飲み会などでうっかり次の日運転する用事があることを忘れて飲み過ぎてしまい、ふとした瞬間に「あっ、明日運転しなきゃなんだった…」と思い出す。そんな経験をしたことがある方は割と多くいるのではないでしょうか。その飲み会が夜遅くまで続いていたのならば特にアルコールが体から抜けるまでにかかる時間が気になります。一体飲んでからどのくらいの時間を置けば飲酒運転にはならないのでしょうか。ここではアルコールが分解される時間や飲酒運転を避けるために気をつけるべきことについてお話していきます。
警察がアルコールを検査する飲酒検問
まずは、飲酒運転について警察がアルコールを調べる方法と法律で定められている基準について説明します。
警察が測るのは呼気中のアルコール量
夜中の道路で行われていることの多い飲酒検問ですが、その際警察が測るのは基本的に呼気中のアルコール量になります。ただ、もちろん通る人全てに呼気検査を行うわけではなく息を吐いてもらってお酒の匂いがすると警察官が判断した場合や簡単なアルコールチェッカーを用いて酒気帯び運転の恐れがある場合のみ正確なアルコール検査を行います。
皆さんも機器に向かって「はあ〜」と息を吐くシーンをテレビや実際に見たことがあると思います。警察が息を吐いてくださいと言う場合の検査は拒否することができますがアルコールチェッカーに息を吐いてくださいという場合は拒否するとそれだけで検挙されてしまいますので注意しましょう。
酒気帯び運転となる基準は?
アルコールの量により飲酒運転は軽い方が酒気帯び運転、重い方が酒酔い運転とに分かれますが、では酒気帯び運転となってしまうアルコールの量とは一体どのくらいなのでしょう。
道路交通法によりますと呼気1L中に含まれるアルコール量が0.15ml以上となると飲酒運転となり、酒気帯び運転として検挙されていまいます。これは一体飲酒量にするとどのくらいになるかと言いますと、体重が70kgの人がビール一杯でアウトとなるくらいの量です。当然、アルコールというものの耐性には体重などの個人差がありますのであくまで参考としてご覧ください。
アルコールが分解されるまでの時間
では、飲酒運転を避けるためには飲酒した後一体どのくらいの時間をあければ良いのでしょうか。
基本的に人が一時間に分解できる純アルコールの量は「自分の体重×0.1」gとされています。体重が70kgの人であればおよそ7gです。アルコール7gがビールに換算するとどれくらいの量になるのか知るには、「アルコール量÷(お酒の度数×0.8)」を計算することにより知ることができます。
実際に計算してみますと、ビールの量は度数を5%とした場合に175mlとなります。しかし、体重の量だけがアルコールの分解時間に影響してくるかというとそうでもありません。人はアルコールの分解にALDH2という酵素とALDH1という二つの酵素を使うのですが、この二つの酵素の活性によってアルコールの分解時間は変わってきます。簡単に言いますとALDH2が活性型の人はアルコールを分解しやすいです。なので一概に計算してみたらこの時間だからその通りにしようではなく、あくまで基準としてそこからは自分で判断するべきでしょう。
寝ると分解が遅くなる?
最近は飲酒検査が夜だけではなく朝にも行うことが多くなってきました。その理由は寝ればアルコールが抜けると思い、朝アルコールが体内に残ったまま車を運転し、事故を起こしてしまうというケースが非常に多くなってきているからです。おそらく、多くの人が寝たらアルコールの分解が早くなると思っていると思います。しかし、実際は寝ている時の肝臓のはたらきは起きている時の半分程度と言われています。
寝たからOKという認識は大きな事故に繋がりやすいですし、実際にそれが原因で起こった事故は数多くあります。寝たらOKという認識は改めておいたほうが良さそうです。
自分で呼気検査をできるアルコールチェッカー
警察が飲酒検問に使っている呼気のアルコールチェッカーですが、このアルコールチェッカーは市販でも販売されています。お酒を飲んだ次の日、アルコールが残っていないかどうかをチェックするためにも持っておいて損はないでしょう。ただ、アルコールチェッカーの中にも数百円のものから数万円のものまで色々ありますのでここではおすすめのアルコールチェッカーを紹介します。
こちらは比較的安価ながら多くの人に信頼されているタニタが販売しているアルコールチェッカーです。息を吹きかけてもらい、アルコールの量を0.0〜0.5ml/Lで表示するというシンプルな機能で多くの人に使用されています。アルコール量が0.0〜0.5mlしか表示されないというのは少々物足りないと感じるかもしれませんが、飲酒運転を避けるという目的であれば0.15mlを超えるかどうかが分かれば十分でしょう。
先ほどの商品に比べると少々値段が高価になるこちらの商品ですが値段が上がることのメリットとして精度が上がるのはもちろんですが、測定速度が早くなるというメリットもあります。時間がない時にいちいち測定時間を待つのがいやだという人は多少高いものを買った方がいいかもしれません。
飲んでなくても捕まってしまう?運転する前に気をつけるべきもの
お酒を飲んでしまいアルコールが検出されてしまうのはわかりますが、実はお酒を飲んでいなくてもアルコール検査に引っかかってしまうのものがあります。ここではそんな運転する前に気をつけなければならないものを紹介していきます。
ドリアン
悪魔の果実やフルーツの王様など様々な異名がつけられているドリアンですが、実はこのドリアンを食べるとアルコール検査で酒気帯び運転以上の数値が出てしまうことがあります。
実際に中国では運転する前にドリアンを食べた男性が警察のアルコール検査に引っかかってしまうという事も起きています。血中アルコールの検査を行うことによって潔白が証明されたらしいですが、呼気検査では検出されてしまうようです。日本では基本的に呼気のアルコール検査がメインですので余計に飲酒検査に引っかからないためにも運転する前はあまり食べないように注意しましょう。
モンダミン
こちらはモンダミンに限らずマウスウォッシュ全体ということなのですが、こういったマウスウォッシュの多くにはアルコールが含まれています。アルコールの含まれたものでうがいをしてしまうわけですから、当然飲酒検問にも引っかかってしまいます。
酒気帯び運転になってしまうのは0.15ml/L以上の場合と先ほどお話しましたが、モンダミンの使用後ではなんと0.3〜0.5ml/Lほど出てしまいます。呼気検査に引っかかったところで血中検査をしてくれれば疑惑は晴れるわけですが警察の中には血中検査を行わせてもらえない人もいるため、運転する前には使わないようにしておいたほうが良さそうです。
酒粕
日本酒などを作る時に副産物的に出てくるこの酒粕ですが、実は酒粕には8%程度という割と高めのアルコールが残っています。甘酒はそこからさらにアルコールを飛ばしているので大丈夫なのですが、酒粕を生で食べて運転する場合はかなり高い確率で飲酒検問に引っかかってしまいます。こちらは先ほどのモンダミンとは違い実際にアルコールを摂取してしまっているわけですから言い逃れはできません。事実、日本で酒粕を食べて運転し検挙されてしまうということも起きています。
食べ物でもアルコールが入っているものは意外と身近に多くあります。常日頃から運転する前は飲酒だけではなくアルコールが含まれるものを食べてしまっていないか気をつけましょう。