デロリアンはなぜ突如として消えていったのか

過去に販売された名車と呼ばれる車は数多く存在します。今現在では販売から月日が経ち実際に乗れる車は少なくなっています。そんな名車の中でもわずかな期間しか製造販売されなかったにも関わらず、絶大な人気を誇り知名度のあるデロリアンについて紹介していこうと思います。

デロリアンとはどんな車?

映画バック・トゥ・ザ・フューチャーでおなじみのデロリアンはどのような経緯で作られたのか、車自体は有名ですがどのような歴史を辿ってきた車なのかはあまり知られていないのではないでしょうか。

デロリアン・モーター・カンパニーの誕生

09/15/17 San Juan, PR–Still photographs of the filming of Driven, directed by Nick Hamm. Cast members include Jason Sudeikis, Lee Pace and Corey Stoll.

1975年の10月に当時ゼネラルモーターズの副社長を務めていたジョン・ザッカリー・デロリアンはゼネラルモーターズを退職しました。退職した理由は彼の描く理想の車を製造するためです。ゼネラルモーターズを退職し独立し自らの夢を実現するために会社を立ち上げデロリアン・モーター・カンパニーが設立されました。デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)の本社はミシガン州デトロイトに置かれ、自動車の製造工場はイギリス・北アイルランドのベルファスト郊外にあるアントリム州ダンマリー州でした。

デロリアンは当時どんな車だったの?

デロリアンはゼネラルモーターズから飛び出してきたジョン・ザッカリー・デロリアンが設立したDMCが製造していた車です。ボディは錆びにくいステンレスでできています。ドアはガルウィングでできており見た目の印象もかなり強い車です。しかしゼネラルモーターズから飛び出してきて初めて作った車なので各部門に人がおらず、車のほとんどが外注で作られています。例えば車のデザインはイタリアの工業デザイナーでイタルデザインの創業者であるジウジアーロが担当していたり、ボディやメカニックはロータス・カーズが請け負っていたりとさまざまな人の協力によって作られた車でした。

映画バック・トゥ・ザ・フューチャーで一躍有名に

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バック・トゥ・ザ・フューチャーでは主人公たちが使用するタイムマシンとしてDMC社のデロリアンが使用されました。エメット・ブラウン博士の愛車デロリアンを改造して作成したタイムマシンとして登場します。デロリアンが選ばれた理由としてはステンレスボディーがタイムマシンにとって好都合であることと、単純に見た目のかっこよさから選ばれました。

タイムマシンとして改造されたデロリアンには次元転移装置が装備されており、Y字形に配置された3本の光るチューブが縦横30cm程度の配電ボックス内に収められた構造になっています。後部座席に取り付けられており、この装置を作動させるには1.21ジゴワットの電力が必要でした。またタイムトラベルするにはデロリアンを加速させ、時速88マイル(141.6キロ)に達すると、発電装置からの電力により作動し、閃光を放ちタイムトラベルとなります。エメット・ブラウン博士は1955年11月5日にトイレで転んで頭をぶつけた際に次元転移装置の着想を得ました。しかし、このバック・トゥ・ザ・フューチャーが公開された1985年にはすでにデロリアンは自動車業界から姿を消していました。

デロリアンが突如として消えた原因とは?

映画でも活躍しカルト的人気を誇るデロリアンですが製造期間はとても短いものでした。製造開始されたのは1981年ですが、製造中止となったのが1982年です。このわずか一年という短い時間の間で一体何が起きたのでしょうか。

デロリアンの売り上げ不振

デロリアンは前宣伝の時から人気があり、数多くのバックオーダーを抱えながらのスタートとなりました。初年度の販売台数は約6,500台と好調なスタートを切っていました。好調な時期にはターボチャージャーを搭載したモデルや4枚のガルウィングを搭載した4座席仕様のモデルなどの計画もありました。しかし販売価格が2万5,000ドル現在の価値だと約1500万円と高額であったことや大量のキャンセルが重なり翌年以降は売り上げ不振となってしまいました。またデロリアンの製造が停止されたのは売り上げ不振だけが原因ではなかったことも明らかになっています。

売り上げ不振だけではないデロリアンが消えたもう一つの理由

デロリアンの売り上げ不振は理由の一つとしてあげられますが実際はそれだけではありませんでした。販売不振からイギリス政府に見切りをつけられてしまい、北アイルランドへの工場を設立する条件として受け取っていた補助金が停止されてしまいました。1982年10月にはDMC社の社長ジョン・ザッカリー・デロリアンがコカイン所有容疑で逮捕されるという事件が起こり、会社は資金繰りが上手くいかなくなってしまい倒産してしまいました。のちにDMCの会計監査を行なったアーサー・アンダーセンがDMC社の資金を社長であるジョン・ザッカリー・デロリアンが私的に使用していたことを黙認していたとマスコミに話していたそうです。

デロリアンが現代で復活を遂げている?

販売台数も少なく高額なデロリアンは約1年という短い月日で製造が終了してしまいました。しかし、デロリアンの根強い人気から復活の兆しが見えてきています。手に入れることが難しくなってしまったデロリアンを手に入れる方法がいくつかあるので紹介していこうと思います。

デロリアンのレストア事業

短い期間の間しか販売されなかったデロリアンは会社単位で考えると失敗ですが、デロリアンは人々に大きな影響を与える車となりました。そんなデロリアンはレストアされて生まれ変わろうとしています。デロリアン・モーター・カンパニーは復活しようとしているのです。倒産した同社とは直接的な関わりはありませんが、法改正によって新車を作れるようになりました。2015年に定められた法律では年間製造台数325台未満であるなら現在の安全基準を満たしていなくてもレプリカ車を作っても良いとする内容が含まれています。

New DMC-12として販売されているレストアされたデロリアンは当時のスペックやデザインを再現しているのでそのままの乗り味を楽しめます。またバック・トゥ・ザ・フューチャーの劇中に登場したデザインの1985年モデルや2015年モデル、1955年モデルもあります。さまざまなモデルが用意されていますが環境に配慮されたEVモデルもあります。2,680万円と当時よりも高額になっていますがこれから先の自動車社会に対応したデロリアンもこれから先ラインナップに必要不可欠な存在となっていくことでしょう。

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