英国車だった「クラシック・ミニ」
まだ英国車だった時代の「クラシック・ミニ」と言えば、何かと壊れるような、そう、人によっては「オンボロな車」のような扱いをされる場合もありますよね。
ミニは1959年から作られていましたから、その長い時代に作られたミニの中には、何らかの不具合を抱えて、それをごまかしながら走っているようなものも少なくないでしょう。
では、クラシック・ミニは2000年まで生産が続けられておりましたが、最近になって車に触れるようになった人に「ローバー・ミニ」として知られる末期のクラシック・ミニはどうでしょう?
小さくてオシャレな「ミニ」
クラシック・ミニでも無く、BMWが一から作り直した「ニュー・ミニ」でも無い過渡期。
そのほとんどは日本向けだったといいます。
つまり日本以外では「古くて時代遅れ」そのものだったのも事実ですが、日産がマーチベースで「Be-1」や「パオ」「フィガロ」などの「パイクカー」と呼ばれるジャンルを作りだし、今に至るまでクラシックデザインの車が登場するキッカケとなった1990年頃から、ミニは小さくてオシャレなイギリス生まれの車として日本で人気が再燃します。
そしてその頃から、クラシック・ミニ自体もそれまでの頑固なメカニズムをやめて、外見はそのままに、最新のメカニズムを搭載していく事になります。
(モノがモノだけに、基本構造やレイアウトまでは変わりませんが)
今でも市場に出回り、高年式ゆえにコアなマニアではない一般ユーザーが手にする事も多い、「ファイナル・クラシック・ミニ」が、それまでの「クラシック・ミニ」とどう違うのか、簡単に眺めてみましょう。
最後の「クラシック・ミニ」の源流は1978年
1990年代のミニの話をする前に、背景となるお話をちょっと。
まず1978年のマイナーチェンジにより、クラシック・ミニの特徴で、NEWミニになってからなぜか復活したセンターメーターは、通称「Mk4」と呼ばれるこのモデルでクラシック・ミニから廃止されます。
ミニが2000年に生産終了するまでの様々な変化を見せる源流は、ここから。
続いて1981年のマイナーチェンジで通称「Mk5」と呼ばれるモデルからは、クラシック・ミニを取り巻く環境が大きく変わり、海外での生産は次々に中止して実用大衆車としてのミニはこの時点で終了。
変わって、イギリス本国では大衆車からファッショナブルなコンパクトカーへと路線変更が行われます。
この時のイメージが、後の日本での広く一般での人気、そしてBMWが「ミニ」ブランドを手にするキッカケとなっています。
そして1985年登場の通称「Mk6」と1989年の通称「Mk7」ではブレーキが強化されると共に、1000ccの「ミニ1000」が廃止されました。
車を安全に走らせるために重要不可欠な、ブレーキに手を入れた事で、信頼性があり誰にでも扱いやすい車に近づき、この時点でクラシックミニは現代的な車への切符を手に入れたと言えます。
カウントダウン・90年代のミニ
1991年に登場した通称「Mk8」に至り、それまで1000ccだったベーシック版「ミニ・メイフェア」も含め、ミニはついに全車1300ccとなりました。
また、1971年の「クーパーS」の生産中止をもって途絶えていた「ミニ・クーパー」が復活。
ターボ車の「ERAターボ」も登場し、最廉価版「スプライト」もこの時日本に導入されます。
オートマもこの年に4速ATとなり、ブレーキについで動力性能も現代での使用に十分耐え得るようになりました。
そしてほぼ日本向けと言ってもいい大改良が行われた、1992年登場の通称「Mk9」こそが、現在の中古車市場でも信頼できる性能を持った決定版でした。
1959年の登場以来33年間に渡ってクラシック・ミニのエンジン燃料供給機構だった「キャブレター」(気化器)から、安定した燃料供給を可能とする「インジェクション」への変更が行われたのです。
「ミニにそんなものをつけたらミニじゃなくなる」
というコアなファンの声をヨソに、インジェクション化でエンジンを安定稼動させられるようになったミニには、同じく安心して稼働できるエアコンがつくようになりました。
しかし、1994年にBMWがクラシック・ミニを生産していたローバーを買収し、ニューミニの開発を全力で開始します。
クラシック・ミニの役割はこの時点で「ミニ」ブランドの継承に重点が置かれるようになり、コストダウンの装備の充実化、つまり「普通の人がファッション感覚で乗る車」への変化が同時並行で進みます。
1996年には最後の追加グレードとして、本革シートを備えた最上級グレード「ケンジントン」が追加されました。
そして1997年には最後の「クラシック・ミニ」通称「Mk10」が登場しました。
各国の衝突安全基準に対応するため、安全装備ではエアバック、またサイドインパクトバーでボディも補強されます。
もうここまで来ると、当時の国産軽自動車やコンパクトカーと装備面では肩を並べた事になりますね。
ミニは国産車と変わらない?
いかがでしょう?
1990年代のミニはだいぶ現代の車、特に1990年代以降にデビューして現在も現役で走っている国産車と、そう遜色が無い事がわかりますね。
もちろん国産車では無いがゆえの機械的信頼性の問題や、特に1991年の「Mk8」以前のキャブレター車は、もうキャブレターのメンテナンスができるメカニックが少ない事もあり、職人の存在が不可欠ではありますが。
それでも巷で言われるような時代遅れの旧車とまでは言い切れないと思います。
Ancarではいくつかminiを取り揃えておりますので、ぜひチェックしにいらしてください。