他メーカーでスポーツカー復活の兆しが出てきて、ホンダもS660に続き、NSXも復活させました。
FFクーペと言えばホンダという時代もありました。
シビック以前に販売されていたホンダ クーペ9などは重たい空冷エンジンを搭載した超フロントヘビー、超どアンダー、直線番長でしたが最高速度200km/h近く出るというホンダらしいモデルだったのです。
その後一旦は環境問題もあって、真面目に初代シビックのような2BOXセダン、そして3BOXのトランクリッドを持ったノッチバックセダンに、ハッチバックを作っていたホンダでしたが、1978年デビューの初代プレリュードから再びクーペを作り出しました。
FFでもスタイリッシュだったプレリュード
その後もクイント・インテグラ、レジェンドクーペと作り続け、スポーツクーペというよりはトヨタ ソアラのような2ドアハードトップクーペを得意としていたのです。
中でもプレリュードは、NSX登場以前はホンダ最高級車だった事もあって、4WS(4輪操舵)やABSといった当時最新装備を惜しげなく搭載。
さらに、エンジンを傾けて搭載する事でエンジン高を下げ、まるでミッドシップスポーツかと見まごうような低いボンネットを実現し、そのスタイリッシュさから来る人気は、日産がS13シルビアを登場させるまで続きました。
90年代以降はUSクーペの時代
わずかに3ドアハッチバッククーペのインテグラが残るくらいとなってしまったのです。
しかし、海の向こうアメリカでは、旺盛なクーペ需要がありました。
アメリカでは日本と違い、子供の通学やパート勤めの女性の出勤用に「セレクタリーカー」と呼ばれるクーペが人気を博していました。
日本で言えばゲタ代わりの軽自動車のようなものでしたが、アメリカンサイズとなると、最低でも1.5リッタークラスの2ドアクーペになるのです。
そこに目を向けたのがアメリカホンダで、1988年にアコードクーペを、1992年にはシビッククーペをアメリカホンダ独自車種としてデビューさせます。
日本にも輸入されていましたが、初代シビッククーペが導入されたあたりから、同じくアメリカから輸入されたアメリカ版USアコードワゴンとともに人気となり、一時はカスタムベースとしてちょっとしたブームになりました。
日本では早々に廃盤へ
もちろん、チューニングを受けてエンジンをスポーティなDOHC VTECにスワップしたカスタムカーも人気を博しましたが、基本モデルはあくまでベーシックなSOHCの実用エンジンを搭載し、特に目立った性能を持ってはいなかったのです。
それが日本では見掛け倒しに見えたことや、そもそも2ドアクーペよりミニバンやSUVに乗ろうという時代になった事もあり、1990年代中盤には早くもブームは収束、日本ではアコードクーペ、シビッククーペともに、1997年頃には廃止されてしまいました。
北米では平凡なゆえに長寿モデルへ
しかし、北米でのセレクタリーカー需要は無くなったわけではないので、モデルチェンジは続けられ、治安が悪化している地域では車高の高いクロスオーバーSUVが好まれる、などの変化はあったものの、現在でも販売は続いています。
デビューしたばかりの新型シビックにも当然設定されており、これからもスタイリッシュながら手頃なアメリカのアシグルマとして使われ続けるでしょう。
セダンやハッチバックのようにタイプRは設定されませんが、だからこそセレクタリーカーとして人気を保てているのだと思います。
タイプRと間違えられたら、途端に窃盗の対象になりますから、セレクタリーカーとしてはその方が都合が良いのです。
とはいえ!見かけはスタイリッシュなクーペですし、今の日本ではあまり見かけないのも確かですから、まだ日本に輸入されていて右ハンドルがあった事のアコードクーペやシビッククーペの中古車を購入するのも良いでしょう。
B18CやB16AなどDOHC VTECにスワップチューンすれば、走りは良いし目立つしで、なかなか面白い選択だと思いますが、スポーティな小型FFクーペ、いかがですか?