「燃費課税」こと自動車環境税で、自動車の税金はどう変わる?

消費税10%への増税に合わせた「自動車環境税」の導入決定まで秒読み段階に入ってきました。自動車取得税の廃止と同時に、燃費性能に合わせた新しい税金が始まるという仕組みですが、車の購入に関して何が変わってくるのでしょうか。

燃費課税の内容

2017年4月に予定されている消費税10%への引き上げですが、それに合わせたさまざまな軽減税率が話し合われているのは、報道などでご存知かと思います。
自動車に関しての軽減税率としては、自動車を購入する時に現在は3%が課税される「自動車取得税」の廃止がまず決まりそうです。

ただ、それで車が買いやすくなると考えるのは早計で、自動車取得税の廃止により不足する1000億円の地方税収を補填するため新たな税金が誕生しようとしています。

環境性能に応じた新しい税金

消費税の増税が決まった段階から総務省が検討を重ね、2016年度の「与党税制改正大綱」に盛り込まれた新しい税金は「新車購入時燃費課税」です。

「自動車環境税」とも言われるこの新しい税金は、燃費が悪い車に対しては購入時に今までの自動車取得税と同じ3%の課税を行い、燃費が優れていたり、そもそもガソリンや軽油を消費しない車に対しては、0%から3%までの間で税率を下げるというものです。

それだけなら単純に環境に優しいとされる車を購入すればいいだけのようにも思えますが、現在あるエコカーの購入で翌年度の自動車税や軽自動車税を減税する「エコカー減税」を廃止して、新たな自動車環境税に一本化しようとしているため、購入する車種によっては実質的に増税になる場合もあります。

前提は自動車取得税の廃止

課税の内容ですが、まず基準となるのは燃費の「平成32年基準」および「平成27年基準」です。
詳細に関しては国土交通省のHPで発表されている基準値を参照して下さい。
その上で燃費課税の政府案は下記のようになります。

・FCV(燃料電池車)、EV(電気自動車)、平成32年基準+20%以上の車:全車0%
・平成32年基準+10%以上の車:登録車0.60%、軽自動車0.40%
・平成32年基準達成の車:登録車1.20%、軽自動車0.80%
・平成27年基準+10%以上の車:登録車1.80%、軽自動車1.20%
・平成32年基準+5%以上の車:登録車2.40%、軽自動車1.60%
・上記未達の車:登録車3.00%、軽自動車2.00%

これだけならば、最悪でも今までの自動車取得税がかかるだけです。
しかし「エコカー減税」を廃止した場合には控除されていた取得税や新規車検・初回継続車検時の控除が受けられなくなるのです。

平成32年度燃費基準値および減税対象基準値

平成27年度燃費基準値および減税対象基準値

http://www.mlit.go.jp/common/001178374.pdf

実際にはどのような影響が出る?

仮の実例としてBMW118iを新車購入するケースではどのようになるかを調べてみます。

エコカー減税に関して参考にしているのは国土交通省の減税対象自動車一覧のBMWの欄です。

BMW118iは平成32年基準は「達成」なので、新しい燃費課税の政府案では1.20%の燃費課税がかかります。
従来の自動車取得税(3%)に対して1.8ポイント減免になるわけで、これは現行のエコカー減税でBMW118iを新車購入時に減免される自動車取得税と同じです。

ただし、エコカー減税では他にも車検時の重量税減免がありますが、エコカー減税廃止になると受けられなくなります。
つまり新車購入時に限って言えばエコカー減税における自動車取得税の減免と同程度の減税を受けられますが、その他の減税措置が受けられなくなるので実質的には増税です。

全ての車で同じ現象が起きるわけではなく、実質減税になる車も増税になる車もあるはずですので、あくまで一例と考えてください。

国土交通省・減税対象自動車一覧(BMW)

まとめ

中古車も新車同様に取得税の控除額が車によって違いケースバイケースではありますが、基本的には税収を減らさない事が前提の政策になっていますので、消費税増税および、その他の税制改革の施行が予定される2017年4月1日までの間に、新車同様に駆け込み需要の動きは起こると思っておいた方が良いと思います。

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