国産エンジン史スポーツカー「小排気量スポーツ戦線異常アリ」

国産エンジン史スポーツカーその15は、1980年代前半小排気量車のスポーツエンジンの変化についてです。


「小さくてよく回る」からの脱却

1980年代前半までの小排気量、1300cc以下のエンジンでよくありがちだったのは「小さいけどよく回り、よく走るエンジン」でした。

代表的なのが、トヨタ KP61スターレットのエンジンとして使われ、レースでも多用された1.3リッター直4OHVの4K-U(72馬力)であり、日産 B110サニーのエンジンとしてフルチューン時には12,000回転、180馬力以上を叩き出した名機、1.2リッター直4OHVA12です。

これらはOHCやDOHCといった最新メカニズムとは無縁な、低コストの実用エンジンでしたが、安くて頑丈という特性を活かしてチューニング素材としては最適であり、ワンメイクレースやツーリングカーレースで数々の名勝負を産んできたのでした。

しかし、スズキ カルタス、ダイハツ シャレード、ホンダ シティといった新時代のコンパクトカーの登場で、事態は一変してきます。

これら新世代エンジンは技術力が優れていることをアピールし、古い世代のコンパクトカー、小排気量エンジンとは違うことを証明しなければいけませんでした。

そして、そのことごとくが、FF(フロントエンジン・前輪駆動)だったのです。

小さく小排気量でありながら、信頼性の問題からFR(フロントエンジン・後輪駆動)だった時代は終わり、今にいたるFF車の時代が始まろうとしていました。

そして、それはまた、FF車にハイパワーエンジンを搭載し、フルパワーで走ると軽量車体がどこに飛んでいくかわからない、じゃじゃ馬時代の到来です。

FFハイトールでスポーツという革命

これら小排気量車の中でも軽自動車は独自の進化を遂げていきますが、1,000~1,300ccクラスのコンパクトカー用エンジンにも、ついにハイパワーの時代が到来しました。

それが1981年にデビューするや大ヒットとなり、1982年にはターボが追加された初代ホンダ シティです。

極端なトールボーイスタイルは同時期の軽自動車、ダイハツ クオーレミラ(現在のミラ)と同様、車内スペースを極端に増やす新時代のクルマでしたが、同時にあまりの背の高さに、スポーツ走行には向かないとされていました。

しかし、それを無視するかのようにシティはターボエンジンを追加。

1.2リッターロングストロークエンジンのERにターボとPGM-FI(ホンダ式の電子制御燃料噴射装置)を搭載、グロス出力とはいえ100馬力を発揮して、「背の高いFF車でスポーツできるわけが無い」という思い込みを打ち砕きます。

1983年にはさらにインタークーラーターボを搭載したターボII、ボンネットのバルジやブリスターヘンダーで拡幅されたワイドボディといういかつい姿から「ブルドック」と呼ばれたそれは、110馬力を発揮する上に、低回転からアクセル前回で短時間ならからブースト圧を増大、緊急加速出力を発揮するスクランブルブーストを備えていたのです。

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