ボルボ240シリーズの特徴
(1) 安全神話を揺るがないものとした車
ボルボ240シリーズはスウェーデンを代表する企業グループ、ボルボによって1974年から1993年の20年間にわたり生産されました。ボルボは当時から徹底した交通事故の分析と、それに基づいた積極的な安全技術の開発と導入を行っていました。この取り組みがボルボの安全神話として240シリーズの先代モデルである140シリーズの頃から創られ、続く240シリーズで揺るがないものに確立されました。
(2) モータースポーツでの活躍
先進の安全技術が導入される一方で、240シリーズは欧州ツーリングカー選手権に出場し、1985年、1986年と連続優勝し、高い機動性と耐久性そして信頼性を実証しました。
また、その走る姿から「空飛ぶレンガ」(Flying Brick)のニックネームがつけられ、世界中から賞賛と人気を集め、その後も多数のモータースポーツの大会に参戦し多くの実績を残し、この活躍がボルボの理想的な自動車のビジョンを印象づけることになりました。
(3) ボルボの代名詞
240シリーズの活躍、そして安全性、耐久性と信頼性が日本においても人気を博しました。
240シリーズには、ワゴンタイプのエステートとセダンの二つのボディタイプがありましたが、スキーやサーフィンなどのアウトドアスポーツを趣味とするオーナーからは長尺物が積載できることで、エステートが好まれました。
さらに、その後に訪れたバブル景気による高級車・外国車ブームがさらに後押しし、街角で「空飛ぶレンガ」は、よく見られるようになり、角張った姿はボルボの代名詞になりました。
エクステリア・インテリア
(1) エクステリア
「空飛ぶレンガ」のとおり、角張った重厚なボディそして太い前後のバンパーさらには金庫の扉のような頑丈で武骨なドアなど、ボルボの安全対策がエクステリアから感じられます。例えば冷蔵庫のドアノブに似た取っ手は、事故の際に乗員が車内に閉じ込められたとき、これにロープなどをかけて救出しやすくするための工夫であり、大きなボンネットは衝突時の衝撃を吸収するためのクラッシャブルゾーンになっています。
(2) インテリア
ドアノブに手をかけると重厚なドアは軽く開き、独特な音とともに閉まります。
座席に座って先ず感じられるのは安心感で、武骨でシンプルな造作ではあるもののスウェーデンらしい温もりを感じることができます。これらはスウェーデンの物作りの伝統だけでなく人間工学に基づいて設計されており、シートや機器類に無駄がなく、長時間のドライブも疲れを感じさせません。また、エステートはスキーやサーフボードなどの長尺物でも楽に積載可能です。
中古車価格
(1) 240シリーズの最終モデル「Tack」
かつては、ボルボの代名詞と言えるほどの多数を誇った240シリーズでしたが、既に生産最終から20年を超えていることもあり次第に数を減らしています。
したがって、昨今は希少価値が加わり以前よりも価格が上昇傾向にあります。
なお1993年の最終モデルである240 Tackは、車両の程度にもよりますが100万円弱の価格帯が相場になりつつあります。
(2) 「Tack」と同時期の最終モデル「Classic」
240 Tackと同時期にリリースされたモデルが240 Classicです。
240 Classicの価格帯は240 Tackと、ほぼ同じです。
なお「Tack」、「Classic」ともにエステートとセダンの二種類のボディタイプがありますが、現在の中古車市場で見られるのは、その殆どがエステートです。
240 Tackモデルがおすすめ!
(1) 240 Tackモデルの燃費
240シリーズの最終モデルに名づけられた「Tack」はスウェーデン語で「ありがとう」という意味であり、20年間の長期にわたって生産・販売された同シリーズへの感謝の気持ちが込められています。燃費はガソリンエンジン仕様で街乗りの場合7Km/リットル程度、高速走行で10Km/リットル程度です。
(2) Tackモデルの維持費
ボルボは、耐久性が高いことから他の外国車に比較して維持費がかからないと言っていいでしょう。しかし、耐久性と信頼性の高いボルボといっても生産終了から20年を超える240シリーズなので、程度に応じた整備を確実に行う必要があります。したがって、ある程度の車に対する技術や知識が必要になります。
Tackモデルについていてほしいオプション3選
(1) HIDまたはLEDヘッドライト化 (2~5万円)
オリジナルのヘッドライトはハロゲンランプ。中古車の状態によってはヘッドライトのガラスレンズの曇りや、リフレクターが劣化して光量が不足しているものがあります。光量不足が酷い場合は、車検をパスできませんのでレンズやリフレクターの清掃または交換が必要ですが、HIDまたはLEDヘッドライト化してランプ自体の光量を増し、安全で快適な夜間走行を確保したほうが良いでしょう。
(2) ETC (1~3万円)
現在の高速走行にETCは必需品なので、装備した方が良いでしょう。
(3) ナビゲーション・システム (1~10万円)
ナビも一般的に普及しており、ついていない車両が少ないほど。
ナビも様々なモデルがありますが、手軽に取り付けが可能なポータブルナビが良いでしょう。
まとめ
240シリーズはボルボの中のボルボと言っても過言ではなく、その外観やドライブフィールは、現在のボルボとは一線を画した独特の味があります。また、現在の車に比較して構造が単純なことからDIYで整備ができることも車好きにとっては大きな魅力で、確実に整備を行えば走行距離が伸びても安定した走りを見せる車です。
さらに長期間にわたり製造されていたことも相まって、生産終了から20年以上経過したモデルとしては類を見ない中古部品の供給があり、維持費が嵩まずメンテナンスがしやすい、ある意味でお勧めのクラシックカーです。
なお中古車を購入する場合は、信頼でき、保証が万全な欧州車に強い専門店から購入されることをお勧めします。