世界のマイナースーパカーその3は、アウディの元エンジニアが作ったグンペルト アポロ。
アウディのエンジニアが一念発起と一転直下
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以前はアウディに勤めていたエンジニア、ローラント・グンペルト氏が、スーパーカーを作りたくなって設立したのがグンペルト・シュポルトヴァーゲンという小規模メーカーです。
早速スーパーカー作りに取り掛かったグンペルト氏は、2005年にスーパーカー「アポロ」を発表、2006年から発売開始したというので、ここ最近ポッと出のスーパーカーメーカーというわけではなく、10年くらい前にポッと出たくらいの違いです。
しかしやはりスーパーカー作りで食っていくのは厳しかったのか、2013年、設立からわずか8年ほどで経営破綻してしまい、グンペルト・シュポルトヴァーゲンは倒産してしまいます。
クルマの注文が無かったわけではないみたいなんですが、こうしたスーパーカーの材料というのは買い付けにも多額のマネーを必要とします。
好きな時に好きなだけ金を融資してくれる都合のいい金融機関や、スポンサーでもバックについていればよかったんでしょうが、中東のお金持ちなんかは自分たちでライカンなどスーパーカーメーカーを作ってしまったので、グンペルト氏はうまくスポンサーを作れなかったのかもしれません。
ともかく、クルマを作るのは時間がかかりますし、うまいこと納車されてお金になるとしても、それまで材料やエンジンなどを供給してくれるサプライヤーが、支払いを待ってくれるとは限らず。
そうこうしているうちに銀行が融資を引き上げて倒産してしまうというのも中小企業ではよくある話なので、グンペルト・シュポルトヴァーゲンもそんな感じで倒産してしまったのではないでしょうか。
なお、この手の話は大企業でも起こり得ることで、過去にはボーイングと並ぶ旅客機の老舗メーカー、アメリカのダグラス社が、新型の注文が殺到している中で生産するための資金が尽きてしまうという「黒字倒産」によって、倒産しています。
ともあれ、資金繰り以外には特にグンペルト氏に落ち度は無かったようで、倒産直後に香港からの資本で会社は再生、現在は「アポロ・オートモビル」として経営再建を果たし、相変わらずグンペルト氏が責任者兼チーフエンジニアとして指揮をとっているそうです。
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アポロとはどんなクルマか
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さて、そのグンペルト氏のデビュー作「アポロ」は、氏の出自を表すようにアウディ製の4.2リッターV8ツインターボを搭載し、650馬力を発揮するスーパーカーです。
過剰なほどの装飾が目立ち、クルマというより何か別な物体にすら見えないこともない昨今のスーパーカーと異なり、アポロは古典的なスッキリとしたスタイルが信条です。
特にフロントなどはオーバハングも少なく、車重もわずか1.1tですから、大きなリアウイングがついているリアはともかく、フロントはこれでしっかりダウンフォースが出ているのか、いささか心配になります。
650馬力という出力は日産 R35GT-Rニスモ(600馬力)とそれほど違いませんし、車重が軽くオーバーハングが少ないことから、どちらかといいえば高速安定性より、コーナリングマシンとしての加速重視なスーパーカーなのかな?という印象を受けます。
しかし、実際には各部に開いているエアインテークやアウトレットが少しずつ分散してダウンフォースを発生するように配慮されており、見た目よりは高速安定性が良いのかもしれません。
あまり空力だけに頼りすぎて、車重が軽すぎたり重量バランスを損なうと、急激に気流が剥がれた時にちょっと怖いことになるのですが、そのへんどうなのでしょう?
ニュル北で示した実力
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しかし、2009年8月にはニュルブルクリンク北コースで、「公道走行可能なクーペボディのスポーツカーの世界最速記録」を樹立し、2013年9月にポルシェ918に破られるまではアポロが最速でした。
ニュルでそれだけの実力があれば本物というべきで、やはりグンペルト氏には才能があったのでしょう。
なお、2016年のジュネーブショーには「アロー」と名付けられた新作が展示され、アポロ・アローとして販売予定です。
グンペルト先生の次回作にご期待下さい!
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