駆動方式による違い | RRのメリットデメリット

車を買う際にどの車がいいか迷いますよね。正直どれも良くて、なんとなく値段や燃費、ぱっと見の見た目などで判断しがちです。しかしそんな車選びをする中で大事になってくることの中に、駆動方式選びがあります。これは車の構造をエンジンの位置と駆動輪の位置から分類したものです。それぞれで走りの特性が違う駆動方式には大きく5つあり、FR(フロントエンジン、後輪駆動)、FF(フロントエンジン、前輪駆動)、4WD(四輪駆動)、MR(ミッドシップエンジン、後輪駆動)、RR(リヤエンジン、後輪駆動)です。しかし車の駆動方式には、走行性能などの数字の違いだけでなく、これらにはそれぞれ個性があり、メリット・デメリットがあります。今回はそれぞれの駆動方式の特徴、そしてメリットとデメリットをご紹介するコーナー第4弾として、究極のスポーツカーにも搭載される『RR』をご紹介します。

ポルシェ911に代表されるこの駆動方式は、現代は開発も難しいうえに扱いも難しいということもあり、採用されている車は非常に少ないです。今回はそんなRRの本質に迫ります。

RRとは

RRはリアエンジン・リアドライブ(Rear Engine・Rear Drive)の頭文字の略語で、後輪の真上もしくはそれより車体後部にエンジンを置き、後輪を駆動する方式のことを言います。このRRのレイアウトによって生じる特徴を活かす場合、大きく2パターンのコンセプトの車が作られています。1つ目はポルシェ911の様なスポーツカーです。それは、RRの大きな特徴1つ目として、加減速に優れるという点からです。のちに詳しくご紹介しますが、その分RRの車では直進安定性が悪くなるなど、ドライバーの技術が必要とされるという挑戦的な特徴も兼ね備えています。もう1つは軽トラックやコンパクトカーの様な居住性を求める車です。例えば『スバル サンバー』や『日野 コンテッサ』、『ルノー トゥインゴ』などです。それぞれRRを採用した理由はパワートレインを車体の端に集めることで居住性に優れるという点からです。特に日野は、現在でもRR駆動のバスを生産し続けています。

RR駆動はもともと、1960年代~1970年代あたりにその軽快なハンドリングと意外と優れる実用性から人気を博していましたが、現代ではかなり珍しくなってきました。その要因の1つとしては、まずは次第に車が高出力化、高速化してきたことが挙げられます。高性能化にあたってフロントサスペンションやフロントブレーキなどが単純な構造のままでは走行の安定性を保つことが難しくなってきたため巨大化、複雑化してきました。これによりフロント部分(ボンネット)のスペースがサスペンションに奪われるなど、車のトータル的な空間が効率よく取れなくなり、元々強みの1つでもあった実用性の部分がそこまで強みではなくなってしまったのです。このような要因から、実用性を求めるならより運転もしやすくスペース効率の良いFF(フロントエンジン・フロントドライブ)が人気を高め、現代では販売されている車のほとんどがFF駆動になっています。今から新たにRRを開発して車を販売しようと考えている自動車メーカーはまず無いでしょう。

今回はそんな少し珍しいRR駆動の車のメリットとデメリットもご紹介していきます。

RRのメリット

そんなRRのメリットにはこのようなものがあります。

①加速性能に優れる

車の加速時には慣性の法則が働くので、その構造上前輪より後輪に大きな重量がかかります。重量がかかると地面を掴む力は強くなる(トラクションが向上する)ので、後輪を駆動させているとその力は地面に伝わりやすくなり、動力伝達のロスが少なくなります。さらにRRは、重たいエンジンが車体後部にあり、後輪にさらなる重量をかけているので、爆発的な加速をすることができます。加速性能に関していえば、全ての駆動方式の中で最も効率的で優れる駆動方式といっても過言ではないでしょう。

②室内空間が広くとれる

高性能車であるポルシェ911などにはあまり言えないことではありますが、乗用車やコンパクトカーにおいてRRが採用される場合、室内空間が広くとれることは一つの大きなメリットになっています。それは、エンジンも駆動輪も車体の端に集めることができスペース効率が良いからであります。車体中部にエンジンを置くミッドシップの車とは違い、4人以上が乗れるようにレイアウトすることが可能なのもRRの1つの良さであります。

③小回りが効く、ハンドル操作が軽い

重たいエンジンも、トラクションを要する駆動輪も車体後部にあるとなると、前輪がすることはただ一つ、操舵です。例えば車体前方にエンジンも駆動輪も集約しているFF駆動では、どうしてもノーズが重くアンダーステアになる車が多いのですが、それは前輪が駆動も操舵も両方担っているからなのです。その分、RRでは前輪は操舵にのみ集中できるため必然的にハンドル操作が軽くなります。実際には、ただ『軽くなる』という言葉では片づけられないのが、前述したポルシェ911の乗り味であり、それは『ポルシェ911』という駆動方式のカテゴリーに含めても良いほどの特殊な感覚さえあります。ともかく、RR駆動のレイアウトは、ハンドリングにおいてもクイックなレスポンスを求めるには最も効率的なのです。

④ブレーキ性能に優れる

RR駆動のレイアウトは、前述のように加速性能に優れるのと同時に、実はブレーキ性能にも優れます。車の構造上、加速時には後輪に大きな負荷がかかりますが、減速時には逆に前輪に負荷がかかります。そのため前輪のブレーキ性能が重要になってくるのですが、エンジンを車体後部にレイアウトするRR駆動の場合、そのエンジンの重量が車体後部にかかるため、減速時には車体後部にも一定の負荷がかかるのです。そのため減速時の前輪と後輪のバランスを取ることができ、結果的に高いブレーキ性能につながっているというわけなのです。ポルシェがブレーキ性能において高い評価を受けているのはこの影響もあるかと思います。

RRのデメリット

一方、そんなRRのデメリットにはこのようなものがあります。

①直進安定性が悪い

これは特にポルシェ911において言えることで、前述したように加速性能とクイックなハンドリングレスポンスに優れるRR駆動ですが、それが逆にデメリットとも捉えられます。操舵輪に負荷がほとんどかからないため、特に加速時の前輪はいわばスカスカの状態です。そのため、どうしても加速時の安定性は悪くなってしまい、それを制御するテクニックが必要になります。もっとも、近年進化している電子制御や安全装備のおかげで誰でも比較的簡単に運転できるようになってはきましたが、未だフルスロットルで加速する際には高度なドライブテクニックが必要になる場合が多いです。

②オーバーステアになりがち

オーバーステアとは、ハンドルを一定の角度で切りながら加速した際に、カーブの内側に向かって巻き込むように曲がってしまう現象のことです。これは前述した直進安定性の悪さとも関連していますが、そのレイアウトによりフロントが軽く、リアが重いため、コーナリング時には軽いフロントがクイックなレスポンスで内側に向かっていこうとするのに対し、重たい車体後部には逆にカーブの外側に向かってGがかかることになるためです。これはドライブテクニックを要していさえすれば非常に楽しい感覚ですが、下手をするとスピンしてしまう可能性があり、非常に危険です。

③スポーツ走行において運転が難しい

RR駆動は、スポーツ走行に使用しなければ特に問題はありませんが、それでは正直RRの意味があまりなく、FF駆動を採用した方が実用性も高いため、そこまでのメリットはありません。そのためRRを駆る場合は基本的に高性能車でスポーツ走行をすることをおすすめしますが、これには前述の通り高い運転技術が必要とされるのです。直進安定性が悪いことやアンダーステアになってしまうことも考慮し、加速時のステアリング制御やコーナリング時には一段と注意しなければ大きな事故につながります。RRで楽しいスポーツ走行をするということは、他の駆動方式より一段と安全運転を心掛けなければいけません。

RR車はこんな人におすすめ

今回はRRの特徴とメリットデメリットまでご紹介しました。

現在では一部の乗用車とポルシェ911などにのみ採用されていて、非常に珍しい存在となっているRRですが、そこには最高のドライブフィーリングがあります(乗用車の場合を除く)。そのため自分の腕も試されるような少々ピーキーな車でもいいから、速くて気持ちのいい最高のドライビングを楽しみたい方にはRR駆動のポルシェ911に乗ることをおすすめします。

正直、安全性も考慮したいし、もっと人も荷物も載せたい!という方にはおすすめできないのがこのRR駆動です。そのため、ファーストカーとしてではなく、セカンドカーとして、趣味の範囲で楽しむような車であるといえます。

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