BMWが考える電気自動車とは 〜BMW Vision iNext〜

BMWの電気自動車といえば、2013年に発表されたi3やi8が親しまれていますが、テスラをはじめとしたEV化の波に出遅れていると考えている人もいると思います。しかし、BMWは電気自動車の開発において古い歴史を持っています。EV化が世界中で進む中、日本での外車普及率1位を誇るBMWはどのようなEV戦略を展開するのでしょうか?

今回は、先日発表されたBMWの業績発表会の情報を踏まえて、BMWの提供する電気自動車の未来を紹介します。

BMWの電気自動車の歴史

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現在、BMWには「eDrive」と「BMW i」の2つのEVのセグメントが存在しますが実は、BMWは電気自動車の開発において40年以上の歴史を持っています。BMW最初の電気自動車から、新型のi8ロードスターまでを紹介します。

BMWの初のEV


BMWの最初の電気自動車は「1602Electric」と呼ばれ、当時の2002シリーズをベースとして開発されました。
1972年には、ミュンヘンオリンピックの会場に展示されマラソンの先導車としての役割も果たしました。当時の電気自動車は、航続距離が短く「1602Electric」も出力32kWで最長航続距離は59kmと実現には程遠い電気自動車でした。完全な電気自動車ではなく、DCもモーターを複数個と1.6リッターの4気筒エンジンを搭載し、エンジン重量は350kgと自動車としてはかなり重い設計でした。また、バッテリーには現代の電気自動車に用いられるリチウム電池ではなく鉛電池でした。そのため、0-50kmまでの加速にも8秒以上を要し、実用化はされませんでした。

実用化に向けた開発

「1602Electric」以降も、BMWはEVの開発を進め、1987年になるとナトリウム硫黄電池を搭載した電気自動車「325iX」を開発します。
その後、1991年にはボディの素材にアルミニウムやプラスチックを使用することで軽量化を目指した「E1」を発表しました。
そして、2010年には欧米限定とした1シリーズベースの電気自動車「BMW Active E」を販売します。これらは、現在の「BMW eDrive」の根本となっています。

BMW iモデルの誕生

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2013年にBMW Group Japanはサブブランドとして、「BMW i」を発表しました。そのラインナップは、完全な電気駆動の「i3」とプラグイン・ハイブリッド・システムを搭載している「i8」の2つです。

「i3」は先進的なプレミアム・アーバン・モビリティをコンセプトにした100%の電気自動車で、1回の充電での走行距離は360kmにもなります。また、「ECO PRO」「ECO PRO+」の2つのインテリジェント走行を選べます。世界中で20万台以上が走行しているBMWの電動モデルの内、9万台以上を占めるコンパクトEVです。

「i8」は、BMWを代表するスポーツカーとして2013年に発表されました。エアロダイナミクスを意識したカーボンファイバーボディとツインターボエンジン・電気モーターの2つの駆動システムにより優れた動力性能を持ちます。また、2018年4月にロードスターも発表されました。2022年にはバッテリー容量を改良した完全なEVのi8が発表される予定です。

BMW iの新しいモデル

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世界的なEVの流れに合わせ、BMWは2021年までに2つのEV車を新しく販売します。

EVクーペ「i4」

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BMWの新型EVは2018年のジュネーブモーターショーで「i4」として正式に発表されました。

「i4」は2017年のフランクフルトモーターショーで公開されたEVコンセプト「iビジョンネクスト」の市販モデルであり、BMW「4シリーズ グランクーペ」がベースとなっています。パワートレインとしては、1回の充電で700kmの航続距離を誇る上に、0-100km/h加速は4秒以内と、現代のEVを超えるとハイモデルとなることが予測されます。
また、エンジンには現行i8に搭載されている第4世代の「eDrive」よりも新しい第5世代が搭載される予定です。

BMWによると販売は2021年になるため、テスラ「モデル3」やAudi「e-tron」との市場競争が予測されます。

EVクロスオーバー「iX3」


「iX3」のコンセプトは2018年の北京モーターショーにて初公開されました。

基本の構造は、BMWのコンパクトクロスオーバーSAV「X3」をベースに開発されています。
先日、X3Mの発表がされましたが、BMWのSUVにおいて「X5」のeDriveの他に電気モーターを搭載している車両は存在しません。「iX3」が発売されれば、BMW初の完全EVのSUVとなります。

BMWによると、「iX3」の発売は2020年ですので、EVのSUV市場において大きな変化をもたらすかもしれません。

BMWの考える電気自動車の特徴3つ

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BMWは今後の電気自動車について、BMW Vision iNEXTと称して次世代のドライビング・エクスペリエンスを提供する事を目指しています。また、ドライブ中に運転手がくつろげ、自分らしくいられる空間を作り上げるために高度な技術を搭載しています。このドライビングエクスぺリエンスは、「駆け抜ける歓び」から「乗る歓び」をドライバーと同乗者に提供します。

特徴①:パーソナライズ化

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BMWの今後の電気自動車の特徴として車のパーソナライズ化があげられます。

BMW Vision iNEXTでは、音声で制御できるパーソナル・アシスタントが常にドライバーをサポートします。最先端のテクノロジーと車が一体化することで、常に適切なアドバイスを提供するため、運転以外の身の周りのサポートもしてくれる事でしょう。イメージとしては、自動車が動くスマートフォンになったようなものです。
アシスタント機能は徐々にドライバーの好みを学習するため、まるで自宅で寛いでいるかのような感覚を味わうことができるでしょう。

特徴②:個人の空間

BMWの今後の電気自動車の特徴として車の個人の空間があげられます。

BMW Vision iNEXTでは、上質な木材や手織りのジャカードを採用しており象徴的なインテリアとなっています。また、センターコンソールも特徴的で、まるで空中に浮かんでいるかのようです。
木目の整った木材と、優美なジャカードによってドライバーも同乗者もラウンジのようなラグジュアリー感を味わう事ができます。

特徴③:ハイテクからシャイテクへ

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BMWの今後の電気自動車の特徴としてハイテクからシャイテクへの変化があげられます。

BMW Vision iNEXTには、目には見えないものの状況に応じてテクノロジーを同乗者に提供する先進技術が導入されています。
ハイテクノロジーとは、最先端の技術を表面的に表しますが、シャイテクノロジーとは存在するテクノロジーに対する疲労感や嫌悪感を使用者に与えないテクノロジーのことです。例えば、センターコンソールには、2つのディスプレイ・パネルが存在しますが、それ以外にディスプレイやボタンはありません。なぜならば、BMW Vision iNEXTではジェスチャーや音声でコントロールする機能を搭載しており、使用者に負担を与えるこれらのインターフェースはインテリアに隠されているからです。
よって、搭乗者は落ち着いた空間にいながら最先端のテクノロジーを最大限利用する事ができます。

今後も発展するBMW

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今回はBMWの考える電気自動車として、BMWが提示するVision iNEXTを紹介しました。今後は、自動車は運転するものではなく生活空間の一部となります。それを見据えた特徴をBMWは電気自動車に搭載しようとしています。BMWグループのデザイン本部長を務めるエイドリアン・ファン・ホーイドンクは次のように語っています。「BMW iは私たちのモビリティに対する考え方を変革する創造的で先進的なアイデアを考案するために存在します。」

テスラモーターズをはじめとしたベンチャーEVメーカーに対して電気自動車の開発において40年間のアドバンテージがあるBMWがどのような対策を取っていくのか、今後もその動きからは目が離せません。