以前の「キャノンボール2」のスタリオンだけでなく、ジャッキー・チェンと三菱自動車の関わりは非常に深いです。
ミラージュ・ミニカ・ランエボ・パジェロ等を駆りカーアクションを見せたほか、三菱ふそうのCMに出演し三菱自動車の中国マーケットでのイメージキャラクターを務めるなどその三菱愛は並々ならぬものがあります。
そんなジャッキーの思いが凝縮されているのが今回取り上げる1995年の映画「デッドヒート」です。
あらすじ
日本の自動車メーカー(三菱自動車)での研修を終え、日本から香港に帰国したジャッキー(ジャッキー・チェン)は、昼間は父親の経営するチューニングショップの手伝いをしながら夜は高速道路での警察の違法改造車の検問に協力する日々を送っていました。
そんなある日、黒いスカイラインGT-Rが検問を突破し警察官を轢き殺してしまう事件が起こります。
数日後、ガス欠になったFTOを救助していたジャッキーの前に再びGT-Rが現れます。
ジャッキーはTVリポーターのエイミー(アニタ・ユン)を乗せたままFTOでGT-Rを追跡し、見事犯人のクーガー(トースティン・ニッケル)を逮捕に追い込みました。
しかし程なくしてクーガーの仲間が警察署を襲撃、脱獄したクーガーはジャッキー家のチューニングショップをクレーンで破壊にかかります。
父親は心労と負傷で危篤になり、ジャッキー自身も傷を負ったばかりか2人の妹をクーガーに拉致されてしまったのです。
クーガーは怒るジャッキーに「返して欲しければ仙台ハイランドで行われるレースで俺と対決しろ」と一方的に言い残し日本に逃亡します。
家庭をめちゃくちゃにされたショック、自らの負傷…それでも愛する妹たちを取り戻すためジャッキーは日本へ向かいます。
仙台ハイランドの国際レースで、ジャッキーとクーガーの壮絶な戦いが始まりますー

三菱 FTO
劇中、検問を突破したクーガーのスカイラインGT-R(R32)を追い回したのがジャッキー操るFTOでした。
FTOはかつての三菱のホットモデル・ギャランクーペFTOの名を継いで1994年にデビューしました。
直線基調なデザインの多い三菱車としては珍しく曲面を基調とした流麗なデザインで異彩を放っています。
2.0リッターV6エンジンは200馬力を発生し、AT車に初めてマニュアルモードを付けるなど技術的にも意欲的な車に仕上がっています。
高い旋回能力にも定評があり、1994年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
とはいえクーガーのスカイラインGT-Rとの性能差は歴然…これを追い詰めたジャッキーのドライビングの腕は凄さが強調されています。
仙台ハイランド・レースウェイ
ジャッキーとクーガーが勝負したのが2014年9月に営業を終了した仙台ハイランド・レースウェイです。
仙台ハイランド・レースウェイは1986年に日本で8番目のFIA公認コースとして誕生しました。
誕生時には「西仙台ハイランド」と呼ばれ、遊園地・ゴルフ場を含む複合レジャー施設の中にありました。
同じ宮城県内にあるスポーツランドSUGO同様高低差を活かしたレイアウトですが、仙台ハイランドはより中低速のタイトなコーナーが続くテクニカルコースになっています。
全日本GT選手権(現SUPER GT)や全日本F3選手権が開催され、また日産が現行GT-Rを開発する際テストコースとして使用していました。
SUGOより仙台市内からアクセスしやすく宿泊施設も整っていたため、サーキット走行を楽しみたい若者にも人気がありました。
しかし2011年の東日本大震災で施設が大きなダメージを受けてしまい、大規模なレースイベントの開催が難しくなった事もあり2014年9月でサーキットは営業を終了しました。
ちなみにサーキットである仙台ハイランドでは爆発シーン等カースタントの撮影ができなかったため
仙台での撮影終了後、撮影車両をマレーシアまで輸送し、仙台と似た風景の場所で爆発・カースタントのシーンを撮影した。レース中雨であるにも関わらず、途中で急に晴れるのはこのためである。ja.wikipedia.org
ジャッキー・チェンと言うとコミカルなアクション作品が多いですが、この作品では硬派で優しいジャッキーの一面を見る事ができます。
レースでのドンデン返し含め、三菱ファンなら必見の作品です。