国産大衆車史その15「足のいいやつ、カリーナ」

セリカの兄弟車、トヨタ店のスポーツセダン

初代カリーナがデビューしたのは1970年12月。 トヨタ初の2ドアスペシャリティクーペ、セリカと共にデビューしました。 セリカとはデビューが同時だっただけでなくプラットフォームを共用した兄弟車で、そもそも「スペシャリティカー」とは乗用車をベースにスポーツカー風のボディを乗せたクルマです。 つまりカリーナはセリカのベースモデルであり、セリカのスポーツセダン版とも言えました。 さらに、カリーナのトヨタ内に置けるポジションは、コロナとカローラの中間という位置づけです。 しかしカローラ店で販売されていたセリカに対し、カリーナを販売していたのはトヨペット店より上級の顧客や法人がユーザー層がトヨタ店。 そこでコロナより1ランク下のスポーツセダンを扱う事に若干疑問も感じますが、トヨタ店でほぼコロナと同クラスの小型車をエントリーモデルとして扱うにあたり、差別化も必要だったのでしょう。 セリカも明らかに若者向けの割にはトヨタオート店ではなくカローラ店で販売していたので、トヨタの販売系列別車種構成は時々いびつに感じます。 本来ならスポーツユーザーはトヨタオート店の「縄張り」なので、セリカ、カリーナ、スプリンター、パブリカ(後のスターレット)ならしっくりいったのですが。 しかし現実はトヨタ店の扱いであり、クラウンより安いセダンを買おうと思うと「いきなりカリーナ」と戸惑う状態は、現在もクラウンの次はいきなりアリオン、として続いています。

足のいいやつ、カリーナ

ともあれデビューしたカリーナは、セリカの兄弟車だけあって足回りの優れたスポーツセダンということで、「足のいいやつカリーナ」というキャッチコピーで宣伝されました。 ただし、フロントがコロナのダブルウィッシュボーンに対し、カリーナではセリカ同様軽量簡潔コンパクトなストラット式ではあったものの、リアがリーフリジッドだった事には変わりがありません。 日産 ブルーバードがこの時期既に4輪独立懸架だったことを考えると、「足のいいやつ」と言い切ってよいものか今でも疑問が残ります。 ただし、非舗装路での安定性や耐久性を考えればリーフリジッドが悪いとも言えず、トヨタとしてはまだまだ道路事情の悪かった時代の日本で4輪独立懸架は早いと考えたのでしょう。 実際、セリカもカローラレビンも当時はリーフリジッドのままでラリーでも活躍したのですから、それで正解だったのかもしれません。 実際には、コロナよりほんのわずか短いホイールベースや、同じく少し低い車高(ルーフ高)で、軽快でスポーティなイメージを出していました。

エンジンラインナップはコロナより若干新しく

大きく違ったのはエンジンで、新型のDOHCスポーツエンジン、2T-Gがセリカと共に初搭載され、後には2リッターDOHCの18R-Gも搭載されたほか、実用エンジンも2T-Gと同じ新開発のT型シリーズが搭載されています。 この時期のコロナが排気量は同じようなものでも旧式なR型シリーズエンジンを多用したのに対し、カリーナは新世代エンジンを積むことで、足回り以上にスポーツセダンぶりを強調していたと言えるでしょう。 もっとも、カリーナやセリカに1.6リッタークラスのスポーツエンジンでは他社ライバルに決定的な差とはならないとトヨタは考えていたようで、後に2T-Gはカローレビン / スプリンタートレノに搭載され名を上げています。

ボディを一新した2ドアハードトップもあり

ボディタイプは当初4ドアセダンのみ、後に2ドアセダンが追加された後、スポーティなボディに一新した2ドアハードトップが追加され、最後に5ドアのライトバンが登場しています。 同時期のコロナもスポーティなデザインでしたが、サイドやリアから見ると凡庸なデザインでアンバランスさを感じたのに対し、カリーナはどこから見ても新しく、若々しく、スポーティなデザインだったのも特徴です。 結局のところ、「足がいいやつ」というよりは「足以外はとてもいいやつ」だったのかもしれません。 後に3代目でようやく上級グレードが4輪独立懸架になりましたが、4代目からは純然たるコロナとの兄弟車になってしまったので、カリーナが独自路線をとるスポーティセダンでいられた時間は、そう長続きしませんでした。 トヨタのこのパターンは後に「セリカカムリ」として登場した初代カムリ(1代限りのスポーツセダン)でも繰り返され、1980年代前半までのトヨタ車がそのイメージ確立に苦労したのを感じさせます。

次回は、「スバル迷走時代の始まり・初代レオーネ」をご紹介します。

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