新社会人など、本格的に車の購入を検討している人が多くなってくるこの季節、どの車を購入するか迷っている人も多いのではないでしょうか?車選びは一番楽しい時間でもありますが、決定打が無いと決められないのも事実ですよね。
そんな悩める方のために本日は、最近発売されたCセグメントの人気ハッチバックのトヨタのカローラスポーツとスバルのベストセラーであるインプレッサスポーツを比較してみたいと思います。
トヨタ カローラスポーツとは?
トヨタ カローラスポーツは2018年に発売された全世界で売れ続けているカローラの中の中核モデルです。日本でも売れている車ですが、世界ではベストセラーになっており、カムリと同様にトヨタの中で重要なモデルとなっています。オーリスとして発売されていた車種も今回、カローラスポーツに統合されました。
欧州のマーケットではゴルフなどの強力なライバルがいることもあり苦戦しているトヨタですが、ハイブリッドとMT・ATが選択できるターボエンジンのモデルで欧州試乗にも攻勢をかけたいと感じているのではないでしょうか。
エクステリアなどの変更点も大きいですが、クラウンと同じようにトヨタのコネクテッドカーとして、車載通信機器経由で様々な情報を車が手にするなど、次世代の車としての一面も注目するべき点の一つです。
エクステリア
全世界的に起きている車のスポーティー化に合わせたのか、先代のカローラと比較するとデザイン、車体の作りなどすべての面においてスポーティー寄りな車の設計がなされています。特にエクステリアのデザインにおいては、車体の低重心化によりスポーティー感を手に入れました。これはトヨタの新型のプラットフォームであるTNGAによるものと考えられます。
これまでのイメージの中では「カローラ=おじさんが乗る車か商業車」というイメージもありましたが、今回のモデルチェンジでは、20代の自分も素直にかっこいい、乗りたいと思えるデザインになっていると感じました。タイヤ周りのアーチを盛り上げることによって、SUVルックなデザインになっています。このデザインによって、地面に張り付くような安定感を演出しているように見えます。また、ヘッドライトとテールランプ周りの造形をシュッとしたものにしており、スポーティー感を感じるデザインになっています。
デザイン性を優先した反面、少し後部の視界が開けておらず、この部分においてはインプレッサスポーツに軍配が上がると感じました。
インテリア
インテリアに関しても先代と比較すると大きな変更が加えられています。シンプルでありながらも上質にまとめ上げられたコックピットはこれまでのトヨタのクルマづくりとは少し違ったものになっています。CH-Rからこのようなデザインが採用されていますが、個人的にはこのデザインは良いデザインと思います。むやみにタッチパネルなどを採用するのではなく、操作感が良いダイヤル式の操作パネルを採用するなど、ユーザー目線で考えられているなと素直に感じました。またナビの位置も運転中目線の変化が少ない場所に設置されているため、安全運転ができるように気が使われている車だなと感じました。
後部座席は、後述するインプレッサのスペースよりは狭いインテリアになっていました。これは、新型プラットフォームの影響か、ボンネットが前作よりも長くなっており、前席の位置が若干後ろよりになった影響を受けていると考えられます。また、インプレッサと比較して拘束感が強いシート設計になっていました。シートの好みは人それぞれですが、楽に運転したいユーザーにとってはインプレッサスポーツの方が合うかもしれません。しかしアームレストが備えられていたりと、後部座席に座る人にも快適に過ごしてほしい心遣いは感じる設計となっていました。
少し残念に感じたのは、トランクの容量が他のCセグメント車種と比較すると狭いことです。前述したように、キャビンの位置が後ろめな設計のためトランクの容量が少なくなったと考えられます。
走行性能
ハイブリッドとターボエンジンがあるこのモデルですが、どちらのエンジンにおいてもシャーシーの出来の良さと低重心ボディーが相まっていることもあり、パワー不足は感じません。しかし、シートの出来やコックピットのスポーティー感を見てからエンジンを発進させると、なんとも拍子抜けエンジンだと感じました。汎用ユニットであることも影響していると考えられますが、走り味が普通なのです。エンジンをスポーティー寄りに振り切れていないような感じがしました。
パワー感覚に関してはやはり、スポーティなーを売りにする車でもありますのでもし購入するのであれば、ターボエンジンを選択することをおすすめします。こちらのほうが車体の作りに対してこちらが期待する走り味に答えてくれえてくれるでしょう。希望を挙げるとすれば、もう少しエンジンの排気量を上げてパワーを向上させる。そのようなことをすればもっと楽しく扱いやすいターボエンジンができるのではないかと感じました。
ハンドリングに関してはインプレッサと比較してハンドルが軽く、ワインディングなどでもスイスイと蛇が切れていく感覚が得られました。
やはりここまでスポーティー感を演出した車体づくりをしているならば、エンジンもパワフルなものを載せて乗っていて楽しい車になれることを期待してしまいます。もちろん、一般道を走る分には燃費もよく良いエンジンではあることは確かですが….
走行性能
トヨタの安全性能もToyota Safety Senceの導入などで大きく進歩しました。カローラスポーツにおいても例外ではなくプリクラッシュセーフティ、レーントレーシングアシストやレーダークルーズなど一通りの装置を備えています。また、高齢者などに嬉しいドライブスターターコントロールというものも備えられており、急発進をしてコンビニに突っ込むなどの事故を防止する機能もついています。
スバル インプレッサスポーツとは?
スバル インプレッサスポーツとは、1992年から現在まで発売されているスバルのベストセラーであり、日本だけでなく世界で売れ続けているモデルです。現行モデルは2016年に発売された5世代目のGT/GK系と呼ばれています。現行モデルからスバルの次世代プラットフォームである「スバルグローバルプラットフォーム」と呼ばれるプラットフォームが採用されています。アメリカなどでセールスが好調な、アウトバックやレガシィなどに次ぐ、スバルを支える屋台骨となる車種です。
また、スバルではCセグメント以下の車種が事実上存在しないため、Cセグメント車であるこのインプレッサスポーツがスバルの中では一番小さな車種となります。それでもスバルのアイデンティティである、水平対向エンジンやアイサイトなどの装備は装着されてます。またこのセグメントではまだ普及していない歩行者用エアバックも採用した、安全性能が高いインプレッサは注目の一台です。
エクステリア
前作と比較して、これまでのインプレッサと比較して現代的なスポーティーなエクステリアに変更されました。しかし、他のCセグメントの車種、特にカローラスポーツと比較すると良く言えば「癖がない」悪く言えば「特徴がない」デザインをしています。老若男女問わず乗りやすいと感じさせるデザインは万人受けのするデザインと言えるでしょう。
しかし、カローラスポーツのような前作と比較して抜本的な変化を持たせたわけではなく、車離れが深刻な今の若者に響くようなデザインでは無いと感じさせます。
それでもデザインを優先したカローラスポーツと比較して、インプレッサのデザインは視界も確保されており安全に車を動かすことを第一に考えると、インプレッサスポーツに軍配が上がると感じました。
インテリア
インプレッサスポーツのデザインは、カローラスポーツが、シンプルで上質に感じるデザインに変化させたのと比較して基本的に前作のインプレッサのデザインをあまり変化させずに今回のモデルチェンジにも採用しました。
ダッシュボードやドアノブなどにはシルバーの加飾を多く採用しており、質感に不満があるものではありません。しかし、カローラスポーツでは本物のステッチがところどころに採用されたり、マツダ車のCセグメント車でモデルチェンジが予定されているアクセラ(マツダ3)では2クラスほど上と言っても過言でない内装の質感を実現しているのをみると、インプレッサスポーツの現在の内装ではCセグメントという競合が多く、強烈な競争が繰り広げられているセグメントの中では少し不満を感じるものとなっています。
またアイサイトなどの最新装備を装着している影響もあるのか、コックピットのボタン数が多く、ひと目見た時にドライバーがどれを押せばどのように車が変化するのかがわかりにくいと感じました。このデザインはガンダム世代と呼ばれている35歳以降のロボット感のあるメカニカルなデザインが好きな男性にはある程度受けるデザインでしょう。
しかし、アウトバックなどの上位車種ではもう少しシックなデザインとなっており使いやすいダッシュボードとなっていると感じます。
後部座席の居住性に関してはカローラスポーツよりも数段良いものになっていると感じました。カローラスポーツが、ドライブポジションを調節したあとの拳が1個半であれば、インプレッサであれば2個は入ると言った感じでしょうか。
また、カローラスポーツと比較して、車体がスクエア型に近い形状をしているため、頭上のスペースも広いと感じました。
スペースに関しては、Cセグメント車の中でもトップクラスの居住性を誇っているのがインプレッサスポーツと考えられます。
走行性能
エクステリアやインテリアのデザインでは、カローラスポーツよりも実用性を感じさせるデザインのため、走行性能においてもそのような思想が反映されているのではないか?と感じていましたが、実際に乗ってみると全く違った印象を与えます。
ステアリングの重さがカローラと比較して圧倒的に重かったり、乗る人によっては効きすぎると感じるほど強力なブレーキなどはこのクラスの車とは感じさせません。この乗り味を感じるとやはりスバルはこれまでWRXなどで培ったスポーツカーの技術をインプレッサのような車にもしっかり反映させているのだなと感じます。
またエンジンも2Lエンジンに関してはまったくもって不足のないエンジン出力があります。またCVTでありながらもどこからでもエンジンが吹け上がり、CVT特有のラグもない癖のない良いエンジンに仕上がってると感じました。
しかしターボなどが搭載されていない1.6LのNAエンジンでやはり動力不足を感じるのは事実です。世界でダウンサイジングターボやディーゼルエンジン、ハイブリッドなどで様々な工夫をしてパワーアップを図っているにもかかわらずNAエンジンを採用しているインプレッサは時代遅れに感じてしまいます。もちろん上位車種であるレヴォーグとの共存もしていかなければならないのであえてNAエンジンを載せているということも理解はできます。
燃費に関しては平均13km/LとCセグメントの車としてはやはり不満が残る結果となりました。普段遣いをする車だからこそ燃費などの財布に関わる要素はこのサイズの車を選択するユーザーとしては、購入に至る大きな一つの要因になるでしょう。トヨタなどが燃費の良い車を開発するなら、それ以外の要素で勝負をするという考えも理解できますが、もう少し燃費がよくなることを次のモデルでは期待します。
走行性能
スバルの車種に搭載されているアイサイトは現在最も高性能な安全装置の一つと言われており、スバル車の売りの一つとなっています。他社が高性能な安全装置を開発しているにもかかわらず、やはりアイサイトの安心感や使いやすさ、実用性は一歩先を行っていると感じます。
また、ボルボのV40に続き日本車で初めて歩行者用のエアバッグを採用した車でもあります。アイサイトの充実で予防安全だけに力を入れるだけでなく、実際に衝突してしまったときに被害を最小限に抑えるという車造りをしており、その面でもインプレッサがCセグメントの中でもトップクラスに安全な車と言えるでしょう。
カローラスポーツとインプレッサスポーツのスペック比較
カローラスポーツ G(2WD) | インプレッサスポーツ 2.0-L Eyesight(2WD) | |
車体サイズ | 4375×1790×1460 | 4460×1775×1480 |
排気量 | 1200cc | 2000cc |
最高出力 | 85kW[116PS]/5,200〜5,600r.p.m. | 113kW(154PS)/6000rpm |
最大トルク | 185N・m[18.9kgf・m]/ 1,500〜4,000r.p.m. |
196N・m(20.0kgf・m)/4000rpm |
JC08モード燃費 | 19.6L | 17.0L |
カローラスポーツとインプレッサスポーツの価格比較
グレード | 車体価格 | グレード | 車体価格 |
1.6i-Lアイサイト | 194.40万円 | G X | 213.84万円 |
1.6i-Lアイサイト Sスタイル | 210.60万円 | G | 225.72万円 |
1.6i-Lアイサイト(4WD) | 216.00万円 | G X(4WD) | 233.28万円 |
1.6i-Lアイサイト Sスタイル(4WD) | 232.20万円 | G Z | 241.92万円 |
2.0i-Lアイサイト | 281.16万円 | G(4WD) | 245.16万円 |
2.0i-Lアイサイト(4WD) | 239.76万円 | G Z (4WD) | 261.36万円 |
2.0i-Sアイサイト | 239.76万円 | ハイブリッドG X | 241.92万円 |
2.0i-Sアイサイト(4WD) | 261.38万円 | ハイブリッドG | 252.72万円 |
ハイブリッドG Z | 268.92万 |
まとめ
この2車種の比較は、メーカーそれぞれの車に対しての姿勢が見れ、楽しく比較ができました。Cセグメントの流れが早く競争が激しいセグメントではメーカー各社とも力を入れて車種を開発します。デザイン性の高さで若者から高齢者まで多くの人にかっこいいと思わせるカローラスポーツ、安全性や街に溶け込むデザインで万人に愛されるインプレッサなど各社のクルマづくりを感じる事ができました。
フォルクスワーゲンのゴルフやマツダのアクセラなどまだ強力なライバルが存在するCセグメントセグメントの車種を購入検討されているのであれば、それらの機種とも比較してみることをおすすめします。