今回修理を行ったのは、マツダ RX-8 タイプS 型式LA-SE3Pです。
症状としては、エンジンルームから煙が吹き出し、異臭、水温メーターの上昇で、定番となっているラジエーター周りからの冷却水漏れです。
ラジエーターやホースの交換で対応しました。
RX-8のラジエーター交換は他の車種に比べて少し大変なので、工具や作業環境が整ってないとセルフ修理は難しいかもしれません。
基本的にはプロがいる整備工場に依頼しましょう。
ただ、整備工場で工賃払ってやってもらうのはもったいない、愛車は自分で修理するという方は今回の作業内容を参考にしてみてください。
※こちらの作業内容は整備を保証するものではありませんので、あくまでも参考程度にご覧ください。
マツダ RX-8の定番故障
そもそもオーバーヒートしやすい構造
ロータリーエンジンを積んだほとんどの車種がエンジン内にカーボンを溜めないために他のエンジンの車種より水温が高く設定されています。
ラジエーターキャップの圧により強制的に水温を抑えているので、キャップが劣化しているといきなり水温が上がりオーバーヒートしてしまうことがあります。
ロータリーエンジンの場合は、通常のエンジンの車以上にクーラントとラジエーターキャップの状態を気にかけ定期的に交換しましょう。
ラジエーターのアッパータンクの劣化によるクーラント漏れ
今回の症状がこれに該当します。
普段あまり乗らず久しぶりにRX-8に乗ろうとして駐車場に行ったところ、エンジンルームの下に水溜まりができており、特に気にかけずにエンジンをかけて走り出すとエアコンダクトから焦げくさい匂いがしたため違和感を感じたとのことです。
駐車してからリザーバータンクを確認するとクーラントがかなり減っていたのでご連絡いただきました。
まずRX-8の水漏れの症状によくありがちなラジエーターアッパータンクのリザーバータンクと繋がる細い接合部の腐食で漏れているかと思い確認してみましたが、どこも腐食しておらず綺麗な状態でした。
改めてよく見てみると、アッパータンクのラジエーターのコアに近い部分が白くなっていたため亀裂を発見しました。
小さい亀裂でしたが、走行中は圧がかかるのでクーラントが吹き出します。その吹き出したクーラントがエンジンに付着すると独特な焼けた匂いがします。
今回はオーナー様の希望でアッパータンクだけでなく、ラジエーターやホース類を丸々交換しました。
RX-8 ラジエーター取り外し作業
1.まずは水を抜きましょう
フロントをジャッキアップしてタイヤを外してから、プラスドライバーを使ってドレンを開けてでクーラントの残りを抜きます。
2.バッテリーを外す
ボンネットを開けてエンジンカバー、バッテリーカバー、バッテリーを外します。10mmのソケットとラチェットを使って取り外しました。
3.エアボックスを外す
バッテリーケースを外して、右横のエアボックスを外すします。エアフロのカプラーなどを外しバンドを緩め蛇腹を縮めながらエアボックスを持ち上げるように外しましょう。単純に蛇腹の部分にハマっているだけですが、これが意外と硬くて大変です。
ソレノイドの配管を外すのも忘れずに外しましょう。
4.インシュレーターを外す
エアボックスのインシュレーターを外します。配線も固定されているので、リザーバータンクも外します。インシュレーター、リザーバータンク周辺にLLCの揮発したしぶきが残っておりこのことからもアッパータンク付近の漏れがあったと考えられます。これらを外すときも10mmのソケットとらチャットがあれば問題ありません。
5.アンダーカバーを外す
下に潜りタイヤハウスの左右カバー、アンダーカバーの順に外していきます。
劣化したクリップが多く意外と大変な作業です。クリップ外しがあると便利ですしスムーズに作業が行えます。
配線がアンダーカバーに固定されているので、裏からプライヤーで外しながら慎重に行います。
6.コンデンサーを固定する
エアコンコンデンサーとラジエーターを分離させるとコンデンサーが下がってくるので紐などで先に固定します。
紐で固定したらラジエーターファンの固定されている配線等を外します。
7.アッパータンク側のナットを2箇所外す
ラジエーターが固定されているアッパータンク側のナットを2箇所外します。通常の工具だと入らないので1/4ラチェットとユニバーサルジョイントを使用しました。
8.アッパーホース、ロアホースを外す
ラジエーター側からアッパーホースとロアホースを外していきます。外すときはホース内に残った水が溢れてきますので受け皿の準備が必要です。
バンドを外すときはウォーターポンププライヤーが活躍します。
9.いよいよラジエーターの取り外し
ロアタンクが固定されているステーを外すとラジエーターとラジエーターファンが外れますが、エアコンコンデンサーもフリーのため巻き込ないように注意しながら引き抜きます。
ステーは12mmのソケットとラチェットで外します。
ここでコンデンサーが傷つき冷媒が漏れると費用も時間もさらにかかる事になるので2人作業がおすすめです。
10.ファンやインシュレーターの清掃
ラジエーターとラジエーターファンを分離させます。
ファンやインシュレーター等は清掃しておきます。
RX-8 ラジエーター取り付け作業
1.組み付け
ここからは逆の手順で組み直していきます。
まずは新しいラジエーターに洗ったファンを取り付けます。10mmのボルトをラチェットを使って留めるだけです。
アッパーホース、ロアホースのエンジン側のパイプが腐食していたのでサンドペーパーで面を慣らしてから組み付けます。新品を装着するのはかなりの力がいるのでそれなりの時間はかかりますが、めげずに奥までしっかり装着してホースバンドで固定します。
2.ドレンボルトを締める
今回のラジエーターはドレンの締め付けが完了していて増し締めの必要はありませんでした。2人で作業し一人にエアコンコンデンサーを上げてもらいながら下から注意しながら入れていきます。
ラジエーターのアッパーはボディのボルト穴に差し込み、ロアは先にステーを取り付けて、どちらも12mmのボルトをラチェットを使って固定します。
3.アッパーホース、ロアホースの取り付け
アッパーホース、ロアホースのラジエーター側を取り付けます。
外した時と同様に、プライヤーだけでなくウォーターポンププライヤーも使うと便利です。
4.アッパータンク側のナット取り付け
アッパータンク側のナットを2箇所取り付けます。外した時と同様に1/4ラチェットとユニバーサルジョイントを使用しました。
5.配線の取り付け
エアコンコンデンサーとラジエーターを10mmのメガネレンチとらチャットを使い固定し、ラジエーターファンの配線等を取り付けました。
6.インシュレーター取り付け
エアボックスのインシュレーターを取り付けし配線も固定しました。
リザーバータンクのホース2本も新品に交換しました。これは普通のプライヤーで簡単に外れます。
7.エアボックスの取り付け
右横のエアボックスを取り付けます。バッテリーケースを取り付け、エアフロの配線カプラーやソレノイドの配管の取り付けも忘れずに付けます。
8.エンジンカバー取り付け
バッテリーを10mmのメガネレンチで取り付けたあと、エンジンカバーを取り付けます。
9.アンダーカバー、タイヤハウスカバー取り付け
下に潜りアンダーカバー、タイヤハウスの左右カバーの順に取り付けます。配線がアンダーカバーに固定されているので忘れずに取り付けましょう。
10.クーラントを入れエア抜き
LLCをラジエーターキャップからジョウゴを使って入れていき、リザーバータンクのFULLのラインまで入れたらエンジン始動させエア抜きを行います。RX-8は約6ℓのLLCを入れます。
LLCを入れてから10分ほどするとサーモが開きエアがコポコポ出てきます。
エアが出てこなくなったらエア抜き完了なので、リザーバータンクのメモリを見ながら足りない分を補充して作業完了です。