車を使って遠出をする時には、必ずと言って良いほど使用する高速道路。長距離の移動には欠かせないもので、そのネットワークは全国に張り巡らされているので、基本的には高速を使えばどこでも行くことができます。そんな高速道路ですが、利用するのは有料となっています。国道や自動車道は無料なのに、高速道路だけが有料となっているのは一体なぜなのでしょうか。今回は、高速道路が有料である理由について、そして無料化される日は来るのかについてお話していきます。
国道と高速道路の違い
国道は税金
国道はその建設費を国民が払う税金から捻出しています。私たちが普段払っているお金を使って建設や整備をしているわけですから、無料なのは当然と言えます。今現在はそんなことないですが、昔はよく年度末に道路工事が集中すると言われていたのも、道路整備のお金は自治体の税金で賄われているということが根拠となっていたからでしょう。
高速は借入金
高速道路は国道とは違い借入金で作られています。本腰をいれて高速道路事業に政府が乗り出したのが戦後だったため、高速道路の建設費を税金では賄えず、世界銀行など様々なところからお金を借金して高速道路建設を進めたからです。この資金の出資場所の違いが高速道路が有料となる理由となっているのですが、その詳しい経緯や歴史的な背景については次の章でお話していきます。
高速道路が有料となったわけ
歴史的な背景
高速道路が有料となっているのは先ほどお話した通り借金をして建設をしているからですが、その根拠となった法律が道路整備特別措置法という法律です。この法律が昭和31年に設立されてから有料道路というものが新しく創設され、高速道路を有料道路として建設が始まったのです。また、高速道路が戦後にこのような有料道路の法律を設立してまで急ピッチで建設されていった理由として、ワトキンスレポートの存在があります。戦後、まだアメリカの息がかかっていた日本は、ワトキンス調査団が来日した際に日本の道路事情を調査したレポートで酷すぎると痛烈に批判され、それに焦った日本政府は急いでそれまで進めていた鉄道建設をやめ、高速道路建設へと力を入れていくこととなったのです。
今後無料化される日はくるのか
2065年9月30日に無料化(予定)
もともとは借金を返す為に高速道路は有料になっているので、いつか返済する時がきます。返済が終わればもちろん無料になるのですが、その終わりは2065年9月30日とまだまだ現実味のない、先の話となっています。さらに(予定)となっているのには理由があり、これまでも度々延期されてきているからです。もともと高速道路はそれぞれの路線の建設費をそれぞれの路線の収益で賄い、返済が終わればその路線を無料解放するというものでした。つまり、東名と圏央道は無料だけど関越は有料といったような状態になるつもりだったわけです。それが1972年に第一次田中角栄内閣が道路整備特別措置法を改正し、全国料金プール制を導入したことによって全国すべての高速道路の建設費をまとめて管理することとなり、全ての建設費を返し終えるまでは全ての高速道路は有料という形に変化しました。ここで一回、無料化は延期されてしまいます。さらにその後も日本道路公団が民営化することで借入金が40兆円に上ったり、高速道路無料化を掲げた民主党がマニフェストを達成しないまま終えたりといった色々なことがあった後で、高速道路の修理・整備のためにはお金が足りないということになり、もう一回無料化は延期されて現在は2065年9月30日に無料化となっています。
コロナ収束後に無料化はある?
一時期、ニュースではコロナ収束後に大打撃を受けた地方支援の目的で高速道路を無料化することを検討しているという情報が流れていました。確かに無料化すれば、地方への遠出は多くなりそうですが、現実的には実現は難しいかもしれません。高速道路が無料化されると、同じくコロナによって大打撃を受けている高速バスやフェリーなどの観光業はさらに商売ができなくなってしまうので大反対をする上、無料化は必ずしも私たちにとって良いとは限らないからです。無料化しても良いことばかりではない理由を次に語っていきます。
無料化によって起きること
無料化をすると、当然のことながら高速道路を利用する人は増加します。その数が多ければ多くなるほど渋滞が起こる可能性が高くなるので、毎週、もっと行けば毎日渋滞のような状態に落ちいってしまうことが考えられます。すると高速道路の最大のメリットである、早く目的に着くというメリットがなくなってしまうのです。結局、確実に渋滞している高速よりも空いている一般道でいいやとなってしまうでしょう。さらに、慢性的に渋滞が起こると物の流通や運搬なども非常に遅れることになります。私たちが普段使っているネットショッピングの配達が遅れたり、配送料が高くなるといった弊害もでてきそうです。もちろん、出かける人は多くなりますが、無料化も良いことばかりではないのです。