外車に乗る時に一番注意しなければならないこと。それはウィンカーとワイパーの位置が日本車と逆になってるということです。ウィンカーとワイパーを間違えると停車合図や車線変更の意思を他の車に伝えることができなくなってしまいます。結構致命的で事故に直接関係しそうに思えるこの仕様ですが、外車のほとんどが反対になっており、多くの人が自然と受け入れています。しかし、そもそもなぜウィンカーは逆になっているのでしょうか。今回はその理由についてお話していきます。
もともと左ハンドルだから逆というわけではない
日本と海外、規定の違い
なぜ逆なのかと考えた時に、多くの人はまず最初もともと左ハンドルだったものを無理やり日本仕様に右ハンドルに置き換えたため、ウィンカーは左のままだと考えるのではないでしょうか。確かにその理由もなくはないですが、根本的な原因はそこではありません。一番の原因は日本と海外の規格の違いです。基本的に日本では日本独自の工業規格が設けられていて、車や電化製品などはこの規格に沿って作られています。その規格ではウィンカーは右側につけるように記されています。日本は左側通行ですから右についていた方が何かと都合がいいのです。一方世界ではISOという工業規格を基準に製品が作られており、その規格ではウィンカーはハンドルの左につけるように記されています。これも世界を見てみれば右側通行の国が圧倒的に多いので当たり前といえば当たり前でしょう。日本の輸入車ハンドルは右なのにウィンカーが左についている理由はこのISOの規格に海外のメーカーが準じているからなのです。
そもそもなぜ日本は左側通行?
日本が左側通行になった理由としていくつか説がありますが、どれが本当の説がというのは実ははっきりとわかっていません。そこで一番有力な説を紹介します。左側通行になったのは人々の利き手と大きく関係していて、基本的に世界の人口の8割程度の人は右利きです。もし襲われた時にとっさに利き手で攻撃できるという理由もあり、乗り物に乗る時に自然と人は利き手側の空間を広く取りたがります。そこで、左側通行で利き手の右側の空間を空けようになったという説です。では「なぜ世界は右側通行」なんだとお思いでしょう。そこにはナポレオンが関係しているという説があります。しかし、この歴史は少し長くなってしまうため気になる方はこちらの記事をご覧ください
日本の輸出車はどうなってる?
ウィンカーを逆にして輸出
ウィンカーが逆になっている理由は、工業製品をつくる時に準ずる規定の違いということでお話してきました。しかし、実は日本が世界各国の右側通行の国に車を輸出する時はウィンカーを逆にして輸出しています。「だったらなんで海外のメーカーは反対にしないんだ」と感じた方もいるでしょう。これにはちゃんとした理由があります。実は日本はウィンカーを右に、海外はウィンカーを左にという規格がありますが、この規格の詳細は少し違うのです。海外の規格ではウィンカーの位置は“ハンドルの位置に関わらず”左にすると記載されていますが、日本の規格にはその文言は記載されていません。従って、日本の自動車メーカーはハンドルの位置を変える場合にウィンカーを逆にしても良いのですが、海外のメーカーはハンドルの位置を変えたからといってウィンカーの位置まで変えるわけにはいかないのです。これを知らないと、なぜ日本のメーカーは親切に変えてるのに海外のメーカーは変えないんだと少し不満に思ってしまいますね。
イギリスもウィンカーは左
日本以外に有名な左側通行の国と言えばイギリスですが、イギリスは世界の工業規格に準じているため日本と同じ左側通行でもウィンカーは左に付いています。国際規格が設立される中心となったのはイギリスで、実際に設立される時の会議はロンドンで開かれているため、イギリスが国際規格に準じているのは当然と言えるでしょう。一方、その他の左側通行の国、オーストラリアなどでは国産車に限り、右ウィンカー右ハンドルで車を生産しています。
規格の変更は難しい…?
正直、日本で車を使う私たちにとってみれば輸入車でも右ウィンカーに合わせてくれた方がありがたいため、国際的な規格を変更してもらうことが望ましいと言えます。しかし、多くの国は右側通行で苦労していないため、そこを変更するのは難しいでしょう。では日本の規格を変えればいいのかというと一層私たちが不便になるだけですし、左側通行を右側通行に変えるなんてのはもっての他です。昔は1日で変更した国があったそうですが、ここまで発展した国ではそう簡単にはいきません。そう考えるとウィンカーが逆という問題は、私たちが外車に慣れるのが一番簡単な解決方法にも思えてきます。