車の新車販売や企業の新たな取り組みを宣伝するためのCM。
テレビを見ていて車のCMを見ないことはまずないと思うほど最近は多くの車メーカーがCMを流し始めました。
そんな車のCMが増えていく中、なかにはCMをという枠を超えるほどの作品も出てきて、車に興味のない人でもそのCMを知っていることが多くなりました。
例えばホンダのCMなどはその典型です。
車についてあまり知らなくてもホンダのCMに心を打たれたという人は多いのではないでしょうか。その背景にはホンダがCMに使う曲にセンスが大きく影響していて、ONE OK ROCKやSuchmosなど非常にセンスの溢れる選曲をしています。
どの時代にもその年代を代表する、印象に残るCMや大流行したCMは必ず存在してきました。
最近では車のCMがその存在の一つになろうとしています。
ここではそんな時代を代表するものになれるセンスの溢れる車のCMを5つ紹介します。
そしてなぜホンダのCMは心を打つのかについても考えていきます。
そもそもCMをやる意義とは?
センスの良い車のCMについて語る前に、そもそもCMをやる意義とは何でしょうか?CMは映画やドラマとは違います。
ただ感動するものを、面白いものを作れば良いというわけではありません。まずはCMを作る目的についてお話していきます。
企業や商品の知名度アップ
CMを作る最終的な目的は宣伝している商品を買ってもらったりサービスを利用してもらうことなのですが、度々「これなんのCM?」と思うようなCMを見かけることがないでしょうか。
なぜそのようなCMを作るのかと言うと、CMを作るに当たって優先すべき目的が”企業や商品の知名度のアップ”だからです。
知名度をあげるということは結果的に商品の売り上げにも大きく影響してきます。
例えば、あるトイレットペーパーを作る会社があるとします。
会社はCMを流しているのですが、全然自社の商品の良いところや特徴を紹介せずにただ自社の会社名と何の会社なのかを叫び続けるCMです。
「このCMは一体何のためのCMなのか」とみなさんは思うでしょう。
ですが、その意味のわからなさや変なCMという印象でみなさんの記憶の中にこのトイレットペーパーの会社名は残ります。
すると自分がいざトイレットペーパーを買う時になって、「そういえばトイレットペーパーといえばこの会社があったな」と思い出すことで、一回買ってみようかなと自社の製品に対しての購買意欲を高めることができるのです。
多くのCMはそのために知名度をあげ、名前を知ってもらうために作られています。
センスの良い車のCM5選!
それではここからはセンスが溢れる車のCMを5つ紹介します!
Honda 「負けるもんか。」
二輪バイクから始まり、ホンダの歴代の名車が並ぶ2013年頃に放送されていたホンダのCMですが、最初のナレーションから何か他のCMとは違うグッと引き込まれるものがあります。
このナレーションの語る言葉は写真のように掲示板に掲げる広告にも文字起こしされて使われていて、その掲示板の方の広告も他の広告とは一味違う、一目みて惹きつけられるものになっています。
そしてこのCMは何と言っても最後の「負けるもんか。」この一言に全ての想いが込められています。
このCMはホンダの開発における企業理念を表しているのですが、何か新しいものを作るのにどれだけ失敗しても、この負けるもんかという想いを胸にまた改良する。そんな背景を考えさせられ、言ってしまえばたかがCMなのですが、見ていてもCM以上のなにか、ジンとくるものがあります。
また、この企業理念を表すCMはもう一つありまして「試す人になろう。」編も同じくらい、研究している人たちの熱い想いに感動させられます。
Honda ONE OK ROCK×HondaJet 「Go, Vantage Point.」
Go, Vantage Point.「見晴らしの良い場所へ行く」というフレーズでおなじみのこのCMは、おそらくこの記事を見てくださっている大半の人が知っているのではないでしょうか。
それくらいこのCMは多くの人から素晴らしいと言われていますし、実際Youtubeの再生回数はCMながらなんと2000万回を超えています。
ホンダはこのCMも含め複数のCMでONE OK ROCKとコラボしているのですが、そのどれもがONE OK ROCKと絶妙にマッチしていて、もちろん曲も素晴らしいのでCMであれどまた見たくなってしまいます。
また、ナレーションもONE OK ROCKのボーカルのTakaさんが担当していてCMの構成も丁寧に考えられているなあと関心させられます。
Honda VEZEL
またホンダかという感じかもしれませんがそれくらいホンダのCMは素晴らしいので仕方ありません。今度はこのVEZELのCM。
VEZELの登場した当初はCMは明るい雰囲気の曲が使われていたのですが、2016年にSuchmosのSTAY TUNEが起用されその時のCMが非常に大きな反響を呼びました。
筆者もそこからSuchmosというバンドを知った一人です。
そこからVEZELのCMはかっこよさに磨きがかかり、ここに載せた最近のCMでもSIRUPのDo Wellという曲が使われ話題になっています。
このCMの都市という雰囲気とSIRUPの曲が非常に相性良く、VEZELも当初のCMに比べ高級感やかっこよさが非常に際立って見えます。
スバル 「Your Story With」シリーズ
このスバルの映像はCMというには少々長いですが、テレビで特定の番組のCMとして放送されていました。
このCMのキャッチフレーズは「Your Story With」。
あなたと車、どんな物語がありますか?という語りで始まります。
映像は車と一緒に歩んできた家族や友人、恋人との歴史を写しています。
車と共に成長する、車は常に自分を見てきたものという風に表現するスタンスとその物語一つ一つに感動しますし、スバルの車に対する考え方もこの映像からは見て取れます。
mazda CX-5 「Be a driver」
zoom zoomというナレーションで始まるマツダのCM。
このzoom zoomというのは日本語で言うところの「ブーブー」という子供がよく使う車の走行音だそうで、子供の頃の感動やワクワクをマツダの車に乗ることでもう一度感じて欲しいというマツダのコンセプトです。
マツダのCMや会社のコンセプト全てに共通することなのですが、マツダは車をただ移動するだけの道具として見ないということを大きく掲げています。
今回紹介する2015年に放送されていたCX-5のCMではCX-5に乗っている男女二人の物語が描かれていますが、その傍には常にCX-5があります。
車は道具ではなく一種のパートナーであると考えているのです。
また、マツダ全てのCMの最後に入るBe a driverには「人生の選択を自分の意志で道を選ぶ人になる、人生のドライバーになって欲しい」という願いと、マツダが運転することが楽しいと思ってもらえる車を作るという二つの意味が込められています。ぜひ見てみてください。
なぜホンダのCMはセンスが良いと言われるのか
ここまで5つ紹介しましたが、やはりホンダのCMは素晴らしいものが多いですね。ではなぜホンダのCMはここまで多くの人にセンスが良いと言われるのでしょうか。
楽曲のセンスが差をつけている
CMにおいて映像と同じくらい欠かせないのが楽曲です。
ホンダの場合その楽曲のセンスが非常に素晴らしく、ただ有名な曲を使うわけではなくあまり多くの人が知らないような楽曲でもその曲が良いとなれば使います。
多くのメーカーではできないことです。
また、ターゲット層も車を買いやすい40代以降を意識するのではなく米津玄師など若い人にも人気があるアーティストを意識しているのかなという選曲で結果それが功を奏しています。
映像と曲のバランスも良くて他のCMに比べ曲の配分がとても大きくなっています。
というか映像による音はほとんどありませんね、まるで曲のMVのようにも思えてきます。
でもまたそこが良い曲なので心に響くのでしょう。
CMに使われた神曲たち
CMに音楽は欠かせないものとお話しましたが、最後に今回紹介したCMを中心に今までCMに使われてきた神曲たちを紹介したいと思います。
ここまで紹介した曲すべてホンダのCMに使われた曲。ほんとにどれも名曲ばかりです。
こちらはマツダのCMに使われた曲、マツダのCM向けに奥田民生さんが曲を作成し、その英語バージョンがCMで使われています。
本家の奥田民生さんの方のMVもマツダとコラボしていて感動的なMVなのでぜひ見てみてください。