誤作動で修理費20万円?安全性を重視しすぎたアクティブボンネット

1955年から1964年にかけて交通事故死者数が日清戦争の死者数を上回る勢いで増加したことから交通戦争と呼ばれるようになりました。その後1980年から1988年まで死者数が再び増加し第二次交通戦争と呼ばれることとなり、車の安全性能の低さが問題となりました。それから長い月日が経ち、衝突安全性能が向上した車のおかげで交通事故による死者数も少なくなっています。衝突安全性能を上げるためにさまざまな工夫がなされていますが、問題となっているアクティブボンネットについて語っていきます。

アクティブボンネットとは?

参照元:https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/mercedes-benz-cars/models/e-class/e-class-coupe/safety/intelligent-drive-detail1-c238/active-bonnet-c238.html

アクティブボンネットとは、万一歩行者と衝突して一定以上の力が車両前部に加わった場合作動する機能です。衝撃を感知した際にボンネット後方を瞬時に持ち上げ、ボンネットとエンジンルームの間に空間を作ることで衝撃を和らげる効果があります。

実際に効果はあるのか

歩行者と衝突した際にシリンダーヘッドなどの硬い金属に頭をぶつけ亡くなる方も少なくはありません。上昇したボンネットは金属ですがクッションの代わりとなり強い衝撃や硬いパーツの接触を避けてくれるので効果は期待できます。事故のパターンはさまざまでアクティブボンネットが作動しても当たりどころが悪ければ最悪の事態は免れないので過信は禁物です。歩行者を保護する意味でもアクティブボンネットは衝突安全性能や歩行者保護の観点からもワンランク上の安全性を生み出してくれます。

このアクティブボンネットはマツダだけではなく日産の車にもポップアップエンジンフードとして搭載されており、基本的な仕様は同じものです。各社歩行者保護するための方法を模索しており、スバルでは歩行者用のエアバックが搭載されています。

アクティブボンネットはなぜ必要なのか

車から人を守るために開発されたアクティブボンネットですが、本当に必要な機能なのでしょうか。乗っている側からすれば、歩行者と接触しないように細心の注意を払いながら運転すればいいのではないかと思う人もいるでしょう。そんなアクティブボンネットが採用される理由を探っていきたいと思います。

衝突安全性能評価基準

衝突安全性能評価基準はユーロNCAPによる歩行者対応の安全性能評価基準です。この基準には自動車メーカーの参加が事実上義務化されており、衝突安全性能評価基準をクリアして5つ星の評価をもらうことが車の評価向上や宣伝効果が見込めるとされています。

アクティブボンネットを搭載しているマツダのCX-8は衝突安全性能評価ファイブスター賞を受賞しました。CX-8はSKYACTIV-BODYを採用しており、前方後方側面からの衝撃エネルギーを効率的に吸収、分散してキャビンの変形を抑制しています。軽量で高強度の安全ボディは衝撃を吸収しやすく、各部骨格の環状構造を強化することで衝突安全性能が引き上げられています。

このSKYACTIV-BODYはマツダ・ロードスターにも採用されており、FRのオープンカースタイルのボディーに適応させることで、安定性の向上や衝突安全性能が向上しているだけではなく、初代ロードスターを上回る軽量ボディを実現しています。

歩行者頭部保護基準

しかし、衝突安全性能の高いSKYACTIV-BODYを採用した車にアクティブボンネットを搭載する必要があるのでしょうか。理由は歩行者頭部保護基準にあります。この基準はボンネットの衝撃緩和性能を規定するものです。2005年より順次対応車種が増えてきており、近年車のボンネットが丸みを帯びてきたのはこのためです。

日本で発生した自動車事故に巻き込まれた人の数は交通事故死傷者数全体の約3割ほどと言われており、その被害者の過半数は頭部の損傷により亡くなっています。運転手だけではなく歩行者の安全を考えた車造りがこれから先の自動車業界が発展するのに関係してくるでしょう。

不安定なアクティブボンネット

歩行者の安全を考え定められた歩行者頭部保護法に沿ったアクティブボンネットですが実際にうまく動作しているのでしょうか。アクティブボンネットの現実について見ていきたいと思います。

ほとんどが誤作動する

アクティブボンネットこそ正常に動作すれば歩行者の頭部を守ってくれます。しかし、アクティブボンネットは未だ発展途上の技術であり、誤動作するという報告が多々あります。車のボンネットに小枝が衝突したり車のボディが縁石に当たっただけでも勝手に動作してしまうことがあり、システムの敏感さが仇となっています。

アクティブボンネットが動作するとボンネットの後方が浮き上がった状態になりますが、ディーラーへ行かないと対応できません。動作するパーツは1度きりの使い捨てのパーツなので無理やり戻そうとしてもボンネットが痛むだけなので注意が必要です。アクティブボンネットが動作してしまうと運転手の視界が奪われ危険度が増します。歩行者の安全を守るはずのアクティブボンネットが、運転手の危険を生んでしまうという皮肉な状況に陥ります。

アクティブボンネットは作動しても修理費は自己負担で誤作動の多さから車の所有者から嫌われています。理由としてはボンネットが動作するたびに修理が必要な点が挙げられるのではないかと思います。アクティブボンネットは一度動作するとパーツ交換が必須となり場合によっては他のパーツも交換となるので20万円ほど修理費がかさんでしまうことがあるようです。

意図しない動作を防ぐ方法

アクティブボンネットが誤動作しないようにする方法は2つあります。一つ目はアクティブボンネットのシステム自体を全て取り外してしまうことです。アクティブボンネットのパーツを外すとそのパーツの重量分の軽量化が見込めますが、作業する時間と手間、そしてある程度の技術力などが必要なので全ての人にお勧めできる方法ではありません。

もう一つはアクティブボンネット用キャンセラーを装着することです。アクティブボンネットのキャンセラーはパーツを全て取り外す手間もなくそのままポン付けできるので非常に簡単です。取扱説明書などを読みながらであれば誰でも簡単に作業できます。これらの機能を停止させると万が一事故にあった時に動作せず最悪の自体になりかねません。そのままアクティブボンネットを残すか機能を停止させるかはしっかり考えてから作業するようにしましょう。またアクティブボンネットを停止させると警告灯が点きますが車検には影響がないようです。

運転手や同乗者だけではなく、歩行者の安全まで考えて進化してきた車ですがアクティブボンネットの誤動作などまだ発展途上の技術であると実感します。近い将来全ての人が安心安全にカーライフを送れるような技術が生まれることを願っています。

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