【アメ車の魅力!】シボレー C5コルベット ZR6

「アメリカンマッスルカーでGO!」第1回は、シボレー コルベットから、C5 Z06をご紹介します。


走る、止まる、曲がる!スポーツイメージを取り戻したコルベの完成形C5

元々ヨーロピアン・ライトウェイトスポーツの影響を受けて誕生した初代C1コルベットは、当時始まっていたV8マッスルカー路線にすぐ軌道修正して伝統のアメリカンスポーツとなりました。
しかし、日本でもスポーツカー受難の時期が続いたオイルショックやマスキー法による排ガス規制で大きくパワーダウンしていたのはコルベットも例外ではなく、70年代を通して販売されていたC3コルベットなど、ひどい時期には200馬力も無かったのです。
そんな時期でもエンジンそのものは5.7リッターのスモールブロックV8でしたからトルクだけはありましたが、アメリカそのものがベトナム戦争に負けて自信を無くしていた時期ですから、何となく景気の悪さがにじみ出たイメージがまとわりついていたのも事実でした。
それだけが理由では無いとはいえ、アメ車と言えば「重くて走らないし曲がらないし止まらない、おまけに燃費も悪い」と酷評されていたのです。
しかしそれを挽回したのが、C3コルベットのデザインアイディンティは残しつつ、洗練されて空力にも優れたスタイルを持ち、ショートホイールベース化とワイドトレッド化でハンドリングを向上させたC4、そしてその完成形とも言える現在のコルベットの始祖、C5コルベットでした。

全面的な刷新で、近代スポーツへ

C4からC5へモデルチェンジされるにあたり、リトラクブルライトや丸4灯式テールランプ、ダブルウィッシュボーンに横置きリーフスプリングを組み合わせた足回りは踏襲されたものの、それ以外はほぼ全面的に一新されました。
ボディはより滑らかなデザインになると共に、鋼管フレームにセミモノコックを結合したユニフレームからフルモノコック化、軽量高剛性ボディを手に入れます。
これまでフロントでエンジンと共にあったミッションはリアに移動してトランスアクスル化し、前後重量配分を50:50に近づけました。
ホイールベースはさらに短縮され、細かいところながらキャンバーやトー角など足回りのアライメントも全面的に見直し。
これにより大排気量エンジンの余裕あるパワーで突き進むマッスルカーの印象を完全に脱し、21世紀を迎えるに相応しい、パワーとコーナリングを兼ね備えたスーパーカー並の走行性能を手にしたのです。
C3以降苦しんできたコルベットのスタイルはC5で一度完成形に達したと言っても良いでしょう。
なぜならば、伝統として残っていたリトラクブルライトは自動車を取り巻く環境の変化で不要のものとなり、2004年まで生産されたコルベットが、世界で最後のリトラクブルライト車になったからです。

ニュルブルクリンク北コースを7分56秒で駆け抜けたZ06

また、C5ではC2以来のハイパフォーマンスモデル、Z06が再設定されました。
C2のようにレーシングスペックでは無かったものの、5.7リッターのスモールブロックV8でありながら405馬力を発揮。
最高速度こそ275km/h、0-60マイル(96km/h)加速4.0秒とカタログスペックとしては平凡に見えるものの、ニュルブルクリンク北コースのラップタイプでは7分56秒を記録。
同時期のより軽量で洗練されていた日本のスーパーカー、NA2型NSX-Rと同タイムであり、20世紀のスポーツカーではかなり速い部類と言われます。
コルベットレーシングも復活してレースで数々の勝利を上げ、栄光を掴んだコルベットC5の姿を見た人は、もはやかつてのように「走らない、曲がらない、止まらない」という事は無くなっていたのです。
アメリカンスポーツの栄光を取り戻した最初のコルベット、それがC5であり、ハイパフォーマンスモデルのZ06と言えるでしょう。

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