悲運の名車!!トヨタがかつて生産していたわかる人にはわかる名車「1600GT」

誰もが認める名車「2000GT」には弟分の「1600GT」が存在した事を知っていますか?わずか1年余りだけ生産されたそんな名車の歴史を振り返ってみます。


トヨタ2000GTは日本のヒストリックカーとして誰もが認める「名車」ですが、その2000GTには弟分の「1600GT」が存在した事は、知らない人も多いかもしれません。

コロナベースのハイパフォーマンスカー「1600GT」

1967年5月に登場した「トヨタ2000GT」の3ヶ月後、8月に登場したのがトヨタRT55「1600GT」です。

専用ボディなどどこまでも贅沢だった2000GTとは異なり、当時のミドルクラスセダン「コロナ」の2ドアハードトップ版「T50系」のボディを強化した上で流用しており、見た目は「コロナ」そのものでした。

そのため「コロナGT」「コロG」などとも呼ばれましたが、正式名称はあくまで「1600GT」です。
そして見た目はコロナでも、その心臓には専用の1600ccツインカムエンジン「9R」110馬力が搭載され、レース用マシンの場合は150馬力以上を発揮しました。

1600GTの初陣と、その後の活躍

発売前の1966年にはプロトタイプカー「トヨタRTX」の名で鈴鹿サーキットでの第4回クラブマンレースに出場して優勝、元来「コロナ」が持っていた優れた空力やバランスを活かし、高いパフォーマンスを証明してみせます。

見た目とは裏腹に、コロナ以上のボディ剛性を持たせるため各部の補強が行われていた事も功を呈しました。
同クラスの1600ccマシンとしてはいすゞの「ベレットGT」や日産の「ブルーバードSSS」がありましたが、1600GTはそれらを寄せ付けない速さでレースを席巻します。

ついには、かつてプリンス(後に日産)がレースに勝利するために開発され、ポルシェ907とも激闘を繰り広げた事で有名なS54BスカイラインGT-B(GT-Rの先代モデル)にも勝利したのです。

 

スカイラインGT-Rとの激闘

1969年の日本グランプリに出場した1600GTには、重要な指名が託されました。
日本グランプリ初参戦となる日産渾身のマシン、初代GT-RことPGC10「スカイラインGT-R」のデビューウィンを阻止する役目です。

1600GTは一回り大きくハイパワーなGT-Rに対して不利は明らかでしたが、それまでの戦績で蓄積されたデータから有利なレース戦略を組み立てられる事、またエンジンやギア選択などセッティングもGT-R対策のスペシャルセッティングとする事で対抗し、レース終盤のゴール直前ギリギリまで何とか押さえ込みます。

最後のゴール直前でラストスパートをかけたGT-Rを抑えきって何とか一位でゴールしますが、日産ワークスチームから出された「走路妨害」の抗議が認められてしまい、一転してGT-Rのデビューウィンが確定してしまいました。

格上の相手によく戦った1600GTでしたが、このレーストヨタのワークスレーシングカーとして最後のレースになりました。

その後の1600GT

数々のレースに打ち勝ち、2000GTに劣らない栄光に包まれるはずだった1600GTのその後は不遇でした。

何しろ、レースファンの期待を一身に集めたスカイラインGT-Rのデビュー戦で打ち砕かれなければいけない敵、すなわちヒール役を押し付けられた挙句に、どうにか勝利してみれば「走路妨害」と判定されて降着させられるという、悪い印象がその後もつきまとってしまったのです。

これでスタイリッシュボディでもまとっていれば、まだスポーツカーとして救いはあったのですが、ここでも不幸な事に、少なくともボディ外見はコロナそのものでした。

不幸はさらに続き、トヨタ2000GTと運転席や助手席、さらに5速ミッションが共通だという事で部品取りとして解体、剥ぎ取られてしまい、ただでさえ2,222台と少ない生産台数のほとんどが、2000GTのために消えてしまったのです。

日本のモータースポーツ界でもこれほど栄光と暗黒を味わった車はなかなかありません。
現存台数も少なく、またその歴史を語る時には常にスカイラインGT-R党からの嘲笑を受ける立場となってしまった1600GTは、こうして「誇るべき数々の戦歴を残した、高性能のマイナー車」となってしまったのでした。

今でも時々1600GTは「悲運の名マイナー車」のように紹介されます。
決して2000GTのような華やかな紹介はされませんが、2000GTやスカイラインGT-Rという名車の栄光の陰でひっそりと生きた、「わかる人にはわかる名車」として、時々思い出していただければ幸いです。

 

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コメント:
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