日々、雑多なテーマからちょっとずつ、お送りしているAncar ChannelのDFです。これから不定期で自動車の素材に関する記事をお送りできたらと考えています。
最初の素材は「アルミ」と「カーボン」の最先端です!!
ちょっとマニアックなテーマではありますが、お付き合い頂ければと思います!
次世代の素材
数多くある自動車のボディ用素材で、次世代を担うとされているのが、アルミニウムとカーボンです。カーボンは大量生産には向かないため、使われても現状では、少量生産の特殊な車両やパーツの一部に限定されることと思います。
そんな訳で、すでにある程度有名なアルミニウムからいきたいと思います。
アルミニウムの特徴は、まず、軽い事です。比重で言えば、アルミニウムはスチールの1/3程度です。ただし、車のボディをスチールからアルミニウムに置き換えれば単純にボディ重量が1/3になるわけではありません。強度を同等を保つためには、多めにアルミニウムを使う必要があるからです。
そのアルミニウムをボディに採用した有名な車と言えば、ホンダ「NSX」(前モデル)です。なぜNSXで採用されたかと言えば、スポーツカーにとって、軽量化が重要であることと共に、コストの制約が比較的少なかったことが採用の決め手になったと想像できます。
また、アウディなどもアルミニウムボディを積極的に採用しています。
アルミニウムと言っても、純粋なアルミニウムだけでは強度も低いことから、実際の自動車材料の場合には、他の元素も含有しており、熱処理を行う場合も多いです。そこがいわゆる「ノウハウ」と呼ばれる部分です。
ただし、事故の際の修理はどこででも出来るわけではありませんし、費用もスチールボディと同等とはいきません。メリットの裏には必ずデメリットがあり、軽量化になるからと言って、簡単にスチールから置き換える、というわけにはいかないのが現状です。
最先端のカーボンナノファイバー
炭素繊維をつなぎ合わせたカーボンナノファイバーは、次世代の素材として、幅広い分野で注目を集めている素材です。(たとえば、宇宙エレベーターとか)
ですが、このカーボンナノファイバー、他の素材よりも製造コストが高く、大量生産される自動車への利用は、アルミ程進んでいるとは言えません。
ですが、スポーツカーなど軽量化とともに耐久性が求められる車種には、採用が進む可能性があります。
現に、私の故郷のある町工場は、世界でも有数の研磨技術を持っているところなのですが、ある国産メーカーのスポーツカーに使うカーボンナノファイバー部品のケバ取りの依頼が来るそうです。
このケバ取り、なかなかのノウハウが必要らしく、その町工場に依頼するまで、どこの工場もうまくできずに、ついにその職人のところに来たとの事。日本のモノづくりの奥深さに感動したものです。(ちなみに、カーボンナノファイバーも世界に先駆けて日本の東レが実用化しました)
そのカーボンに続く、次世代の素材がすでに研究されています。
夢のセルロースナノファイバー
詳しくは上記の記事を参照して頂ければとも思いますが、この「セルロースナノファイバー」、コストはカーボンナノファイバーよりも安い事が特徴です。
これまで、カーボンナノファイバーの製造コストが課題となり、転用が進んでいなかった自動車分野にもコストの安いセルロールナノファイバーなら進むかもしれません。
今後の開発に期待です!
素材と楽しみ
個人的には、スチールの重いドアを占めた時の「バタン!」という音がすごく好きです。安心感と重厚さを感じます。
一方で、スポーツカーが好きな方は、軽量化が進み、速く走れる車がきっとお好みなのではと思います。
素材の進化、特徴1つで車の楽しみも大きく変わるものです。10年後、まったく新し素材を用いた全く新しい車が出来ているかもしれません。そう考えると、基礎研究に邁進している技術者にちょっと憧れたりまします。