最近の車業界を見ていると少し感じることがあります。それはトヨタのクラウンやカムリなどセダンの車種が大きな話題になっていることです。一時期は「死んだ車型」のような論調でメディアに取り上げられていた時期もありましたが、多くの車メーカーがセダンタイプの車種をテコ入れした結果、特に輸入車においては大きく販売台数を伸ばしている現実があります。
実際に、このAncar Channelでもセダンのトップセラーである新型カムリの記事が大きくPVを伸ばしています。
そんな人気が復活しつつあるセダンの代表格である2車種をピックアップして比較を行います。
最近ビッグマイナーチェンジを行った、メルセデス・ベンツの「Cクラス」とFRの人気スポーツセダンBMWの「3シリーズ」を比較して見たいと思います。
メルセデス・ベンツCクラスとBMWの3シリーズの価格比較
ドイツ車を代表する2台のCセグメント車である、メルセデス・ベンツのCのクラスとBMWの3シリーズの価格を比較します。Cクラスにおいては、様々なオプションがセットになった、C200 AMGラインパッケージと3シリーズにおいてはスポーティなパッケージングが魅力の 320i Mスポーツを比較します。新車価格での比較となっています。
グレード | メルセデス・ベンツ C200 Avantgarde | BMW 320i M sports |
ボディーカラー | オブシディアンブラック | シトリン・ブラック |
パッケージ | レーダーセーフティーパッケージ・AMGライン | Mスポーツパッケージ・プラスパッケージ・パーキング・サポート・パッケージ |
価格 | ¥6,477,730 | ¥6,329,000 |
若干Cクラスが高いというイメージですが、エアサスなどの高価な装備が含まれていることを考えると、許容範囲の価格差ではないでしょうか?もちろん、もっと安い廉価版の車種もあるのですが、リセールバリューや満足度などを考えるとやはりこれくらいのグレードを選択するのが賢い選択でしょう。
リセールバリューや中古車の値段については、こちらの記事で詳しく説明していますので、よければ参考にしてください。
メルセデス・ベンツCクラスとBMWの3シリーズのサイズ比較
車種 | メルセデス・ベンツ C200 Avantgarde | BMW 320i M sports |
全長 | 4705 | 4645 |
全幅 | 1810 | 1800 |
全高 | 1430 | 1430 |
トランク容量 | 480L | 480L |
最小回転半径 | 5.2m | 5.4m |
やはり同じCセグメントということもあり全長以外はあまり変わらないですね。
セダン車であるにもかかわらず、両者とも大きなトランクルームを備えており、まず実用で困ることはないでしょう。
意外だなと感じたのが同じFRの設計にもかかわらず最小回転半径がメルセデスの方が0.2mほど小さいことですね。
車を購入する際にここまで見る人はあまりいませんが、道が狭い日本では小さければ小さいほど良いので見ておくべきポイントの一つです。
メルセデス・ベンツ Cクラスの特徴
今年ビックマイナーチェンジ(大きな改良)が行われたのがCクラスです。目には見えない変更点がマイナーチェンジ前と比較して6500点もあると言われており、その点数の多さをみればモデルチェンジに近い変更が加えられていると感じます。大きな変更点を挙げるとすれば、売れ筋モデルのC200モデルのエンジンが2.0Lのターボエンジンから1.5Lターボエンジンにダウンサイジングされたということです。そのかわりにBSGと呼ばれるマイルドハイブリッドシステムが搭載されて加速時に電気の力でアシストするというエンジンに変更されました。外観にはほとんど変化が加えられていないのをいると、ベンツのCクラスのデザインに対しての自信が垣間見えます。
また7速ATから9速ATまで多段階化されておりこれまでに増してドライビングのダイレクト感が伝わる設定になっています。
最初にこのような情報を得たときには、高速道路など高速領域の走行では、パワー不足を感じるのではないか?と感じましたが、実際に試乗した際には全くそのようなことを感じませんでした。モーターアシストとエンジンの出力を足すと2L以上の出力になるというメルセデス側の主張は、確かに正しいものだと感じました。
むしろ、公道で停発進が多い日本の道路で多いシチュエーションでは発進の際にアイドリングストップの振動が起きずスムーズに加速していくので、特に日本人にとってうれしい改良なのではないかと感じました。
Cクラスの特徴として、どのパワートレインをとっても上質ということがあげられます。ディーゼルエンジンであっても後述するBMWのエンジンとは違い、ガソリン車に近いような挙動をすることに気づきました。ディーゼルといえば乾いたカラカラ音を鳴らしながら、トルクが太くパワフルな走りというこれまでのイメージはあまりなく、音も抑えめに上質な走り味を実現していると感じました。ただし、ガソリン車と比較するとディーゼルらしさは健在で加速もよく燃費も良くとても良いエンジンだと感じました。
またFRベースで作られているにもかかわらず後席座席も輸入車の中では広くできておりドライバーだけではなく、車に乗る人すべての人のことを考えられて作られている車種だと感じました。そして、AMGラインを搭載しているグレードであれば、サウスペンションが一気にエアサスに昇格します。エアサスであるため、乗り心地はもちろん良いのですが、ドライビングの楽しさも盛り込まれており、購入するのであればデザインもスポーティーになりエアサスを搭載できるAMGラインのモデルにするのがおすすめです。
また、サイズが大きくなったCommand Systemは画面が大きくなっただけではなく、解像度も上がっておりこれまで以上に綺麗な映像を楽しむことができるようになりました。車速などを表示するメーターにも変更が加えられており、オプションでアナログメーターから液晶ディスプレイに変更できるようになりました。やはり、液晶ディスプレイになるとインテリアのデジタル感が向上しますね。人それぞれメーター内に表示したい情報は違いますし、ナビなどを表示することで、目線の移動を減らし事故も減少するという安全性も向上する変更になっています。
そして、上位車種のEクラスやSクラス同様の運転支援システムが搭載されており、快適なドライビングを楽しむことができます。世界でもトップクラスの実用性を誇る運転支援システムをこのクラスの車で利用できることは嬉しいですね。
メルセデス・ベンツの運転支援システムについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
BMW 3シリーズの特徴
今年で現行3シリーズが発売されて7年目になりますが、未だにスポーツセダンとしての魅力を落とさず、後に発売されたメルセデス・ベンツのCクラスやアウディのA4などのドイツのライバルと戦っているのがBMWの3シリーズです。
2019年にフルモデルチェンジが予定されていますが、現状試乗車がない状況で比較が難しいため、2018年11月時点の現行車(F30型)の情報を掲載しています。
BMWの車の特徴ではありますが、モデルごとのデザインの変化があまりないため発売から時間が立っていても古臭く感じにくいデザインをしています。この点は、長く車を乗りたいと思っているユーザーにとって嬉しい点ですね。
世界の車の殆どが、スペースやコスト効率を優先し、FF化(フロント駆動)していくなかで、頑なにFR(後輪駆動)を維持しているのがBMWの特徴です。もちろん、FF車でには後席のスペースが比較的大きくなったり、コスト的に有利など様々なメリットがありますが、FRならではのボンネットが長い伸びやかなフォルムや運転の楽しさなどを追求する人にとってはFRの車を選択するべきと言われています。やはり他の車にはない運転の楽しさを実現していると試乗の時にも感じました。
前後の重量比のバランスが上手く取れており、コーナリングなどハンドルを切ったときの反応がとても素直で。運転をしていて楽しいと感じます。
このような利点は、攻めたドライビングではなく、通常の運転のときにも感じることができます。交差点を曲がるときなど、ステアリングを切った後に、車の位置を調節するためにハンドルを調節する必要がなくなるなど、自分が狙ったところにきちんと車が動いてくれるという利点は想像以上に私達のドライビングを助けてくれると感じました。
試乗時に感心した点として、メルセデスのようにエアサスなどの高価なサスペンションを搭載していないのもかかわらず、とても良い乗り心地を実現できていたという面です。
7年前のモデルである上、どうしてもBMW=運転の楽しさというイメージが有り、乗り心地などは二の次と考えられがちですが、いい意味でこのイメージが覆されました。運転の楽しさはBMWならではの良さを残しつつ、乗り心地も向上させるという魔法のようなことを叶えるBMWのエンジニアリング力にはただただ感心するばかりです。
またディーゼルエンジンに試乗した感想として、Cクラスとは違ったアプローチでディーゼルエンジンの良さを出していると感じました。ディーゼルエンジンの特徴である、太いトルクでエンジンブレーキが強めに聞くメリハリのあるエンジンを提供しています。そしてディーゼルエンジンとは思えないくらい高回転域まで吹き上がるエンジンは、ハイブリッド車などの車が人気を集める日本で、ディーゼルエンジンも違った魅力があるよと教えてくれるような乗っていて楽しいディーゼルエンジンの形を提供していると感じました。
Cクラスと比較すると、やはりダッシュボード周りの古臭い感は否定できません。しかし、全てをデジタルにするといった簡単な思想ではなく、ドライバーが運転をしながら安全に調節できるようなボタン配置となっています。最近の車は、デジタル化を進めるあまり、エアコンの調節なども全て画面内で行うような車が増えています。一見便利そうに見えても、実際に使っているとダイヤル式のほうが直感的に調節できるため安全で簡単に操作ができます。
そのような、ドライバーを中心にして考えられたダッシュボード設計は本質的で、発売から時間がたった今でも使いやすいと思える設計がされていると感じました。
また、来年のフルモデルチェンジでは、ダッシュボード周りの設計が大きく変更されることが予定されています。新型3シリーズにも搭載されるであろう、新型iDriveについても詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?やはり価格やサイズどれをとってもガチンコのライバル関係であるCクラスと3シリーズの比較はとても面白かったです。メーカーにとって一番台数が売れる全世界のベストセラーであるため手を抜かないクルマづくりが垣間見えました。そして、クルマづくりに対する両者の姿勢を見ることができた気がします。
Cクラスにおいては、ドライバー同乗者すべての人が快適に過ごせるような隙きの無い優等生的なクルマづくりをしていると感じました。3シリーズにおいてはドライバーを中心に考えたドライビングの楽しさを追求していると感じました。
メルセデス・ベンツのビックマイナーチェンジがあり、3シリーズもフルモデルチェンジが予定されているので、またCセグメントが盛り上がりそうですね。