コンパクトなAクラス相当のGLAクラスから、最高級のSクラス相当GLSクラス、さらに最高級クロカン4WDのGクラスまで、豊富なラインナップを持つようになったメルセデス・ベンツですが、それは他社とは明確に異なり、全車種がメルセデス・ベンツのブランドを立派に背負って立てるだけの高級SUV揃いなのです!
メルセデス・ベンツのSUVはただいま改名中
長らく「ゲレンデヴァーゲン」ことGクラスしか無かったメルセデス・ベンツのSUVは1990年代以降に続々と都会派のクロスオーバーSUVが登場しました。
昔はAクラス、Bクラス、Cクラス、Eクラス、Sクラスくらいが基本で、後はラグジジュアリーオープンGTのSLや、クロカンのGクラス、それにバンのVクラスくらいまでがわかっていれば良かったものの、SUV以外でも急速に車種が拡充しています。
全般的にネーミングから車格をイメージしにくかった事から、ここ1~2年でメルセデス・ベンツ車のネーミングの整理が進んでおり、AクラスやCクラスなど基本形以外は「ジャンル+車格」で表すように変わりつつあります。もちろん、SUVも例外ではありません。
2013年デビュー(日本導入は2014年)の「GLA」はAクラス相当で、「GLC」は2015年に「GLK」から改名したCクラス相当のコンパクトSUVです。
Mクラスから2015年改名の「GLE」はEクラス相当のミドルクラスSUV、GLクラスから2015年改名で、日本でも間もなく改名されると思われる「GLS」はSクラス相当の最上級SUVといった具合です。
「GL」までがクロスオーバーSUVというジャンルを表し、その下に車格を表す一文字が付くというネーミングに変わっています。
Gクラスだけは不動ですが、もし将来的にコンパクトクロカン4WDを発売する事があれば、「GAクラス」などと呼ばれるかもしれません。
メルセデス・ベンツらしい高級な内外装が特色
車種によって多少の違いはありますが、基本的には全て「メルセデス・ベンツ」ブランドに相応しい高級な内外装を持っているのが特徴です。
本革やウッドを多用した内装に、クロームメッキを施した豪華さで、オーナーに「メルセデス・ベンツのSUVに乗っている」という満足感を与えます。軍用ベースの無骨なクロカンであるはずのGクラスですら、今や例外ではありません。
本来なら最高級クロスオーバーSUVのGL(GLS)がGクラスの後継ポジションとなってもおかしくないはずでしたが、Gクラスを高級化する事で、「無骨でありながら上質、かつタフな高級クロカン」として人気が出て、継続されています。
他社のようにスポーティ、あるいは軽快感のあるイメージを持たせるのとは違い、「SUVの形をしたメルセデス・ベンツ」である事にこだわりがありますが、これには理由があります。
新ジャンルの車として先行デビューした初代Mクラスが、主に品質面で従来のメルセデスと異なる印象を与えてしまったため、人気が伸び悩んだ経緯がありました。
ユーザーはSUVであっても「メルセデス・ベンツの品質」を求めるという事で、それ以来同社のSUVは優れた走行性能を内に持ちつつも、内外装での品質基準を厳格に守っています。
高級車だからこその浄化装置を備えたクリーンディーゼル
主に米国市場向けの(メルセデス・ベンツとしては)安価なコンパクトSUVである、GLAやGLCには現状で搭載されていないものの、GLEやGLSに搭載されるのが「ブルーテックディーゼル」です。
3リッターV6DOHC直噴ターボのクリーンディーゼルで、大衆車など低コストのディーゼル車ではまず使えない高価な尿素噴射式の排出ガス浄化システムを持った大トルクかつ環境対応型エンジンがメルセデス・ベンツのアピールポイントになっています。
本来ならコンパクトSUVにも2.2リッター直4DOHCターボのブルーテックディーゼルが搭載されてもいいのですが、どちらかというとEクラスのようなミドルサイズセダン向けのダウンサイジングエンジンという事を考えると、コスト的に見合わないでしょう。
実際、GLAもGLCもかつては左ハンドルのみの設定で北米や一部ヨーロッパ向けでしたが、最近はGLCに右ハンドル車が登場するなど北米以外も意識したグレード設定がされているので、いずれGLCにはブルーテックが搭載されるかもしれません。
SUVでもAMG!
オンロード主体のクロスオーバーSUVはともかく、クロカンのGクラスにまでAMGモデルが設定されており、より豪華な内外装に加えてパワフルなエンジンを搭載したAMGの走りが体感できます。
余裕のあるエンジンは快適な高速巡航のための動力性能を提供しており、特に2000cc直4DOHCツインスクロールターボで360馬力を発生する「GLA45AMG」はミッションも7速ATではなくセミオートマの「AMGスピード7速DCT」が搭載されていて、軽快な走りを約束しています。
圧巻なのはV12DOHC6リッターツインターボを搭載して630馬力・102.0kg・mを叩き出すGクラスの「G65AMG」で、一見クロカン4WDでありながら超ハイパワーエンジンを搭載する事で、超高級クロカンにも関わらず重さを感じさせません。
SUVでもやはりメルセデス・ベンツらしく
たとえSUVであってもブレる事なく「メルセデス・ベンツ車であること」にこだわりを持たせているだけあって、どのユーザーにも満足感を与える上質さと、十分な動力性能、クリーンディーゼルなど先進性を妥協なく与えられているのがメルセデス・ベンツの特徴です。
その中でも2016年2月現在で一番のトピックは、かつてのGLKから一新して2月13日に日本デビューするGLCです。
活発な走りをする2リッター直4DOHCターボエンジンに、なんと9速もある事でキメ細かい走りに貢献する新型ATなどで、上質な乗り味とスポーティな走りの両立が売りのコンパクトSUV。気になる方はぜひ試乗して走りを確かめてみましょう。