自然災害は普通に生活していて遭遇しなければ良いのですが、被害に遭う可能性は皆等しくあり、一度だけではなく連続して被害に遭ってしまう人もいます。台風、地震、突風はいつ起こるか予測のできません。そのような自然災害に遭ってしまった時にどのような対処方法が正しいのか、避難場に行けば良いのかそれとも愛車のスペースを活かして車上生活するのか。そもそも避難しないなど、人それぞれ対処の仕方が違います。今回は東日本大震災で被災して車に避難していた経験を持つ筆者から見た、車に避難する時に備えておくと便利なものを考えていきたいと思います。
車に避難するのは正解なのか
もし災害の被害を受けて電気ガス水道などの人が生きるために重要な役割を持ったライフラインが途絶えてしまった時、どのような対処をすべきでしょうか。避難所へ行けば必要な物資があり水も手に入りますが、プライバシーはほとんどなくなります。また情報も間違ったものが出回り、何が本当なのかわからなくなって精神衛生上良くない事もあります。被災した時に避難所へ行く選択は最善の方法であると思います。しかし避難所へ行きたくない人もいるはずです。そんな時に避難するのにおすすめなのが車です。「避難所は安全なのになぜ避難しないのか」「車に避難は危険じゃないのか」という意見もあるかもしれないので安全性について調べていきます。
車の避難所としての安全性
近年の車は衝突安全性能も高く自走して移動もでき、エンジンをかければ暖も取れてスマホのバッテリーも充電できるので避難所として活用するのは比較的安全かつ優れていると筆者は考えます。また、乗り馴れた空間での車中泊は安心して過ごすことのできる数少ない空間で、緊張を和らげられる唯一の空間です。カーナビやラジオといった装備も優れているので正しい情報をリアルタイムで受信することもできます。災害時に出回る噂は精神衛生的に良くない噂が多く、余計に不安を煽ってしまうので正しい方法を手に入れるのはとても大切です。
必ずしも安心では無く危険性もある
安全なように感じる車への非難ですが、危険性もあるということを知らなければいけません。ワゴンタイプの車であれば座席を倒して横になるということも苦ではありませんが、軽自動車やセダンなど座席を倒しても横になれない車や車中泊するには窮屈な車は、エコノミー症候群に注意が必要です。窮屈な車内などで同じ姿勢を長時間続けると血液の流れが悪くなり血のかたまりが血管の中にできてしまいます。その血のかたまりは痛みや腫れの原因となったり、血のかたまりが剥がれると肺の血管につまり胸が痛くなったり呼吸が苦しくなり最悪の場合死亡する可能性もあります。このエコノミー症候群を避けるには十分な水分を取り適度な運動を心がけることが大切です。
備えておくと便利なもの
災害はいつも突然やってきます。前もって予測できるのは台風くらいですが、台風のたびに避難するのも難しいのが現実です。今回は備えておけば実際に被害に遭った時に便利なグッズを紹介します。
携帯できる簡易トイレ
人間にとって排泄は生きていく中で最も重要な行為です。被災すると水の入手が困難になるのでトイレを流すことができなくなります。そんな時に便利なのが携帯トイレです。携帯トイレはさまざまな種類がありますが大小に対応したものの方がいいと思います。もちろん使用する際は場所を選びきちんと用途を守って使用しましょう。もし間違えると排泄物の臭いが車内に充満したりと、衛生上よろしくないので注意しましょう。
長期保存可能な水
人の体重の60%は水です。そのため人から水分が失われると命の危機に陥ります。また水分不足はエコノミー症候群を引き起こす原因となります。人にとって重要な水は被災した際に最も優先して確保すべき物資です。被災してから配水の列に並んでも、長時間並ぶことで体力を消費してしまいます。最悪の場合、自分の前の人で水が切れたりもします。嫌な思いをしなくても済むようにあらかじめ水は備蓄しておくことをおすすめします。水を多めに備蓄しておくことで飲料としてだけ使用するのではなく、料理に使用したり体を洗ったり使用する用途が増えます。
長期保存可能な食料
長期保存できる食料は被災した際とても活躍してくれます。乾パンなどを備蓄しておけば空腹を満たすことができます。また水を多めに備蓄しているときはカップラーメンなども作れます。缶詰を備蓄していれば乾燥した食べ物では味わえない料理の味を堪能できます。ただお腹いっぱいになるのを目的に長期間同じものを食べるのも体が拒否する場合があるので、少しレパートリーを増やしておくことをおすすめします。(筆者が被災したときはコンビニやスーパーから塩分強めの食べ物がなくなり、菓子パンなど甘い食品が残っていてしばらく甘いもの中心の生活で辛かったです。)
ガソリン
車に避難する場合一番備えておくべきものです。日頃から常にガソリンを入れておく習慣を身につけていれば万が一の時にも対処できます。ガソリンは車に避難する際の生命線です。ガソリンさえあれば電気を使用できて暖を取れるので過酷な状況下での生活レベルを上げてくれます。また水が普及する速さは土地によってさまざまで、早い段階でライフラインが普及する場所もあれば困難な場所もあるので移動して物資を手に入れたり、被害の少ない地域へ移動して普及を待つなどガソリンさえあれば臨機応変に対処できます。
備えでは乗り越えられない壁
車で生活していたり、その他の場所で避難していても、どんなに備えていても超えられない壁というものが存在します。そんな超えられない壁を知っておくことで万が一被災した時の行動に余裕が生まれてくると思います。
トイレ
携帯用トイレと言っても一つ一つの大きさがそれなりに大きいので、余裕を持って何十回分用意するといったことは難しいです。また水が止まっていたりすると使用できるトイレも限られてしまいます。避難所には仮設トイレがありますが、インフラの普及が遅れて避難期間が伸びたりすると使用できなくなってしまったりするリスクが発生することが考えられます。
お風呂
お風呂に毎日入るのは日本の文化で日々の習慣なっています。しかしインフラに障害が起きてお風呂に長期間入れなくなった時、毎日お風呂に入っている人に掛かるストレスはとても大きなものです。もしガソリンに余裕がある場合は少し離れた被害の少ない場所にある銭湯へ行くなどして体を洗うことで心もさっぱりできます。水が無くても体を拭いてケアできるものを備えておくといいかもしれません。
水
水は生きていくのにとても重要で現代の生活では当たり前の存在です。しかし、被災すると水がどれほど貴重なのか身に染みて感じられます。川へ行けば水が手に入りますが、川の少ない都市では1リットル集めるのも困難です。井戸があれば水を汲めますがあまり頼り過ぎても枯れてしまいます。