超小型車の時代・その3「80年代前半、一瞬輝いたミニカーブーム」

1980年前半に一瞬だけ存在した、異様な風景

皆さんは、今から30年以上前の1980年代前半、道行くクルマがどんな風景として写っていたか、想像がつきますか?
街往く車は当然ながら今より古く、まだミニバンやSUVなどほとんど無かった時代ではありますが、それを除けば「クルマやバイクが盛んに走っている」という点では大きな違いがありません。
ただし、その一時期だけ、現在とは大きく違う車が数多く走った時期がありました。
それが50ccエンジンを搭載した、小さな自動車とも車輪の多いバイクやスクーターとも、何とも言い難い「ミニカー」でした。

流行った瞬間に規制が入ったミニカー

「ミニカー」とは、道路交通法上は「50ccエンジンまたは0.6kw電動機を搭載した自動車」であり、道路運送法上は「原動機付自転車」つまりホンダのカブや原付スクーターと同じ扱いになる乗り物です。
道路交通法上は自動車なのでヘルメットの着用は不要で、ちょっとした雨風程度はしのげるキャビンを持ち、スクーターよりは居住性に優れ、かつ当時は原付免許や自動二輪免許で乗れたものですから、そこに目をつけた業者によってちょっとしたブームになりました。
スクーターなど原付バイクのエンジンやパーツの流用で安価に作れ、車検も不要な事から、戦後に小規模な軽自動車やバイクのメーカーが乱立したように、小規模事業者がミニカーを数多く作ったため、全貌は現在でも把握されていません。
「免許取り立て」どころか普通自動車免許を持たなくても原付か自動二輪の免許があれば運転可能な事から、女性や若者などがチョイ乗りで乗る用途で1980年代前半爆発的に急増しました。
しかし、法規上も、動力性能(原付のエンジンに重いキャビンを載せている)からも30km/h程度での走行しかできなかったため、普通の自動車や軽自動車からは「遅くて邪魔」、トラックやバスからは「チョコマカしていて踏み潰しそうで危ない」という声が上がり、社会問題になってしまったのです。
結果、1985年2月に道交法が改正されて「ミニカーの運転にも普通自動車免許が必要です」という事になりました。
どうやらユーザーの大半は普通自動車免許を持っていなかったようで、あっという間に市場は縮小、現在ほとんどのメーカーは撤退しています。

「富山の車売り」光岡自動車が量産したミニカー

その一瞬の大流行の中、粗製濫造車も多かった中で比較的マトモなミニカーを大量生産して市場への供給を支えていたのが、富山の光岡自動車と、タケオカ自動車工芸でした。
元々が看板製作会社でFRP整形を得意にしていたタケオカがボディを開発し、それを光岡自動車の工場でパワートレーンなどを組み込んで製造する形で「BUBUシャトル50」など多数のミニカーを送り出すという形を取っての大量生産です。
しかし1985年の法改正でこれ以上ミニカーで商売をするのは無理、と判断した光岡自動車はミニカーから撤退します。
しかし光岡のBUBUシャトルは可愛らしいスタイリングや、サスペンションやブレーキ周りなどがそれなりに「自動車らしく」作りこんであったので、その後も長く愛好している人を見かけました。
2000年頃になっても地方都市で時々見かける事があり、懐かしさを感じると共に、街中のスーパーの自転車・バイク置き場などでも止められる手軽さから、動力性能に問題が無ければ現代でも通用しそうだと思ったものです。
その後の光岡自動車が、ビュートなどの改造パイクカーや、ゼロワン、オロチなどオリジナルカーでそれなりの自動車メーカーに成長したのはご存知の通りですね。

多品種少量生産で現在も継続中のタケオカ自動車工芸

一方、タケオカ自動車工芸はその後もミニカーを作り続けました。
市場規模こそ小さいものの、「原付やバイクに乗れない人でも運転できる簡便な乗り物」というポジションでのミニカーにはまだ需要があったからです。
車椅子の方がそのまま乗り込んで運転できるミニカーのように、電動車椅子の高性能版であったり、身体的障がいを持つ人にとって原付自転車的な乗り物が欲しければ、タケオカ自動車工芸が頼り、という時代が長く続いています。
現在でも電気自動車の「ミリューR」など数種類のミニカーを製造(または輸入)、販売しており、受注生産でさまざまなカスタマイズに応じる事ができるという点も、普通の自動車メーカーが作る補助運転装置つき自動車とは大きく異なり、その技術は海外でも高く評価されています。


1980年代前半のミニカーブームは、それ自体は「一時の流行」で終わったものの、現代の超小型車を考える上で貴重なテストケースであったと共に、「ただ安く簡便なだけでは済まない」という教訓も残しました。
また、現実には動力性能の点、例えば法改正で制限速度が60km/hに引き上げられたものの、アンダーパワーでどのみちそこまでの速度は出せない、などの問題点がありながらも、根強い需要があるという事も示しているのです。
次回は、そんなミニカーと現在考えられている超小型車との間のもうワンステップ、「屋根付きバイクやバギー」についてご紹介したいと思います。

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