メルセデスベンツのハイパフォーマンス部門を担うAMGは、BMWのMモデルやアウディのRSモデルと並びハイパワーと高級感を両立したモデルを多くラインナップしていることで有名です。
ここでは、メルセデスベンツEクラスをベースとしたAMGモデル「E63 AMG」の中で今狙い目のW212型について、どんなクルマなのか?
またなぜ狙い目なのか?についてご紹介していきます。
AMGとは
AMGとは、メルセデスベンツの中のレース・スポーツ系ブランドを指します。AMGモデルは「究極のハイパフォーマンスを追求するモデル」と位置づけられ、ハイパワーなエンジンと強固なボディーなどによってハイレベルな性能を実現しています。
AMGは、もともと数々のレースシーンで活躍を収めていた1967年設立の独立チューナーでしたが、1993年にメルセデスベンツと共同開発したモデルを発売し、その後1999年に当時のダイムラー・クライスラーに吸収され、メルセデスベンツの部門の一つとなりました。なお、2014年からは「メルセデスAMG」としてブランドが展開されています。
モデルラインナップ
現在メルセデスAMGでは、AクラスやBクラスなどのコンパクトなモデルをベースに2リッターエンジンを搭載した「35」、「45」。CクラスやEクラスなどより車格の大きいモデルをベースに3リッターエンジンを搭載した「43」。43よりさらにパワフルなハイブリッドモデルの「53」。そして、最もハイパワーでAMGの代名詞ともいえる「63」と、多彩なモデルがラインナップされています。

E63 AMG(W212)とは
W212型E63 AMG(以下E63 AMG(W212))とは、2009年のデトロイトモーターショーでデビューし2016年まで販売されていたW212型のEクラスをベースとしたAMGモデルです。
特徴と魅力
E63 AMG(W212)は、2009~2011年までの前期型、2012年の中期型、2013~2016年までの後期型と3世代に分かれており、それぞれ外観や仕様が異なります。E63 AMG(W212)は、同じ「W212」型でありながら外観や搭載されるエンジンなどの仕様が異なるため、選択肢が多く好みのモデルに出会いやすいという点が魅力です。ここではそんなE63 AMG(W212)の特徴と魅力をご紹介していきます。
ボディーバリエーション
まず、ボディーバリエーションはセダンとワゴンの2種類が設定されています。実質的なライバルといえるBMW M5やアウディ RS6にはいずれかの設定(M5はセダン、RS6はワゴン)しかないため、ライフスタイルに合わせてセダンかワゴンが選択できるのはE63 AMG(W212)の特徴です。
エンジン
エンジンは前期型と中期型以降でそれぞれ異なるエンジンが搭載されています。
前期型:
まず前期型は、最高出力524ps、最大トルク64.2kg・mを誇る6.2リッターのV8自然吸気エンジンを搭載し、大排気量エンジンならではの豊かなトルクと自然吸気エンジンならではの鋭い回転フィール、回転数に合わせて盛り上がる自然なパワー感が魅力です。
中期型:
一方中期型では、エンジンのダウンサイジングが行われ、前期型の6.2リッターから5.5リッターに排気量が縮小されています。しかしながら、ダウンサイジングによるパワーダウンをツインターボで武装することでカバーし、最高出力は前期型と同じ524ps、最大トルクは7.2kg・mアップの71.4kg・mと性能向上を実現しています。ツインターボ化された中期型は、アクセルひと踏みでどの回転数からでもすかさず怒濤のパワーを発揮できる瞬発力が魅力です。
さらに中期型の場合、標準状態でも相当なハイパワーですがオプション設定の「AMGパフォーマンスパッケージ」を選択することで、最高出力が33ps向上し557ps、最大トルクは7.1kg・m向上し78.5kg・mと、さらにハイパワーとなります。
後期型:
2013年以降の後期型の場合、中期型の「AMGパフォーマンスパッケージ」に代わり、通常のAMGモデルをさらに過激にチューンした「AMG S」が新設されました。その結果、後期型と中期型は搭載されるエンジンは同じですが、まず通常のAMGモデルの出力がこれまでのAMGパフォーマンスパッケージと同じになり、なんと上位の「AMG S」では、そこからさらに最高出力は28psアップの585ps、最大トルクは3kg・mアップの81.5kg・mという驚異的なスペックを叩き出しています。
また、強力になったパワーを受け止めるために、後期型より4WDも選択できるようになりました。
外観
前・中期型は、シャープな印象を与える角目四灯ヘッドランプやバンパー形状を採用しています。また、フロントグリルは伝統的なエレガンスグリルとボンネットマスコットが組み合わされており、全体的にエレガントな雰囲気にまとめられています。
一方後期型では、これまでセパレートされていたヘッドライトが一体形状となりデイライトが搭載、さらにフルLED化されました。また、バンパー形状も曲線を生かした有機的なデザインに変更となり、フロントグリルもアバンギャルドグリルが採用されるなど、全体の印象はまるでフルモデルチェンジしたかと勘違いするほど大きく変化し、スポーティーな雰囲気でまとめられています。
【前・中期型のヘッドランプ】
【前・中期型エレガンスグリル】
【後期型ヘッドランプ】
【後期型アヴァンギャルドグリル】
弱点
E63 AMG(W212)には、必ず調子が悪くなる「持病」や、走行不能などの重大な故障を引き起こすような大きな欠陥や弱点の話はあまり聞こえてきません。定期点検を怠らず、消耗品をはじめとした定期交換部品をきっちりと交換していれば、そこまで大きなトラブルに見舞われることはないでしょう。
ただし、電子式のシフトレバーが作動不良を起こしギヤが所定の位置に入らなくなるケースが散見されますので、所有を考えている方は、症状がまだ出ていなくてもあらかじめ整備に出してメンテナンスを受けても良いかもしれません。
狙い目の理由
ここまで、E63 AMG(W212)の特徴や魅力、弱点についてご紹介してきました。
E63 AMG(W212)は、ボディー形状やエンジン、駆動方式やデザインといった選択肢が豊富なためお気に入りの仕様を見つけやすく、また重大な欠陥や弱点も見られず、年式的にも比較的お手頃な価格相場となっていることから、今狙い目のモデルといえます。
皆さんも怒濤の高性能を誇るE63 AMG(W212)でカーライフを満喫してみてはいかがでしょうか?
【E63 AMG(W212)主要諸元(セダン)】
・全長:4,895 mm
・全幅:1,870mm
・全高:1,440mm
・ホイールベース:2,875mm
・車両重量:1,950kg
・駆動方式:前・中期型…FR
後期型…FR/4WD