国産エンジン史軽自動車・新世代軽自動車エンジン登場前夜

国産エンジン史軽自動車編その10は、2012年あたりの状況をご紹介します。

エンジンのコストダウンでかえって多様化が進んだ軽自動車

軽自動車用エンジンは軽規格の変更やパワーウォーズの勃発などで、そのたびいろいろなエンジンが出てきました。
それらが1998年10月の現行規格軽自動車への移行で、多種多様なエンジンの整理が進んだ、というのは前回までの話です。
そのあたりを境目に、軽自動車とはエンジンによる違いよりも、パッケージングや装備、クルマそのものの性格などによる違いを主なものとしていきました。
いわばそれまでコンパクトカーが担っていた部分が徐々に軽自動車へ移って、あるいは1.3~1.5リッタークラスでフィットのような少し大きめのコンパクトカーに移っていった時期でもあります。
その結果、エンジンによる差別化を行っていた時期より、はるかに多様な車種が登場する事になりました。
エンジンを集約化する事で浮いたコストをそのまま車種の多様化に結びついたと言って良いでしょうか。
しかし、そうした多様化に追従できず、いよいよ軽自動車生産から撤退するメーカーも登場します。

2012年は、軽自動車用エンジンにとって1つの節目

その流れの中で、2012年という年は軽自動車用エンジンにとり、ひとつの大きな節目になりました。
ダイハツ コペン、三菱 パジェロミニの生産終了(後者は2013年まで在庫販売を継続)。
そして、スバル サンバーの自社生産撤退。
これらはいずれも、軽自動車用の4気筒エンジンを搭載していた最後の車種でした。
軽自動車最強のチューニングベースだったコペンのJB-DET、一時期は4気筒20バルブDOHCという超豪華エンジンであり、最後はSOHC16バルブと少し寂しい最後を迎えたパジェロミニの4A30。
これらは「コストをかけた豪華な高性能エンジンを、実用エンジンと作り分ける事ができた」という時代が確かにあった事の生き証人でした。
そしてサンバーに搭載されていたスバルのEN07エンジン。
2気筒のEk型エンジンと同じスペースで搭載できる4気筒エンジンという、いささか特殊な成り立ちを持っていましたが、ボアが小さい分ロングスロークで低速トルクもあり、スーパーチャージャーとの組み合わせで痛快な走りもできるエンジンでした。
しかし、起死回生をかけた新型軽乗用車、R1とR2の大失敗や、生産設備の旧式化で抜本的なコストダウンなど近代化が困難だったスバルの軽自動車工場は、トヨタ 86/スバル BRZの工場に生まれ変わるべく、その歴史を閉じたのです。
これで軽自動車各メーカーのエンジンは全て水冷直列3気筒660ccエンジンに統一されたのでした。

旧世代エンジンの終焉

また、スバル EN07エンジンの終焉は、550cc時代から続く旧世代エンジンの終焉とほぼ同時になりました。
ダイハツは550cc時代のEB型の改良型であるEF型エンジン最後の国内搭載モデル、軽SUVのテリオスキッドを2012年で生産終了しています。
スズキの旧世代F型エンジンは既にK6Aエンジンに取って変わられ、そのK6Aも2016年7月現在でも搭載しているのはジムニーとケータハム セブン160くらいです。
そして三菱は2013年をもってekワゴンがモデルチェンジした事に伴い、旧世代の3G83エンジンに終止符を打ちました。
ホンダだけは550cc時代から続くE型エンジン(E07Z)をアクティトラックなどでまだ継続していますが、乗用車用としてE型エンジンの後継だったP07Aエンジンまでを2013年で生産終了しています。
こうしておおむね2012-2013年にかけ、各メーカーとも旧世代エンジンに別れを告げることとなりました。

旧世代軽自動車用エンジンはある意味のん気な時代

このように今ではほとんど新車搭載されていない旧世代の軽自動車用エンジンですが、かつては「ただ排気量が小さいだけで燃費が良く、車体も軽いのでよく走った」という、存在するだけでも価値があるような時代でした。
さらにバブル時代の好景気で豪華なエンジンが開発された名残で、エンジン単体としては非常に優れたエンジンも少なくなかったのです。
しかし、時代の波は「単体では優れているエンジン」の存在を許しませんでした。
ハイブリッド車やEVの登場で、軽自動車はその経済性を大きく問われる事になったのです。
そこで新世代のエンジンは、それ単体では無く走行に関係する全てを統合制御する、非常に高度な「パワーユニット」へと進化していったのでした。


国産エンジン軽自動車編は次回より「新世代軽自動車用パワーユニット」を紹介します。
これまでのガソリンエンジンはもちろんですが、モーターやリチウムイオンバッテリーを搭載、あるいはエンジンと組み合わせたそのユニットからは、登録車の一部に未だ残るような「保守的」ではいられない軽自動車の生き残りをかけた姿が浮かび上がるでしょう。

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