ラジエーターの仕組み4つ|ラジエーターによるエンジンの冷却過程

「ラジエーター」という言葉は車を持っている方なら一度は耳にしたことがある言葉でしょう。しかしその仕組みまでわかる方は多くはないでしょう。ラジエーターの仕組みについて説明し、車にとってどんな機能なのかということについて解説していきます。

ラジエーターとはどんな装置?

車が動くにはエンジンが燃料を燃焼する必要があります。燃焼し続けることによってエンジンの温度が上がります。温度が上がり過ぎないように冷却をする冷却装置のことをラジエーターと言います。

冷却装置の中の一つ、ラジエーターとは冷却液を冷やすためにあります。

冷却水を使って適切な温度にエンジンを管理しますが、冷却液の温度が上がると蒸発してしまうので、外から取り入れる空気によってラジエーターを介し冷却液を冷ます仕組みとなっています。

ラジエーターの種類2つ

まずラジエーターには大きく分けて縦流れ式ラジエーター(ダウンフロー)と横流れ式ラジエーターの2つの種類があります。車の特性や使用目的によって使われるラジエーターは違います。

ここでは縦流れ式ラジエーターと横流れ式ラジエーターの冷却方法の違いや仕組みの違いを順番に説明していきます。

ラジエーターの種類1:縦流れ式ラジエーター

縦流れ式ラジエーター(ダウンフロー)とは読んで字のごとく、冷却液(ラジエーター液)を上から下に流すものです。「ラジエーターアッパータンク」・「ラジエーターコア」・「ラジエーターロアタンク」で構成されています。

冷却液が上部からチューブ内を通り、その後フィンを通過し冷却作業をしながら下部に落ちていく仕組みです。重力に逆らわず冷却液を縦に流す構造です。現在の国産車の多くは縦流れ式ラジエーターが採用されています。

ラジエーターの種類2:横流れ式ラジエーター

上から下にラジエーター液を流す縦流れ式ラジエーターと違います。冷却液を水平に流すものが横流れ式ラジエーター(クロスフロー)です。2個のラジエーターサイドタンクとラジエーターコアで構成されております。

この縦流れ式ラジエーターに比べて効率よく冷却できるのですが、必要以上に冷却されてしまいオーバークールを招くことがあります。

ラジエーターの仕組み4つ

ここではラジエーターの仕組みについて更に詳しくご説明いたします。エンジンの冷却過程と実際にラジエーターがどのようにラジエーター液を冷ましているのか・ラジエーターの構造・ラジエーターが圧力を調節する意味と仕組みの大きく4つにわけてご説明していきます。

ラジエーターの仕組み1:ラジエーターによるエンジンの冷却過程

ラジエーターとはエンジンの温度が上がりすぎないよう冷やす冷却装置の中の1つです。冷却装置の中でもエンジン内部に常に巡らせてある冷却液を冷やす大切な役割をしています。では実際にエンジンをどのように冷やすのかラジエーターの仕組みについてご説明いたします。

エンジンの熱をラジエーター液が冷却

エンジンの内部にはエンジンの温度を一定に保つため、冷却液が常に巡っています。この冷却液はエンジン内のチューブを介し、まず「ウォーターポンプ」を通り「ウォータージャケット(エンジン内部)」を通過してラジエーターへという仕組みで冷却液が巡っています。

ラジエーター液はラジエーターで冷やされる

ラジエーターの大きな役割については冷却液を冷ます事です。常にエンジン内では冷却液が巡回している仕組みで、エンジンを冷やし温まって戻ってきた冷却液をラジエーターで走行中に外部から取り込んだ風によって冷却する仕組みです。

ラジエーターの内部では冷却液が流れるチューブと蛇腹状のフィンという部品が交互に並んでいます。走行風がフィンを冷却することでチューブを介して冷却液が冷やされる仕組みです。

ポンプ内でエンジン内に戻される

ラジエーターが冷却液を冷やす役割をしていることを上記で述べましたが、その冷却液を循環させる装置がなければラジエーターでせっかく冷やした冷却液をエンジンに戻しエンジンを冷ます事はできません。

エンジン内へ冷ました冷却液を戻す役割をしているのが、ウォーターポンプです。エンジンが一定の温度になるとウォーターポンプ内の水車のハネをエンジンの力で動かし強制的に水を循環させる仕組みです。

ラジエーターの仕組み2:ラジエーター自体の冷却方法

ラジエーターの役割や仕組みについてご説明してきました。エンジンを冷ますためにエンジン内を常に巡る冷却液を外部から取り込んだ走行風によって冷却液は冷まされています。

ここからは更に詳しく実際ラジエーターがどのように外部から走行風を取り込み、冷却液を冷ましているのか仕組みをご説明いたします。

冷却ファンによる送風

低速運転中・停止中、走行風だけでは冷却が十分にできない場合があります。また外気温が非常に高い場合には十分に冷却出来ません。そのために強制的に通風が行えるよう、ラジエーター後方に冷却ファンが備えられています。

これによって走行風が十分に取り込む事ができなくても冷却ファンの起動により冷却液を冷ます事ができます。

走行風

ラジエーターは、車の最前部に取り付けられており車が走行する事により風が通り抜ける仕組みになっています。エンジンの熱で温まったラジエーター液は、走行中に取り込んだ風の通り抜けるラジエーターを通過し冷却します。

ラジエーターの仕組み3:ラジエーターの構成

ラジエーターの役割や仕組みについてのご説明をさせて頂きましたが、ここではラジエーター自体がどのような構成で出来ているのかを詳しくご説明させていただきます。ラジエーターの詳しい種類や重要な役割を果たしている部品があるのでご紹介いたします。

ラジエーター後方に冷却ファンがある

ご説明したとおり冷却液を冷ます役割をしているのがラジエーターです。

基本的には動いている車のエンジンの温度を一定にするための仕組みですが、渋滞や走行速度の制限・停車中にもエンジンは動いているため走行風だけでは風が十分ではなく冷却液を冷却できない場合があります。

ラジエーター自体に強制的に通風が行えるようラジエーター後方に冷却ファンであるクーリングファンが取り付けられています。

縦流れ式ラジエーターの主な構成

縦流れ式ラジエーター(ダウンフロー)は冷却液が上部からチューブ内を通ります。その後フィンを通過し冷却作業をしながら下部に落ちていく仕組みです。重力に逆らわず冷却液を縦に流す構造をしており国産車の多くは縦流れ式ラジエーターを採用しています。

横流れ式ラジエーターの主な構成

横流れ式ラジエーター(クロスフロー)は冷却液を横のタンクからチューブ内を通り、その後フィンを通過し冷却作業をしながら反対側のタンクに流れていきます。ラジエーターサイドタンクとラジエーターコアで構成されています。

冷却液を横に流す仕組みで縦流れ式ラジエーターに比べ両側にタンクがあるため効率よく冷やすことができ外国産の車両に多く採用されています。

ラジエーターの仕組み4:圧力を調整する仕組み

冷却装置の中のラジエーターが冷却液を冷ます仕組みを担っている事はご説明しました。ラジエーターが冷ました冷却液を使いエンジンがオーバーヒートを起こさないための重要な仕組みがあります。

ここではリザーバータンクとラジエーターキャップについてご説明いたします。

リザーバータンクの役割

通常よりエンジンが高速回転すると冷却液の温度が上昇し気泡が発生します。冷却装置内で発生した気泡を放置すると、冷却効率が低下し、冷却系統の圧力が不安定になります。これはオーバーヒートの原因や冷却装置系統に穴が開くトラブルの原因になります。

圧力が一定以上になると余分な液をリザーバータンクに送り圧力の上昇を抑える仕組みです。エンジンが停止後ラジエーターの温度が低下するとラジエーターに冷却液が戻されます。

ラジエーターキャップの役割

ラジエーターキャップには圧力を一定に保つ役割があり「密閉弁」は冷却液が漏れないように密閉します。「加圧弁」は冷却液の温度が上がるとラジエーター内の圧力が上昇します。冷却液の沸点も上昇するため体積が増します。

設定された圧力以上になるため余分な冷却液をリザーバータンクに逃がす仕組みです。「負圧弁」は加圧弁でリザーバータンクに流した冷却液を一定の圧力まで下がった際にラジエーターへ戻す仕組みです。

ラジエーターの交換方法3つ

ラジエーターについての仕組みを説明してきましたが、ラジエーターも車の動力を支える大きな役割を果たしていることはご理解いただけたと思います。ラジエーターは常に働いているためメンテナンスを怠ると故障やトラブルの原因になります。

故障やトラブルを防ぐために交換が必要です。今回はラジエーターの交換についてご説明いたします。

ラジエーターの交換方法1:交換時期の目安

正常にメンテナンスを行っていても使用状況によって飛び石等による破損や天候の変化などによりラジエーターの劣化具合は変わってきます。普通自動車で遅くても10年に1回、軽自動車では遅くて8年を目安としておくとトラブルに繋がる可能性は少なくなります。

ラジエーターの交換方法2:整備工場に依頼する場合

  • 整備工場に電話
  • 整備工場にネットで問い合わせ

整備工場に依頼する場合はディーラーとは違いラジエーターを中古や社外品を希望することができます。純正部品とは違うため費用を抑えることが出来ます。また、部品を自分で購入し持ち込む方法もあり工賃だけで済むこともあります。

交換費用

部品の価格にもよりますが3万円以内でおさまることもあります。しかし劣化や破損の状況により希望する部品が使えないことや新しく交換する部品自体の価格にも左右されるため3万円~となります。

3万円以上となると、実際には問い合わせてみないことには具体的な金額はわからないでしょう。まずは依頼方法にある通り、先に相談してみて、どれくらいの金額幅になるかは聞いておくとよいでしょう。

ラジエーターの交換方法3:ディーラーに依頼する場合

  • ディーラーに電話
  • ディーラーにネットで問い合わせ

ディーラーに依頼する場合は整備工場とは違い交換する部品が純正部品となるため費用は高めです。しかし、車体本来と部品の相性など取り付けた後に正常に機能しないなどのリスクは少ないです。

交換費用

劣化や破損の状況により交換する部品や箇所が変わります。交換する部品の価格や工賃の違いにより価格は変わりますが、高いものでは工賃を含め8万円程度かかる場合があります。

整備工場に依頼する方法とはちがって、少々値段が高くなりますので、依頼方法と合わせて検討するのがよいでしょう。また金額だけでなく、依頼するまでの手間や交換完了までにかかる時間なども考えるとなおよいでしょう。

ラジエーターの仕組みを理解しよう

この記事ではラジエーターの仕組みについて詳しく説明してきました。車が走行するために必要なエンジンの燃焼によってオーバーヒートが起こらないようにする冷却装置の1つであり、エンジン内に巡っている冷却液を冷やす役割をしています。

冷却液を冷やすため走行風と冷却ファンによる冷却方法の仕組みとなっています。ラジエーターの仕組みを正しく理解することで故障やトラブルを防ぐことができます。

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