放置するとエンジン故障で廃車?サーモスタットの不具合【ベテラン整備士が教えます】

サーモスタットという部品をご存じですか?車の冷却水の経路の途中に組み込まれていて、水冷エンジンならどの車にもついているものです。車以外では、オーブントースターや電気ケトルなど、車のものと機構や仕組みは違えど、案外身近なところにも使われています。ここまで聞けば、熱に関するものだというのは想像がつくでしょうか。今回はサーモスタットと冷却系統に関するお話です。

サーモスタットの働き

サーモスタットの働きを簡単に説明するならば「温度に応じて開閉する弁」です。この弁が冷却水の経路の途中に配置され、状況に応じて冷却水を通したり通さなかったりします。では、なぜこのような働きをする部品が必要なのでしょうか?

エンジンは熱すぎても覚めすぎてもダメ!

冷却系統のお話の前にエンジンの温度について説明します。エンジンには適温があり、金属部品の膨張やオイルの粘度などが計算されて作られています。その適温の範囲から大幅に外れると動作不良が起きたり、エンジンがダメージを受けたりすることがあります。できるだけ適温に保ちたいので、エンジン始動時は迅速に温度を上げ、温度がある程度上がったらその温度を維持する必要があります。

冷却水の経路とサーモスタットについて

冷却水は大まかにいえばエンジンとラジエーターの間を循環しています。エンジンで発生した熱を受け取ってラジエーターに行き、そこで熱を逃がし冷えた状態でエンジンに帰っていきます。これの繰り返しでエンジンを冷却していますが、エンジン始動直後は早く温度を上げたいのでラジエーターに冷却水を回したくありません。そこでサーモスタットが重要な役割を担います。エンジンが冷えている状態ではラジエーターに向かう冷却水をせき止め、エンジン周辺のみで循環させて素早く温度をあげ、十分に温度が上がったら冷却水をラジエーターに通して冷却をはじめエンジン温度を一定に保ちます。これが大まかなエンジン冷却の仕組みです。

サーモスタット故障による不具合

先述のサーモスタットの働きを踏まえて、サーモスタットが故障するとどのような症状が発生するのか考えていきましょう。

サーモスタットが開かなくなった場合

このとき冷却水がラジエーターに回らなくなるため、エンジンの熱を逃がすことができず、オーバーヒートが発生します。これに伴い、冷却水の沸騰や油膜切れや圧縮抜けを引き起こし、エンジンに不可逆的なダメージを与えてしまうこともあります。

サーモスタットが閉じなくなった場合

エンジンが冷えている時に、速やかに温度を上げることができないため、オーバークールという状態で走行することになります。エンジンが冷えすぎた状態での運転は、燃費の悪化や異常燃焼、摺動部の異常な摩耗などを招く可能性があります。

オーバーヒート、オーバークールの原因は他にも

サーモスタットの故障以外でオーバーヒートやオーバークールの原因となり得ることは他にもあります。

オーバーヒートの原因と対策、応急処置

低速での高回転の多用

上り坂のようなエンジンがよりたくさん回る状況でラジエーターに十分な風が当たらないとエンジンがどんどん熱を帯びていきます。山越えなどをする際には水温計や警告灯に注意し、温度が上がりすぎる前に車を止めて、エンジンをかけたまましばらく放置しましょう。エンジンを止めてしまうとウォーターポンプもとまってしまい冷却水の循環が止まってしまうので注意が必要です。

冷却水不足

冷媒である冷却水が足りなくなれば熱をラジエーターに運べなくなり冷却ができなくなってしまいます。定期的にエンジンルーム内にあるリザーブタンクを確認しておきましょう。冷却水の補充はどこの車屋さんでもだいたいやってもらえます。急を要する場合、冷却水は普通の水でも代用可能です。とりあえず水を入れて車屋さんに向かいましょう。ただし、ミネラルウォーターはミネラル分が固まって冷却水の経路が詰まることがあるので、極力避けたほうがいいです。

風量不足

ラジエーターに風を導くグリルなどの開口部が落ち葉や雪で塞がれると、ラジエーターから熱を逃がせなくなります。速やかに取り除きましょう。

オーバークールの原因と対策

寒冷地走行

外気温が低い、つまりラジエーターと外気温の差が大きくなるとより多くの熱を大気に逃がしてしまい、エンジンが適温に達しないことがあります。車を停め、走行風が当たらない状態でエンジンをかけたままにしたり、ラジエーターにあたる風を遮るなどして対策することができます。

冷却性能の高い社外ラジエーター

スポーツ走行を前提とした冷却性能が高いラジエーターで街乗りをすると冷えすぎてしまうことがあります。この場合もラジエーターをいちいち交換する必要はなく、ラジエーターに当たる風を適当な板などで一部遮ってしまうという手段があります。

水温には気を付けましょう

普通の車には水温計はないことが多いため気をつけようがないかもしれませんが、水温の警告灯に目を配り、車が走る環境や走り方にも注意して、大事なエンジンをいたわった運転をしていきましょう。エンジンがダメになってしまうと載せ替えか買い替えとなり、どちらにしても費用は高額になってしまいます。

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