【使用レビュー!】呼び名が自由なBMWの音声アシスタント、IPAとは

『Hi, Mercedes!』でおなじみ、メルセデス・ベンツの『MBUX』など、近年普及しつつある自動車のAI音声アシスタント機能。
その機能は運転しながらAIアシスタントを呼び出し、用件を伝えるだけでその操作や設定をAI自ら行ってくれるというもの。
メルセデス・ベンツのCMではアニメ・ドラゴンボール孫悟空の声優である野沢雅子さんらが起用され印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

そのAI音声アシスタント機能が今度は同じドイツの自動車メーカーであり、ライバルであるBMWの新型車種に搭載され、2019年3月から販売開始されました。
その名も、『BMW Intelligent Personal Assistant』(以下、IPA)。
今回は、筆者が実際に新型BMW3シリーズ(G20)に試乗した際に、その機能を実際に使ってみたのでその使用レポートをお伝えしていきます。(新型3シリーズの試乗レポート)

アシスタントの呼び方は自由

IPAは、日本で2019年から発売されるすべてのBMW車に標準で装備されます。

(以下、新型BMW3シリーズカタログより引用)

『OK、BMW。今日の調子はどう?』あなたの呼びかけに、BMWが人間のアシスタントのように応答したら素敵だと思いませんか。BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを利用すれば、全く新しい、そしてより簡単な方法で、BMWとコミュニケーションをとることができます。BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントはあなたのことを知り、学習し、そして常に情報のアップデートを図りながら、様々な状況において手助けをします。ご自身で設定した呼びかけの言葉で、アシスタントを呼び出すことも可能です。この有能なアシスタントは、車両に関するあらゆることを説明でき、あなたが、あなたのBMWをもっと深く知ることができるようにサポートします。

参照元:https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/3-series/sedan/2021/3-series.html

ということで、IPAができることは、音声での呼びかけにより何らかのサポートを受けることができるということ、そして(3月18日付)他社と大きく違うなと思うのは、呼び名が変えられるということです。

デフォルトの設定は『OK、BMW』が起動ワードだそうですが、OK等の呼びかけを入れる必要もなく『JOY』や『レモン』、『K.I.T.T.』等々…どんな名前でも可能だそうです。
もし名前を忘れてしまったり、起動ワードを知らない人が乗車した際でも、ステアリングホイールのスポーク部、右側下のマイクボタンで起動でき、『起動ワードを設定』という音声コマンドでまた新たに設定できるということです。

実際に使ってみた

実際に試乗車両で試してみました。起動ワードは『三郎(さぶろう)』に設定しました。(状況:屋外、停車時、テスト時間が短く文章での紹介になりますがご了承ください…。)

①ナビの設定

まずは三郎を起こし、たくさん使うであろうナビの設定をお願いしてみました。(以下 筆者=筆、三郎=三)

筆:『六本木に行きたい』

三:『…』

そして少し考えた後『検索履歴がありません。』とセンターディスプレイに表示されました。もう少し細かいところ(例:六本木ヒルズなど)まで指定すれば、場合によってはできるかもしれません。

②エアコンの設定

次にエアコンの設定をお願いしてみました。

筆:『寒い』

三:『…もう一度お話しください。』

筆:『温度を上げて』

三:『23度に設定します。』

少し高めの温度設定をしてくれました。まだ直接具体的な指示を出さないといけないようですが、使えなくはないと思いました。

③レストラン検索

レストランなど施設を検索してもらうために、次はこんなことを聞いてみました。

筆:『おなかすいた』

三:『…もう一度お話しください。』

筆:『近くのレストランを探して』

三:『こちらが見つかりました。……』

とこちらもやはり具体的な指示を出したらしっかりと答えてくれました。

感想

実際に今回は走行中ではなく停車しながらの使用になってしまい、さらにテストする時間も短く動画も取れていないということで、検証するには不十分な結果かもしれませんが、以下に感想をまとめます。

良い点

①呼び名を自由に変更できる、さらに『Hi,』や『Hey,』など呼びかけもいらない。

②もちろん、手をステアリングホイールから話すことなく各機能の設定ができる。

悪い点

①聞き取り能力が低め、話してからの処理時間も長く感じる。

②具体的な指示を出さなければ対応しにくいため、あまり融通が利かない。

しかし、以上の様な悪い点がありつつも、今後は日本国内の技術センターでも実験や開発を重ね、随時ソフトウェアのアップデートが行われていくということで、そちらのアップデートに期待したいですね。

また、いろいろと書きましたがBMWとしてのイメージではIPAはあくまでも、『ドライバーオリエンテッド』(ドライバーがステアリングホイールから手を放すことなく運転に集中できる)な環境をより強固にするためのツールの一つであるということです。ですから会話を弾ませるところはあまり大きな目標にはしていないそうです。

今後のAI音声アシスタント市場

参照元:https://www.audi-press.jp/press-releases/2017/b7rqqm000000hadu.html

自動車の音声アシスタント市場の今後の動向としては、まずアウディですが今年登場のe-tronでAmazon社の『Alexa』導入を発表しています。
車の中で『アレクサ』と呼びかけ自宅の電気を消したりできるようになるとのこと。

トヨタは今年の夏にLINEとの提携で作り出す『Clova Auto』を導入、PSAグループ(プジョー、シトロエン、DS、オペル)とホンダは2020年導入で米シリコンバレースタートアップの『Sound Hound』と組み、音声アシスタント市場に参入する。

以上のように自動車における音声アシスタント市場はこの2~3年で大きく変わってきそうですね。
もちろんそれぞれの音声アシスタントにそれぞれの良さやコンセプトがあり、どれが一番いいと感じるかは人それぞれですが、自分の生活スタイルや使い方にあったものを選べると良いですね。
個人的にはBMWのIPAは融通は利かないかもしれないけど『アシスト』としてよくやってくれたと思いますので今後のアップデートにも期待し、かなり良かったのではないかと思います。

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