたサイオンでしたが、そのターゲットを充分につかむことが出来なかったと言えます。ふたを開けてみれば、サイオンの実際の購入者は、平均で49歳だったという報告もありました。的が外れたとは、このことでしょうか。
サイオンは、角張った箱のような形をした、変わり種のクルマ(注:トヨタ「bB」や「カローラ・ルミオン」のサイオン版を指す)で、またカスタム用の豊富なオプションがあったブランドとしても、記憶に残ることでしょう。 不振に終わった例として、米GMでも、過去に存在したサターン、ポンティアック、オールズモビルといったチャンネルがありましたが、 トヨタも少し的を絞りすぎたのかも知れません。