【不朽の名車】陽のカローラ・陰のスプリンター

常に影の薄いトヨタ スプリンターは、まさに「陽のカローラ、陰のスプリンター」のような存在だったのです。


トヨタ スプリンターを覚えていますか?

派生車種も含めれば30年以上もの長きに渡って生産・販売され、独立した車種名まで与えられていたにも関わらず、最初から最後までマイナー感が漂っていた車と言えば何でしょう?
筆者はトヨタ スプリンターをおいて他に無いと思います。

国産車の各メーカーの多くが多チャネル体制と呼ばれる「複数の販売店系列」を持ち、同じ車種でも名前やデザインを変えて販売する事は普通に行われていました。

中にはデザインやキャラクターが大幅に違ったので、同車種とは言い難い例もありましたし、日産のパルサーセリエ / ルキノハッチのようにほぼ同車種という例もあります。

ただ、多くはそれほど長い歴史を紡ぐ事無く消えていくのですが、カローラの兄弟車であったスプリンターだけは34年もの間生産され、そのうちカローラと完全な兄弟車だった期間は30年。

一応独立車種ではありましたが、一時期を除けばデザインに大きな差は無く、特に1990年代以降はマニアでも遠くから見てカローラセダンとスプリンターセダンの識別は困難だったのです。

当然マニアでは無い人からすれば、スプリンターを見せても「ああ、カローラね」と言われてしまうようなクルマが延々と存在したのは、日本車の歴史の中でも珍しい現象だったと言えるでしょう。

最初はカローラのクーペ版、カローラスプリンターとして登場

そんなスプリンターが登場したのは1968年、カローラの2ドアクーペ版カローラスプリンターとして登場しました。

一説には初代カローラの没デザインのひとつだったと言われるカローラスプリンターは、ファミリーセダンにするには若々しくスポーティ過ぎるとの理由で不採用になったとも言われています。

しかし、トヨタが新たに若者向け販売チャネルとしてトヨタオート店(現在のネッツ店)を立ち上げる事とした時、まさにその若々しいキャラクターがマッチしていると考えられ、主力車種として1968年にデビューしたのです。

初代カローラから遅れる事、2年目の春でした。

2代目からカローラと兄弟車に

しかし、1970年にカローラと同時に2代目にモデルチェンジした後、当初のコンセプトが早くも破綻してしまいます。

まず名称が「カローラスプリンター」から「スプリンター」へと変更され、完全にカローラから独立した2ドアクーペになったように見えました。

ところが、トヨタカローラ店で販売しているカローラにも2ドアクーペが設定されてしまったため、「カローラの若者向けスポーティクーペ版」というスプリンターの立場が無くなってしまいます。

そして1971年8月のマイナーチェンジでスプリンターに4ドアセダンが追加されてしまうと、すっかりカローラの兄弟車となってしまったのです。

前後のデザインが少し違ったり、カローラには存在したライトバンや、その5ナンバー版の乗用ワゴンは2代目スプリンターに設定されていなかったものの、少なくとも4ドアセダンと2ドアクーペはカローラとほぼ同じ。

その翌年にはハイパフォーマンス版のスプリンタートレノがカローラレビンと同時にデビューするとこれも細部のデザイン以外は同じだったのです。

この時からスプリンターは、「トヨタオート店で売っているカローラ」になってしまったのでした。

その後のスプリンター

1974年デビューの3代目は一応カローラと「ほぼ同じ」ながら型式も別々のクルマとして販売されましたが、1978年に4代目になると再び統合。

その後もトヨタは何とか頑張ってスプリンターのデザインをカローラより若々しく見せようと努力していた気配は伺えました。

AE86スプリンタートレノにリトラクブルヘッドライトを採用したり、5ドアハッチバックのスプリンターシエロや、アウトドア的な雰囲気を持つステーションワゴンのスプリンターカリブなど独自の派生車種を展開します。

しかし、4ドアセダンや途中から追加されたライトバンは代を重ねるごとにカローラと見分けがつきにくくなり、1990年デビューの7代目以降は「カローラと思ったら何か違う」という程度になってしまいました。

結局2000年のモデルチェンジでスプリンターセダンは廃止され(カリブやライトバンは2002年廃止)、既にトヨタオート店から名を変えていたネッツ店のセダンは初代ヴィッツをベースにしたプラッツへ。

さらにプラッツから代替わりしたベルタも2012年には廃止され、ネッツ店ではついにカローラ相当の4ドアセダンが無くなってしまったのでした。

派生車種はともかく4ドアセダンはカローラに比べてひたすら影が薄かったスプリンターですが、その高性能版のスプリンターGTともなると、現役当時から滅多に見かけないレア車だったので、珍しいクルマ好きな方は、維持しやすいレア車としてオススメかもしれません。


次回は1970年にデビューした大衆車最後のモデルにして、最初からロータリーエンジンを搭載した国産初の大衆車「ロータリーの疾風・風のカペラ」をご紹介します。

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